289 西国同盟
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次回更新は02/22(日)
(1578 一条房基(56))
大友と島津は日向中央にある耳川を境に対峙していた。幕府の九州征伐軍は既に大移動中だった。大友と島津の間の緊張を緩和し、両者が幕府軍へ増援できれば九州平定は早期に決着する。
大友宗麟の息子義統とともに耳川を渡り、会談は島津側で行われた。事前に使者を送り、事前調整が済んだ上での会談だった。島津側からは島津義久(45)と島津義弘(43)が来ていた。島津義弘が来たのは大砲の実演と引き渡しを行うことを伝えていたかららしい。
『6年ぶり(256話)ですね。お元気そうで何よりです』
「今回は大友との仲立ちありがとうございます」
『受けざるを得ない状況にしてしまって申し訳ありません』
これまでは一条と大友、一条と島津、それぞれ二国間の経済同盟だったが、一条・大内・毛利の瀬戸内海の同盟に大友が加わることになった。遠い地にある幕府にはない脅威を感じたのだろう。
「やっと薩摩で硝石が作られるようになりました。今回は前回断られた大砲も譲っていただける。こちらとしては断る理由はありません。できれば最新の土佐筒を購入させていただきたい」
大友でも披露したが、対岸にある大友の陣地にある櫓を砲撃で破壊した。大友に10門の大砲を譲ったように、島津へ同数を提供することを伝えていた。武勇名高い島津義弘は大砲のデモンストレーション後に対岸の大友側から撃ち込まれた大鉄砲の試射に興奮していた。薩摩筒と言われる薩摩で量産される鉄砲より遥かに高精度で長射程の大鉄砲の実物が見たくて仕方ない様子だった。
『幕府の九州征伐が終われば、国内では大砲や鉄砲を使った戦は無くなるでしょう。畿内では刀狩りも始まっています。銃も規制されるようになると思われませんか?』
島津義久に向かって問いかける。
「”国内では”とおっしゃった。朝鮮出兵があるとお考えですか?」
『国内の安定と開発が優先でしょう。私としては朝鮮や明に兵も兵糧も船も出すつもりはありません。幕府は議会制へ進むつもりのようですから、あらゆる伝手を使って反対します。できれば島津も反対して欲しいですね』
「もちろんです。大友氏と和睦するわけですから、西国同盟にも加わらせていただきたい」
『”西国同盟”ですか。幕府は軍事同盟を認めないでしょう。・・・・表向きは経済同盟として、集団的自衛権が主張できるような条文を考えてみましょうか』
「戦が無くなるのですから経済同盟こそが重要です。前回、硝石の製造法を願うのではなくて甘藷(サツマイモ)や馬鈴薯(ジャガイモ)の栽培方法を教えてもらうべきでした」
今回の会談の事前調整で使者を送った際、サツマイモとジャガイモを持たせた。島津義久に提示した多くの条件の中に栽培法の指導と種芋の提供を明記した。監視の元で調理して試食してもらった。島津が日向を攻めきれなかったのは度重なる不作と九州東岸への台風被害があった。大友の領域支配が崩れたのも同じ理由だった。貧しくて戦が継続できなかったのだ。龍造寺が伸長したのは被害が小さかったからだ。
『為政者としては民が何より大切です。早いようですが、兵の働き口を考えておくべきでしょう。イモがあれば農地開拓を支えてくれるはずです』
「交渉に障害はありません。直接聞きたかったのですが、何故ここまで譲歩されるのですか? 一条に利となることはないでしょう?」
『幕府軍の主力は大内と毛利です。同盟国の被害を抑えるためにも早期終結を望んでいます。次に経済圏は広い方が良い。借金の一部を帳消しにしても、戦で物資が無駄に消耗し、人が減ることを止める方が最終的に利が大きくなる。さらに幕府内での味方(票)が増える。軍事的、経済的、政治的に利があるのです』
幕府軍は毛利軍3万、大内軍1万、一条軍1万が中心で全体で8万ほどになる。一条軍は戦果を上げさせたくない幕府の意向もあってか、水軍による物資運送任務を任されている。織田軍の被害を避けるために毛利軍が先鋒を務めることになるだろう。毛利も幕府に存在感を示すために防御を薄くしてでも数を投入していた。
「戦の後のことまで考えてのことですか」
『島津としても戦の後を考えておくべきでしょう。戦の後での領地加増はないでしょう。越後に前田利益、上野に滝川一益、下野に佐久間盛政、常陸に佐々成政が国替えで入ることになりそうです。九州にも織田家直臣が配されるでしょう。これまでとは違う外交と経費への対策を想定しておいてください』
参勤交代があるかわからないが、江戸屋敷ならぬ名古屋屋敷はすぐにでも準備にかかる必要がある。遠方の大名には遠方ならではの苦労が待っている。
大友宗麟が1576年に日本で最初に購入したのはフランキ砲(国崩し)。徳川家康は大坂の陣の際イギリスからセーカー砲とカルバリン砲を購入
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