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VTuber界にTS少女が舞い降りる  作者: 狼メダカ໒꒱⋆͛
VTuber、始めました
3/10

#03 TS少女、初配信!

「はぁはぁ……」


 あー、顔が見えなければ大丈夫なんてことは無かった。いや、私の考えが甘かったのかも知れない。今の私は心臓がはち切れんばかりに緊張している。

 あの後2週間が経ち、私の所第一次審査を通過した。という、メールが来たのだ。第一次、つまり次があり、第二次審査は事務所で面接を行うとのことであった。あの時、何を言ったか覚えていない。というか喋っていないかもしれない。だから、これは絶対落ちたと思ってた。結果は見事採用。そのメールが届いた時は詐欺やイタズラじゃないか疑った。


 画面に映る「6103人が待機しています」という数字は、1000人もいないだろうと思ってた私を瀕死(緊張の極限)に追い込むには充分な数字であった。


「あ、後、何分……?」


 めるライの2期生は私を含め、5人いる。初放送の自己紹介は一人30分で順番に2時間半することになっている。そして私は一番最初。まさかのトップバッターを任されたのだ。

 基本的に視聴者は時間が経つごとに増えていく。だから、トップバッターは1番視聴者はが少ないため、マネージャーさんが私の事を考慮して、1番目にしてくれたのだろう。

 しかし、私のせいで視聴者が減ったら……などというプレッシャーもかなりある。正直、私は自分が面白いかどうかと聞かれると、否と答える。逆に誰かに私の事でで笑われてると、心のライフが赤ゲージに入るほどの雑魚メンタルである。

 放送の開始は20:30からとなっている。時計を見ると放送開始まで3分を切っている。


「もう、時間、ない……」


 よし、覚悟を決めよう……


「すぅ……はぁ……」


 無理だよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

 あ、やばいあと1分なのにさっきより精神状態がヤバい!

 えぇい! もうノリでなんとかしよう! いや、私それでぼっちになったていう前科が2回もあるじゃないかぁぁぁぁぁぁぁぁ!


「あっ! もう配信始まってる!?」


【初配信】はじめまして、雛聖愛雛天です【めるライ2期生】

6154人が視聴中


コメント:キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

コメント:始まった!

コメント:始まった!

コメント:キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

コメント:始まった!

コメント:初見です

コメント:私も初見です

コメント:初見なのは当たり前だろww


 私は慌ててミュートを解除した。

 ここからどうすればいいんだろう?!


コメント:まだー?

コメント:まだー?

コメント:まだか?

コメント:1分経過

コメント:初配信から放送事故か?

コメント:まだー?


 もう2分経ってる!? 30分という時間は長いようで意外と短い。 だから、たった2分の時間も大切にしなければいけない

 早く、何か言わなきゃ……とりあえず挨拶を。


「こ……」


コメント:こ?

コメント:こ?

コメント:こ?

コメント:こ?


「ここ、こここ、こここここ……」


コメント:なんだなんだ

コメント:おい大丈夫か?

コメント:落ち着いて

コメント:落ち着け

コメント:落ち着け

コメント:もちつけ


 緊張し過ぎて「こ」の次の「ん」が口から出てこない。

 コメントで「落ち着け」と言われるが、私は止まらない。


「ここここ、ここここここ、ここここここコケーッ!?」


コメント:コケーッ?!

コメント:コケーッ?!

コメント:コケーっ?!

コメント:ww

コメント:うるせぇw

コメント:あ、鼓膜が

コメント:どうしたどうした

コメント:大丈夫か?

コメント:何があった


 「こんにちは」と言おうとしたが、私は緊張のピークに達してしまい、鶏のような叫び声をあげてしまった。


「はっ! あわわ、えっと、こんにちは! 初めまして! 雛聖愛(すうせいあ)雛天(ひなーま)といいます。あ、めるライの2期生です!……よし、言えた」


コメント:慌ててるのかわいい

コメント:あたふたしてるのかわいい

コメント:かわいい

コメント:かわいい

コメント:かわいい

コメント:最初の「コケーッ!?」からの小声での「よし」のギャップがやばい

コメント:1人目から濃ゆいなww


 先程叫んだ反動か、緊張が解れ、今度は途切れ途切れだが、言うことができた。


「さ、先程は叫び声をあげてしまい、申し訳ありません、でした」


コメント:ええんやで

コメント:ええんやで

コメント:落ち着いた?

