41 野分
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(1531 夏 8歳)
この時代、台風のことを”野分”と呼んでいた。
野の草を吹き分ける強い風のこと。
台風の被害は大きい。
河川が整備されていないからすぐに氾濫する。
経験則で住居は高台にあっても
農地は水利のこともあり河川の近くになる。
せっかく育てた作物が駄目になる。
土佐は貧しい国なのは台風のせいもある。
治水は治世者の仕事なのだが、
今も昔も金のかかる事業であることにかわりはない。
そしてこの時代、金も人も足りなかった。
この数年、治水に人手をまわす余裕ができたのは
一条家の治める幡多郡だけだった。
寒さに強いであろう北の種籾を交えながら
実地で強い種籾を残しつつ、台風が来る前に収穫できるように
田植えの時期を前倒しにしてきた。苗代からの田植えがそれを可能にした。
台風にやられた年もあったが、
しっかりと稲が地に根がつくような、これまでにない
新しい方法での米作りをしてきた成果で全滅するようなことにはならなかった。
米→小麦→大豆、の2年3作の輪作などをしてリスク分散もしてきた。
米だけでなく、水利の悪い土地では稗、粟、麦も作らせている。
今年の夏は台風のあたり年だった。
被害は甚大だった。おそらく昨年の半分ほどしか収量が見込めないだろう。
それでも昔に比べると収量が倍近くなっていたので
昔の豊作だった年と変わらない収量になるだろう。
各地の塩田の被害も大きかった。
始めて間もない事業なので台風のたびに対策を講じていくしかなかった。
おそらく清酒にまわす米は少なくなるだろう。
大石屋に依頼している焼酎の開発はまだ途上で技術が確立していない。
各地から清酒の引き合いが多いので米の輸入を増やすことになりそうだ。
それに周辺の地域からの流民が増える可能性もある。
備蓄している五穀(稗・粟・麦・豆・米)の放出も検討することになるかもしれない。
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