53 土佐首脳会談 後編
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「津野殿、一条に恨みはないのか?」
「本山様、恨みがないとはいえませぬ。ですが父や叔父が弱かったのです。
一条だけが悪かったわけではないのだと思えるようになりました。
それに父や叔父が死んだ時に房基様はまだ生まれてさえおりません」
「津野の民は土地を追われ、中村で使役させられていると聞くぞ」
「長宗我部様、津野の民は追われたわけではありません。
昨年の冬。中村に移った民は病で亡くなった者はあっても
飢えたり、凍えて亡くなった者は一人もおりません。
一条が蓄えをだして救ってくれたのです。
高岡郡の民はこの恩を終生忘れることはないでしょう」
「房基はどんな小僧だ?」
「鳳雛、おおとりのひな、いや、雛ではなく既に房家様を
超えているかもしれません」
「房家様は我ら長宗我部にとって大恩人よ。房家様を超えるというのか?」
「房家様、房冬様のことはよくご存じでしょう。
今の一条家の勢い、この中村の豊かな田畑の様子。
この数日、ここで食べた食事や清酒。
房家様、房冬様がなされたこととお思いか?
この数年での一条家の変化は信じられぬことばかりです」
「房基様が本物かどうかはわかりません。
ですが、津野の次に攻められるとしたら我ら大平です。
昨年は間に合いませんでしたが、大平は津野の援軍に
兵を出しています。大平は一条に敵対したのです。
一条の軍は強い。豊かな実りに支えられて大軍を動かします。
津野は2000に囲まれたと聞きます。須崎港に兵が来た知らせを
聞いて3日後には城が落ちていました。早すぎます」
「ひと当てもせずに降るわけにも行かぬだろう」
「長宗我部様、本山様。戦となれば先陣は新参となる
我ら大平がつとめることとなりましょう。」
「米づくりも新しいですが、戦い方も新しいですぞ。
元津野の兵も学んだことをみせるよい機会となりましょう。
譲る気はありませんよ。大平様」
「戻ってから房家様にも話を聞いて、家中ではかるしかないか」
「わしも房冬様に話を聞こう」
「不思議な童ですね。」
「そうよのう、この4人に囲まれてもはっきり物申す。
姿は公家の小童だが、中身はいっぱしの武士よ」
「「「そうよのう」」」
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