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VTuber界にTS少女が舞い降りる  作者: 狼メダカ໒꒱⋆͛
コミュ障が悪化していくだけのプロローグ
2/10

#02 美少女になってもリア充にはなれない

 なんとか、教室に間に合うことができた。短い距離とはいえ、普段運動をしない私は息を荒くしながら時間ギリギリに入ってきた私は教室にいる人達から注目を浴びた。そのことに私はビクッとなり、小さい体を更に縮こませ、黒板に貼られた座席表を確認して、自分の席へと着くと、ガラッとドアが開かれる。丁度、先生が来たようだ。


「おはよう。席に着いてるか。俺がこのクラスの担任となる(まい)武雄(たけお)という。教科は数学を担当している。これから一年よろしく頼む。

 さて、まずは1人ずつ自己紹介してもらうか。名前と趣味や特技、他に好きな食べ物とかも言ってくれていいぞ」


 くっ、やっぱりあるか。コミュ障の難関、自己紹介。

 大丈夫、これは予想していたからちゃんと、何言うかは考えている。青春を送るために自己紹介の失敗は許さなくも無いが、駄目だ。


「────です。宜しくお願いします」


 前の席の子の自己紹介が終わり、いつの間にか私の番となっていた。席に着いたのを見計らい、私はゆっくり席を立つ。


「ぇと……藤燈思瑠々と、いいます。ぇと、あっ、んと……」


 ヤバイ! 緊張で考えていたことを完全に忘れてしまった! クラス全員の視線が辛い


「趣味は……絵を描く、ことです。宜しくお願いします……」


 言い終えると、すぐに席へと着く。

 あぁ、また駄目だった……仮に考えてた内容覚えてても、この状態じゃ結局無理だったな。相変わらず私は学習していないようだ。ただ、声を出せただけでも誉めて欲しいのだ。

 クラス全員の自己紹介が終わり、体育館へと移動し、入学式が行われる。もちろん生徒の保護者もいる。そういえば、この前私の入学式のためにカメラ買い換えたとか言っていた。とってもお高そうなやつで、前世一般庶民だった私にはよく分からないが、何処にそれを買うお金があるんだろうと疑問に思い聞いてみたら、将来できる娘のために貯金してた。と言われ、何故そんなことが分かっていたのかと、疑問になることが増えてしまった。

 毎回思うが、校長先生の話ってなんであんな長いんだろうね。全く頭に入らないっての。まぁ、1時間くらいで入学式は終わり、クラスごとに退場するだけなのだが……


「あっ……」

「うおっ」


 退場中に何も無いところで転けそうになり、前を歩く男子の背中にぶつかってしまう。


「ご、ごめんなさい!」


 私は慌てて謝罪し、彼から離れる。


「おう、気をつけてくれよ」


 そう言って、彼は歩き出す。

 私は顔を上げところで、周りから注目されていることに気づいた。あんな大きな声出していたから、当たり前である。私は顔を俯かせ、少しでも感じる視線を防ぐように、歩き出した。早く帰りたい。


 その後はプリントが少し配られ、軽く武雄先生から話をし、解散となる。私は解散の挨拶をするとすぐさま鞄に物をしまい、教室を出た。

 正門まで行くと、ママが待っていた。


「終わったよ」

「お疲れ様。帰りましょうか」


 私達は駐車場へ向かい、車に乗り込む。


「今日撮った写真見る?」

「いや、見ない」

「あらそう、折角よく撮れてたのに。慌てた顔もバッチリ」

「その写真、できれば消して。お願い」


 輝かしい高校デビューの失敗となった原因とか、絶対黒歴史だろう。そんなものを見るほど、私のメンタルは備わっていない。あぁ、思い出すとまた恥ずかしくなってきた。


「娘の大事な記念日の写真よ? 大切に保管するわ」


 これは、もう無理だな。と思い、私は早くも諦めた。


「ところで、お昼はどうする? 折角だし、何処か食べに行きましょうか。何か食べたいものある?」


 そう聞かれて私は考える。基本的にママの作るご飯の方が美味しいから、外でしかあまり食べられないものがいいなぁ。


「んー、坦々麺が食べたい」


 ということで、私達はラーメン屋へと向かった。とても美味しかったです。


 そして、家に帰り着くと、ネームプレートに「Shiruru」と書かれた自分の部屋へと向かう。鞄を邪魔にならないところに投げ置くと、そのままベッドへと倒れ込む。


ピロリン


 突然スマホが鳴り、私は通知の内容を確認する。


「あっ、ゆかりんがライブやってる。見よ」


 ゆかりんとは、めるへんライブ所属するVTuberの1期生『小飴(こあめ)ユカリ』のことである。彼女は元気有り余る少女で、視聴者を元気にするトークとカリスマ性で同期のライバーを引っ張っているリーダー的存在である。ただ、偶にぶっ壊れておかしくなるのだが、そこがまた面白く、人気の理由でもある。あの「ゆかりん暴走カート事件」は一部にトラウマを与えてしまっただろうが……彼女のチャンネル登録者数は先日10万人を突破し、VTuber界でも上位に食い込む程の人気を持っている。

 私は前世からVTuberが好きであった。だから、VTuber黎明期と呼ばれ始める昨年までてぇてぇに飢えていた。

 私はYouTubeを開き、動画を再生する。


『飴ちゃんのみんな〜!こんゆかりん!』


【¥20,000】初手無言スパチャお兄さん:

コメント:始まった!

コメント:こんゆかりん!

コメント:こんゆかりん!10万人おめでとう!