コメント:素直に謝れてえらい

コメント:可愛いから許す

コメント:まだ緊張してる?


「ありがとう、ございます。皆さんが優しい人達で、良かったです。思っていたより多くて、怖くて……」


コメント:怖くないよー

コメント:怖くないよー

コメント:怪しくないよー

コメント:↑怪しい

コメント:BGM無いの?


 コメントで言われて、音楽が流れてないことに気づく。


「あ、ごめんなさいごめんなさい。えっと、これかな?」


 EDとして使う予定だった音楽が流れる。


「あーっ! 間違えた。これEDのやつだ! こっちかな? はい、こっちです」


コメント:もう配信終わりかw

コメント:開始5分で終了

コメント:↑早いww

コメント:この曲好き

コメント:この子は良い素材を提供してくれそう


 コメント欄でネタにされている。うぅ……

 ここまででもう5分使ってしまっているため、少し急ぐ。


「では自己紹介、したいと思います。

えーっと、名前は雛聖愛(すうせいあ)雛天(ひなーま)。年齢は人間でいうと女子高生くらい。天界でいつも一人ぼっちで、友達が欲しくて下界に降りてきた穢れなき天使、です。好奇心旺盛な割に、とても臆病で、自ら寄って来るが、目が合ったりこちらから近づくと空へと逃げ出してしまう。

※とても傷つきやすい繊細な子なので取り扱い注意、です……あれ? これ、まんま私じゃん」


コメント:ずっと下向いてるw

コメント:カンペ読んでるなこれww

コメント:カンペそのまま読んでるの草

コメント:最後が素が出てて草

コメント:草草の草

コメント:草


 私の設定文は今日送られてきていたことに配信前に気づいたため、まだ読んでいなかった。設定というより、完全に私のことを言っているのだけど……

 何か演じることになると思いますって、マネージャーの人に言われてたのに……


「あれれぇ? おかしぃぞ?」


コメント:ぶふぉww

コメント:突然の声マネw

コメント:急に名探偵出てくるなww

コメント:似てて草

コメント:上手いんだがww


 いつもの癖で声真似でつっこんでしまった。


「あっ、うっかり……ごめんなさい……」


コメント:ええんやで

コメント:ええんやで

コメント:ええんやで(3回目)

コメント:もっとやって

コメント:他に何かできるん?

コメント:他にあるなら聞きたい


「え、はい。じゃあ、やらせていただきます」


 お私は大きく息を吸う。

 うっ……いつもは1人の時にしてるから、また緊張してきた……もう、一回やってるんだ。頑張るんだ私……

 今から言う台詞は某田舎日常アニメの挨拶である。


「にゃんぱすー」


コメント:にゃんぱすー

コメント:にゃんぱすー

コメント:似てる

コメント:似てる


「どうですか? あんまり自信ないんですが……」


コメント:上手いよ

コメント:上手い

コメント:上手い

コメント:上手だった

コメント:自信もって

コメント:もっとやってほしい

コメント:もっとやって


 私の声マネに対するコメント欄の反応はとても良かった。アンコールを唱えるコメントもあるが、そろそろ次にいかないと、時間がやばい?ゆばい?


「ごめんなさい、声マネはまた別の機会にやらせてもらうということで、配信前に募集していたマシュマロを読んでいきたいとおもいます。

 まずは一通目です」



彡□[VTuberになった理由は何ですか?]



