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戦国クラス転生  作者: 月本 一
12/285

12 淡麗如水

まだ3歳児なので当分の間、テンプレな内政と説明回が続きます。

30話後半くらいには上洛予定。あくまで予定。


2022/01/10 年号・年齢を訂正

(1525 秋 3歳)

旬である天然の椎茸が入手できたので椎茸栽培に着手する。

原木栽培は始めてから収穫までには1年以上かかる。

菌床栽培だと圧倒的に短縮できる上に栽培期間も短くてすむ。

もちろん原木栽培のほうが品質では圧倒的に上であるから

原木栽培もすすめていきたい。

前世の日本ではどちらも栽培方法が確立されたのは20世紀のことで

市場の9割以上が菌床栽培の椎茸で原木栽培は高級品扱いだった。


菌床栽培も結果が出てくるのは早くても数週間先になるので

清酒つくりにも手をつけることにする。

大覚和尚や安並に造り酒屋の蔵元を紹介してもらう。


この時代、日本酒はすでに存在していたが

現在でいう清酒に近いものはほとんど出回っていなかった。

濃く雑味が強く、雑菌が繁殖して痛みやすいにごり酒やどぶろくが多かった。

清酒に近い酒は寺社が秘匿した技術で作る僧坊酒がそれに近かった。


簡単にいえば、灰つまり活性炭を投入し、ろ過させることで

にごった酒を澄んだ酒に変化させることができる。

他にも火入れによる加熱殺菌や発酵や段階的な仕込みなど

この時代にはまだ開発されていない技術がたくさんある。

前世での晩酌は日本酒党だったので

酒蔵巡りで聞きかじった知識が少しだけある。

すでにある酒に手を加えるとしたら木炭によるろ過が

手早く結果がだせる方法だと考えた。

蔵元を抱き込めれば、火入れ殺菌や別の手法も試せるし

蒸留酒も作れるようになるだろう。


地元の造り酒屋の酒を入手して、ろ過の実験をさせる。

灰を入れすぎると無味無色な酒になってしまい

少な過ぎると黄色い色味や雑味が強く残った酒になる。

この時代、透明なグラスなどまだないのだから

色味が少し残ったくらいが味がよくて受け入れ易い酒になるだろう。


堀部親子に灰を入れる分量や時間を細かく調整させ

3つくらいのレシピに絞り込んだところで

相談したいことがあるとして

地元にある蔵元から家長と杜氏を呼び寄せた。


大石「初めてお目にかかります。大石屋の大石良雄と申します。

   こちらに控えしは、杜氏をまとめております

   吉兵衛でございます。この度、酒の味に一番うるさいものを

   連れてこいということでしたので、この者を連れて参りました。」


『一条万千代丸である。長いつきあいになるかもしれぬゆえ

 隠し事はしたくなかった。この度はそのほうたちに利き酒をしてもらい

 意見を聞いたうえで相談したいことがあるのだ。』


大石「利き酒でございますか?」


『そうだ、ここに3つの酒がある。

 まずは香り、そして色味、最後に5つの味

 甘味、酸味、辛味、苦味、渋味、で総合的に評価して欲しい。

 3つの樽とそれを飲むための一合枡

 口をゆすいで前の酒の味を消すために水桶を用意してある。

気になることがあれば書き留められるよう筆と紙も用意してある。』


大石「準備万端でございますね。よろしゅうございます。」


『見られながらでは気にかかろう、私はしばし席を外そう

 安並、終わったら誰か呼びに来させろ』


そういって席を外して待つことにした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大石「万千代丸様、この酒は3つとも私どもが作った酒でございますね?」


『そうだ、買い求めて澄み酒に変えた。』


大石「どのようにすればこのように澄んだ酒に変えられるのですかっ!」


『落ち着け、まずは3つの酒についての評価が聞きたい」


大石「1番目が味が薄く、3番目が濃く、2番目はその間でありました。

   どれもすっきりして、とても飲みやすい、素晴らしいものでした。」


『どれが一番売れると思う』


大石「・・・一番でしょうか。水のように澄んでいるのに

   香りは酒、味は淡くても酒としての濃さはおそらくほぼ同じ。」


『そうか、吉兵衛はどう思う。』


吉兵衛「私は3番目がよろしいかと。」


『なぜ、そう思う』


吉兵衛「1番目は変わりすぎていて、私が仕込んだ面影が薄すぎて寂しく

    感じました。関わりのない立場なら1番かもしれませんが」


『なるほどな、私はまだ酒を飲むには幼過ぎるが、3番がよいと思っていた。

 澄んでいてもほんのりとした山吹色を目で楽しめ、香りの強さも楽しめる。

 そういう遊び心があるほうが豊かではないかと思ったのだがな。

 まぁ、正解はない話かもしれぬな。』


大石「作り方を教えていただけるのでしょうか?」


『そのつもりで呼んだわけだが、いくらで売れると思う?』


大石「3、いや5倍でも売れましょう。

   作り方に銭がかかるのであれば更に高くても売ってみせましょう。」


『そのうち、どこの蔵でも作るようになるかもしれぬ。

 売れるときに売り抜けたい。

 仕込むところから作り方を変えてもらえれば

 10倍で売れるもっとうまい酒が作れるだろう。』


大石「それで、作り方を・・・」


『そう急くな、教えるつもりで呼んでいる。ただし覚悟が必要だ。

 たくさん作ってもらうために、たくさんの蔵が必要だ。

 たくさんの米が必要だ。たくさんの桶が必要だ。

 たくさんの樽が必要だ。たくさんの人が必要だ。』


大石「もちろんやらせていただきます。」


『一条の家で、土地をおさえる協力はする。蔵を建てる資材も手配しよう。

 米も手配できる。そちらは人を集め、販路を広げる手配をして欲しい。

 物はこちら、人はそちら、だ。

 これまでとは違う経費もかかるようになる。

 一番大事なのは、秘伝を盗まれないことだ。長く稼ぐためには

 これこそが重要だと思え。金を積まれるかもしれぬ。家の者が

 襲われるかもしれぬ。裏切りは一族の命で払ってもらうかもしれぬ。』


大石「私の考えが浅そうでございました。決して裏切りませぬ。

   どうか私どもを存分にお使いくださいませ。

   ご期待にきっと応えてみせまする。

   よろしくお願いいたします。」


『秘伝を知る家中の者を遣わす。

 秘伝の作業は信のおける少数の者だけですることだ。

 増産計画は安並とともに練って進めよ。

 そして、私の名前は絶対に表に出すな。」


大石「ありがとうございます。ありがとうございます。

   ・・・お願いがございます。どうか新しい酒に名をつけてくださいませ。」


『銘か・・・淡く麗しく水のごとき飲み口・・・「淡麗如水」はどうだ。』


大石「「淡麗如水」良き名をいただきました。」

大石良雄は大石内蔵助から名前を拝借しました。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] クラス転生に「前世での晩酌は日本酒党」は無かろうよw
[一言] 設定は面白くワクワクします。 まだ序盤も序盤、テンポ良く話しが進めば読者を引き付けられそう。 他の転生者にスタートダッシュで差をつけるつもりの主人公とも目的が合致するので話しは書きやすい…
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