178 南方進出
被災された方々にお見舞い申し上げます。
一日も早い復興を心よりお祈り致します。
次回更新は1/14(日)
(1550 28歳)
土佐を統一した時は領地が3倍程になった。南伊予を切り取った時は更に2倍。伊予から讃岐侵攻で更に2倍。正直官僚が足りない。人と土地を管理し、行政、立法、司法の整備に四苦八苦している。毎日毎日会議の日々だ。東讃岐と阿波への侵攻は計画さえ凍結していた。三好は暗黙の同盟相手であり、阿波細川氏は新将軍の後見人だからだ。力ずくで切り取ってもこちらの被害も大きいし、統治も難しい。そこで南方への進出を加速させることにした。
琉球の東にある大東島への入植も順調に進み(158話)、サトウキビ栽培も黒字転換した。大東島から更に東へ行くと小笠原諸島がある。流刑地として有名だった八丈島の更に南にあるため、島の存在自体不確かな海域だった。おおよその位置関係が分かっていたので探索の船団を向かわせ、一条諸島と名づけて入植を始めた。島の名前は父島、母島、兄島などを使うようにさせた。大東島と同じくサトウキビを作る。一条諸島は大規模な入植はせずに補給港として整備する。南にある硫黄島から採取する硫黄で十分に元が取れる予定だ。硫黄は明との貿易に使える。硫黄は豊後や薩摩の主要輸出品だった。火薬の原料である硝石は日本では採れないが、逆に火山国である日本から明は硫黄を輸入していたのだ。
一条諸島から南下するとマリアナ諸島にたどり着く。サイパンやグアムのある諸島。こちらは無人島だった一条諸島と違い、チャモロ人が先住する諸島だ。サイパンへの入植も行う。サイパンから西に進むと呂宋=フィリピンにたどり着く。既に中国やインドとの貿易が行われている地域と分かって日本の商人との交易も始まっていた。ゆくゆくは最凶国家スペインが押し寄せてくると分かっていたので、入植などはせずに現地の日本人町への投資に留めておいた。北西太平洋を右回りで周遊する航路の一拠点としての位置づけになる。
一方で台湾への入植も摸索していた。明の漢民族ではなく先住民族が暮らす島だった。倭寇の根拠地がいくつもあるようで特定の勢力下にはないという話ばかり伝わってきていた。南部と大陸側の西岸を避ければ独立した拠点を作れると判断し、北端と東岸に入植を始めた。
サイパンや台湾の入植には先住民族との共存共栄を厳守させ、拒否反応が強ければ場所の移転や撤退するよう厳命していた。色鮮やかな布、笛や太鼓などの楽器、麻や綿などの糸を交流・交易の品として持ち込ませた。鍋、斧、鉈、鋸、鍬などの生活鉄器を持ち込んだ。原住民相手なら鉄製武具だけでも優位に立てるはずだ。火縄銃は欧州勢に手の内を見せないために持ち込ませず、今川義元が織田から押収したクロスボウのコピー品を作って配備することにした。大量の紙も持ち込んで先住民族の言葉や文化の記録も行わせる。
フランシスコ・ザビエルは日本国内の布教に向かったが、彼らを乗せてきたポルトガルの船団の一部は土佐の産物を載せてインドへ戻っていった。ポルトガルは西方にあるインドからやってくる。東南アジアの香辛料、中国の絹、インドの砂糖を欧州へ持ち帰る。スペインはメキシコから太平洋を渡って東からやってくる。こちらも中国の絹が目当てだ。いわゆる海のシルクロード。一条諸島(小笠原諸島)やサイパンはスペインの脅威への対処が必要となるだろう。現地での敵対行為は厳禁とし、内陸には避難潜伏するための拠点を作らせる。
キリスト教伝来でポルトガル商船が増えてくれば、キャラック船のコピーも生産できるようになるだろう。船大工達にも宣教師達の一団の後を追わせている。布教中に船の修繕作業に食い込ませるためだ。ゆくゆくはスペインの戦闘艦(ガレオン船)のコピーもしていくことになる。南方に進出するということは欧州勢と対等になる覚悟が必要であり、追いつくために堪え忍ぶ時間が必要になってくる。
各入植地に向かうには数ヵ月かかる。周遊すると1年近くかかるだろう。生活物資や移住者を運ぶのは大変なことで、10年20年と続けていく必要がある。採算が取れるのかも分からない。アメリカ大陸やオーストラリアの存在を知っているからこそ、トップとして強権を発動できる時に手を打っておきたかった。長期計画であり、一つ一つは小さな島々だ。それでも戦での人的損耗がない分、楽観的な気持ちで居られ、海洋図を眺めるのが楽しかった。そんな気持ちで居られたのは僅かな期間だった。阿波細川と三好宗家の連合軍が土佐に攻めてくる情報が届いたのだ。
小笠原諸島を発見したのはスペインが先。日本が探検船を出したのは江戸時代。小笠原は人の名前で小笠原諸島と呼ばれるようになったのは幕末の頃の話。
スペインがフィリピンを占有したのは1565年頃
オランダが台湾を統治し始めたのは1624年頃
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