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はじめまして

作者: 江夏鈴

めちゃくちゃ短いです。

 ああ……帰りたい。

 私と彼との間には、気まずい空気が流れている。正直、今すぐにでもこの場を立ち去りたい気分だ。先日、つい「彼氏が欲しい」と友人に漏らしてしまったのがいけなかった。無駄な気を利かせた友人は、私に彼を紹介すると、すぐに「ごゆっくり」と言っていなくなってしまった。完全に初対面の彼相手に、何を話そうか……いや、あまり話しかけないほうがいいかもしれない、そんなことを考えているうちに、かれこれ三十分は経っていた。お互いに相手がどう出るか、その一挙一動にとても気を使っていることが伝わってくる。

 その時、ふいに彼と目が合った。急なことで、私は微笑むことしかできなかった。すると、彼も微笑み返してくれたが、これがさらなる地獄のはじまりだったのである。一度合ってしまった目線を逸らすことができず、微笑みあい続ける羽目になってしまったのだ。しんと静まった部屋に微笑みあう男女が二人きり……。傍から見ればきっと異様な光景だろう。しばらく微笑みあっていたが、幸いなことに、彼の方から目線を逸らしてくれた。助かった。もう少し遅ければ、頬の筋肉が攣ってしまうところだった。しかし、ずっと微笑んでいたおかげで喉が渇いてしまった。飲み物を飲もうとバッグからペットボトルを取り出すと、再度、彼と目が合った。どうやら彼は何か言いたそうである。彼はしばらく口を開きかけては、閉じを繰り返していたが、ようやく私に話しかける勇気が出たようだ。

「あの、それ……し、新発売のやつ、ですよね?」

 一瞬なんのことだろうと思ったが、すぐに手に持っているペットボトルのことだと分かった。確かにこのジュースのパッケージには、新発売と書いてある。

 私が「そうみたいですね」と返すと、彼は「やっぱり!」と、嬉しそうに笑った。

私は初対面の人と話すのは苦手です。

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