「VTuberになった理由ですか。やっぱり友達が欲しかったからです。私、コミュ障なので……昔は、少しだけなら会話できてたんですけど、今は全く喋れなくてなってて……このままじゃマズイなと思ったんだですけど、中々最初の一言が出てこなくて……」


コメント:めっちゃ共感した

コメント:涙でそう

コメント:あっ、目から汗が…

コメント:つハンカチ

コメント:俺が落ちた理由が分かったかもしれない…


「そこで、2期生募集っていうのを見て、これだ! と思ったんです。でも、あの時のことは気の迷いだったと思ってます」


コメント:涙止まった

コメント:涙腺が崩壊しかけたけど、なんか元に戻った

コメント:草

コメント:草


「次のマシュマロいきたいと思います」


彡□[初めまして。尊敬する先輩っています?]


「尊敬する先輩は風馬先輩ですね」


コメント:風馬は草

コメント:あいつの尊敬するポイントが分からんのだが

コメント:なんで風馬なの?

コメント:ただの厨二病だぞ?


「厨二病だから尊敬してるんですよ。あんな堂々と羞恥を晒せるメンタルを私も見習いたいです」


コメント:なるほどw

コメント:納得w

コメント:あのメンタルはワイも見習いたいww

コメント:よく風馬はあんな恥ずかしい台詞言えるよな

コメント:貶してるのか褒めてるのかw

コメント:たし蟹


「け、貶してなんかいませんよ?! そんな恐れ多いこと……」


 いや、本当に貶してなんかいなからね。ただ、褒める所がある意味残念な部分だっただけで。

 あれ? これ普通に貶しちゃってる? んっ、気のせいにしておこう! だって怖いもの!


「では次のマシュマロいきます」



彡□[初めまして。相談したいことがあります。

 僕は好きな人がいて、その人に告白がしたいです。でも、突然告白されても相手が困りそうなので、まずはデートに誘いたいんですが、どう誘えばいいんでしょうか?]



「えぇ、普通に誘えばいいんじゃない? ……ごめんなさい、友達さえいない私には誘い方とか分からないです」


コメント:なぜこれ選んだし

コメント:何故言ったし

コメント:そもそも恋愛相談するのが場違いな希ガス

コメント:↑それな

コメント:草w


 本当に何でこれ選んだのかな? それに、普通に誘うってなんだ?


「普通に誘うってなんだと思いますか?」


コメント:哲学

コメント:「デートしよう?」とか?

コメント:分かんねぇ

コメント:普通…普通ってなんだ?

コメント:コメント欄は混乱している


 考えれば考えるほど分からなくなってきた。


コメント:もう30分経ってるけど大丈夫なの?


「え? あ……」


 配信開始から既に30分が経っていた。つまり、次に配信する同期の配信が開始する時間である。

 タグとかファンネームとかまだ全然決まってないのに……!!


「あわわわわ、ど、どうしよう?!」


ピロリン♪


 メールが来た。マネージャーからだ。


『10分延長しますので、落ち着いてタグなどを決めてください』


「マネージャーの人からメールが来て、10分延長してもらえるとのことです。なので、タグとか決めていきましょう!」


 マネージャーさんには迷惑をかけてしまった。後で、謝罪のメールを送ろう。


 それから、コメントで色々案を出してもらった結果、配信タグは『#ひななま』、イラストタグは『#ひなーまーと』、ファンネームは『#親鳥』となった。

 最後に次に配信する慈棘(しとげ)御棘(ごとげ)さんへとパスを渡し、配信を終了した。


「疲れたぁ……」


 緊張の末に叫んだり、配信を延長させてもらったりと、色々やらかしたりしたが……後半の方はいつの間にか普通に喋れていて、最終的には初配信は上手くいった、と思う。結果よければ全てよし! あ、忘れないうちにマネージャーの人に謝っとこう。

 なんか今までで一番力を振り絞った気がする。いつもは11時くらいまで起きているのだが、今日はとても眠い。

 そのまま、私はベッドに潜り込む。


「はぁ、でも結構楽しかったなぁ……」


 あー眠い。おやすみぃ……zzz……

ちなみに、この配信を見てる1期生はゆかりんだけです。コメントを打たなかったのは、しるるが緊張し過ぎてしまうからと、運営に止められた。



小飴ゆかり

めるへんライブ1期生

桃髪ツインテールの美少女。

めるライを引っ張るリーダー的存在。偶に壊れる。

10万人突破記念の衣装は飴模様のフリル



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