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戦国クラス転生  作者: 月本 一
24/285

24 下向という避難

感想、誤字報告いつもありがとうございます。

(1527 夏 4歳)

後柏原天皇が崩御され、祖父房家が上洛した際、

京で声をかけてまわった中から

筆、紙、墨などの職人たちが下向(避難)してきた。

京は細川、三好、六角、朝倉の軍勢が入り乱れて

荒廃が激しく、働く場がないどころか身の危険を感じてのこと。


筆は牧場や狩猟で各種動物の毛が手に入る。

紙や墨も原料は山の民の領分だろう。

山の民の近くで職人街を集約整備していくことになりそうだ。


直接声がけはしていないが、噂を聞きつけ避難してきた人々もいた。

その中には絵師、楽師、仏師、木工、馬具師などがいて

こちらは中村で研鑽してもらうことになるだろう。


変わったところで鷹師や犬師などもいた。

鷹師は鷹狩りのための鷹の育成の専門家、

犬師は犬追物のための犬の育成の専門家、

この時代、紀州犬、秋田犬だけでなく

各地に独自の犬の種類がいて、この周辺では土佐犬。

前世の闘犬のイメージとは違う犬種で、秋田犬みたいな

日本犬だ。前世では絶滅した犬種も多く、

残っていた日本犬は天然記念物指定だった。

狩猟犬や牧羊犬として活躍する場は多い、

積極的に保護、繁殖させていきたい。


祖父に頼んでいたもうひとつの勧誘は

秘密保持のための警備警護の人材だった。

こちらはどうも芳しくないようだ。

今の所、商人と飛脚衆の仕事ついでの情報収集だけに

とどめておくしかない。


飛脚衆とは、祖父や父があちらこちらに送る手紙を

運ぶ私設の郵便配達集団のこと。30人くらいはいる。


下向者たちにはまずたらふく食事をしてもらう。

京では疫病でも多数の死者がでているので

石鹸も支給して衛生についても徹底してもらう。


職種毎の代表者や一族の家長に集まってもらって

話をすることになった。


当主である御所様として房家が声をかける。

「はるばる来てくれて嬉しく思う。

 実は、この度土佐への下向を勧めたのは

 ここにいる孫の房基なのだ。

 房基は文殊菩薩様の夢を見て以降、

 戦乱で技や伝統が失われていることを嘆き、

 皆をこちらに呼び寄せるよう頼んできたのだ。

 房基、お前から皆に声をかけてやれ。」


このじじい、丸投げしやがった!!


立ち上がってからゆっくりと

下向者たちの集団の中心まで進む。


『大きな声が出せないから、ここで話をする。

 ここ中村で暮らすようになると

 一条の若は変わった童だと耳にするようになるだろう。

 少し前に文殊菩薩様の夢を見た。

 加護をいただいたわけではない。

 少しだけ知恵を授けていただいただけだ。

 飢えることなく、健やかに過ごせる世の中を

 つくる使命をいただいたと勝手に思っている。

 困難な道のりで、多くの戦いが待っているだろう。

 昔、武士などいなかった平和な時代は確かにあったのだ。

 決してたどり着けない世ではないと思う。

 信じるも信じないも自由にすればよい。

 われながら噂以上に変わった童だと思う。

 手を汚すのは私がやる、皆には別の戦いをして欲しい。


 技が途切れるのは一瞬で、つなぎ直すのは至難なことだ。

 守り伝え、次の世代へたくすのもまた戦い。

 例え道半ばで倒れることがあったとしても

 百年先、千年先、皆の持つ技が残り、

 更なる高みにたどりついていれば勝ちなのだと思う。

 いつの日か京に技を戻せるその日まで

 どうかこの地で研鑽を続ける戦いをして欲しい。

 ・・・以上だ。』


話がおわると皆が一斉に平伏していた。

またやらかしてしまったか?

この時代、皆、ピュアなのだ。

神仏がとても近しい存在のままだからだろうか。

その後、祖父房家から「お前は人たらしだのう」と言われた。

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