コメント:10万人おめでとう!

コメント:こんゆかりん!

【¥50,000】川端光司:10万人突破おめでとう!

コメント:新衣装やんけ!

【¥20,000】鬼冷奴:おめでとう!

【¥1,000】匿名:こんゆかりん!

【¥2500】匿名:突破おめでとう!

【¥50,000】山芋の天ぷら:こんゆかりん!おめでとう!

【¥50,000】:おめでとう!

【¥50,000】:おめでとう!

【¥8,000】:おめでとう!

【¥50,000】………

【¥50,00】………

【¥50,000】………


 桃髪ツインテールの活発そうな美少女がいつもと違う衣装で画面に現れると、物凄い速さでコメントがカラフルに流れていく。

 しかし、こんな沢山のスパチャが送られようとも企業勢のVTuberは2~4割程しか自分の懐へと入ってこないと聞く。まぁ、それに見合うアドバンテージが企業勢にはあるのだが。


『わぁ! 赤スパチャが沢山! でも、ここまで来れたのは飴ちゃんのみんなや同期の仲間たちがいてくれたおかげだよ! 私を応援してくれてありがとう! これからもよろしくね!』


コメント:もちろん!

コメント:おめでとう!

コメント:よろしく!

コメント:よろしく!

日渡(ひわたり)むぎしろ✓:ゆかりんおめでとう

紅狐(こうこ)秋奈(あきな)✓:おめでとうなのじゃ

蒼天馬(そうてんば)風馬(ふうま)✓:流石だな。褒めてやるよ。

コメント:同期もよう見とる

コメント:風磨はなんで上から目線なんだよww

【¥10,000】:10万人突破おめでとう!これからも頑張って!


『むぎちゃん! 他の二人もありがとう!』


コメント:てぇてぇ

コメント:てぇてぇ

コメント:てぇてぇ

【¥2525】:ゆかむぎてぇてぇ


 ゆかむぎは最高。てぇてぇ


『今日は10万人突破記念枠ということでね! じゃじゃん! 新衣装です! どう? かわいい?』


コメント:かわいい

コメント:かわいい

コメント:かわいい

コメント:見え…ないっ!


『配信の最後に告知があるから、楽しみにしててね! まずはマシュマロ食べていくよ!』


 それから、ゆかりんはマシュマロの質問に答えながら、時節リスナー(飴ちゃん)の人達とお喋りしたり、リクエスト曲を歌ったりと、あっという間一時間が経った。


『あ〜! そろそろ一時間になるね! ということで、最後に告知して今日は終わりにしようか』


コメント:いかないで

コメント:いかないで

コメント:いかないで

【¥50,000】:いかないで

コメント:もうそんな経ってたのか

コメント:体感10分

コメント:待ってました!


『私達がデビューしてからもうすぐ4ヶ月経つんですよ! それで、そろそろみんな配信に慣れてきたと思うんです!』


コメント:もう4ヶ月…いやまだ4ヶ月か?

コメント:自己紹介で噛みまくってて、その度謝ってたのが懐かしい

コメント:あの頃のゆかりん可愛かったよな

コメント:今もかわいいが

コメント:本当にゆかりん成長したよな


『だから! 今、この時に! めるライの2期生を募集しようと思います! 条件はなんか凄い人! 応募方法とか詳しいことは公式サイトで確認してね! URLは下の概要欄に貼ってあるよ! 沢山来てくれると嬉しい!』


コメント:キタ━(゜∀゜)━( ゜∀)━(  ゜)━(  )━!!!!!

コメント:キターーーーーーーーーー!

コメント:キタ━(゜∀゜)━!

コメント:キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

コメント:お、遂にか

コメント:なんか凄い人ってw

コメント:ゆかりん達に会えるんか?!

コメント:早速、応募してくるわ

コメント:応募したわ

コメント:早いなお前らww


 『めるへんライブ2期生募集!』という文字が画面にデカデカと映る。これを見て、相手の顔が見えなければ私でも話せるんじゃないか? と、思った。


『それじゃぁ、みんな! またね!』


コメント:またね!

【¥8181】鬼冷奴:またね!

コメント:またね!

コメント:またね!

【¥8181】匿名:またね!

【¥10,000】dangerous:またね!

コメント:またね!

【¥50,000】………

【¥8181】………

【¥8181】………


[この放送は終了しました]


 配信が終わると、私はすぐさま公式サイトを開く。応募方法を確認すると、5分自己紹介動画を作り、必要事項を書いて、『応募』をポチる。


「しるちゃ〜ん、お風呂沸いたわよ〜」


 丁度ママに呼ばれたため、私は画面を閉じる。

 その後、私は冷静になり、壁に頭を打ち付けていた。しかし、既に過ぎてしまったことはどうしようもない。なるようになれ。まぁ、採用されるなんて無いと思うけど。

VTuberの必要機材とか色々調べたけど、全然頭に入らない(笑)

本当は昨日のうちに2話は投稿したかったんですけど、思ったより時間がかかっちゃった。

次回は多分TS少女の初配信回かな?!


誤字・脱字などありましたら報告して頂けるとありがたいです!


ついでに何かキャラの名前候補とか感想で欲しいです。全然考えつかないんです…

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― 新着の感想 ―
[一言] >ついでに何かキャラの名前候補とか感想で欲しいです。全然考えつかないんです…  その辺は難しく考えなくても大丈夫ですよ。  大空(おおぞら)ノゾム  大海(たいかい)ヲシル(又はカワズ…
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