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戦国クラス転生  作者: 月本 一
35/285

35 ●千利休

感想、誤字報告いつもありがとうございます。


他の転生者初登場回となります。

(1530 冬 ●千利休視点)

戦国時代へ転生することになったが前世では英語教師だった。

戦国時代については学生だった頃の知識程度だったが

人物選択の順番は比較的あとのほうになった。

前世の性別である女性を選びたかったが、

数少ない知っていた女性である”濃姫”や”お市の方”は

先に誰かに選ばれてしまった。

花嫁修業として茶道や華道を習わされていて

伝記も読んだことのある千利休ならば戦をしなくて済むのではないかと

安直な考えで選んでしまった。

転生者同士ならば豊臣秀吉に殺されることもないだろう。


田中与四郎、それが千利休の本名だ。

堺の豪商”魚屋(ととや)”に生まれる。

3歳で覚醒してから前世とのギャップに苦しむことになった。

男性に生まれ変わったことはそうでもなく、

トイレなどの衛生状況や風呂が一般的でないことなどは

女性でなくてよかったと思えるほどだった。

食事が質素というか味のバリエーションのなさに一番参った。


算術の才能あり、と親はたいそう可愛がってくれた。

前世では小学校レベルの算数で神童扱いだった。

逆に文字が難しくて毎日読み書き三昧の日々が続いていた。


そんな8歳のある日、来客中の父から呼び出された。

私に茶をたてて欲しいと客が言っているのだそうだ。

まだ茶の湯を習わせていないから断ったそうなのだが、

どうしても会わせて欲しい、と言っているらしい。


茶の湯の用意がされている部屋に入ると

私よりも幼い、狩衣で烏帽子姿の公家のような少年が待っていた。


「初めまして田中与兵衛が息子、田中与四郎と申します。」


『一条房基と申します。無理を承知で用意させてもらいました。

 魂が思うまま「一期一会」のお気持ちで茶をたてていただきたい。』


「一期一会」という単語にびくりと体が震える。

「一期一会」という言葉はこの時代ではまだ使われていない

言葉ではなかったか?。疑問が沸々とわきあがる。


「どうかお許しください。息子はまだ作法を知りませぬ。」


父が平伏して許しを請う。

私はおもむろに茶をたてはじめた。

茶道具はまだ未成熟だったりするが、習い事として10年以上

茶道にかかわり、多くの書籍も読んだし、いろいろな茶会にも

顔を出した。別の学校では茶道部の顧問もしたし、

生徒たちに指導もした。

茶道黎明期の今とは作法が違うかもしれないが、

根底にある精神は通じるものがあるはずだ。


『結構なお点前で』


幼いながらも、きちんとした所作で茶を飲んだ少年はそう返してきた。

あぁ、この少年は転生者だ。

私よりも後に転生先を選んだ一人だろう、と確信した。

今は「一条房基」と名乗っているが、

将来はもっと有名な名前の武将になるのかもしれない。


『茶のお礼に一曲、笛を披露させていただきます。』


そう言うと、袱紗から小さな笛を取り出して吹き始めた。

・・・体全体に雷が走った。涙があふれる。

両手で顔を覆い、嗚咽が止まらない。

その曲は「君が代」だった。


短い曲が終わる。涙で相手がよく見えない。

這うようにして相手ににじり寄る。ひざにすがりついた私を

小さい体を広げて抱きしめ、ゆっくりと背中を、頭を撫でてくれる。

一人ではないのだと、暖かい気持ちに満たされ長いこと泣き続けた。


少年は引きはがそうとする父を手で制し、


『茶の湯も見事な所作でした。感じる心が強い子ですね。

 これほどまでに感激していただけるとは演者冥利に尽きます。

 茶の湯の礼として、この笛を贈りましょう。

 笛の指導を受けたくなったら訪ねてきてください。

 今日はこのあたりで失礼いたしましょう。』


聞きたいこと、話したいことが山ほどある。

ただ盛大にやらかしてしまったようで、周りはドン引きだ。

笛の指導うんぬんは会いに来させるための口実なのだろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 芸事の指導ならある程度頻繁に会っても怪しまれません。 まぁ、もしかすると「早くから衆道」と見られるかもしれませんけど。
[気になる点] 茶道具はまだ未成熟だったりするが、習い事として10年以上 「茶道具はまだ未成熟だったり」の部分、道具が未成熟というのは如何でしょうか、「茶道」のほうがピッタリすると思います。
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