全ての始まり
ーここは、チャンピカリア大陸。この大陸では人間とモンスターが共存し、共に助け合って生きている。人々は「契約リング」というものを通してモンスターと契約することでモンスターの持つ能力を使用することができる。熱を操ったり、
食材を凍らせて冷凍保存したりするなど、様々なことが出来るようになる。これはこのチャンピカリア大陸で生きる
1人の青年、シャッフの物語である。ー
「俺の勝ち なんで負けたか明日まで考えといてください
そしたら何かが見えてくるはずです。」
そういってシャッフは持参したバックの中に金を入れてカジノを出た。
「このままじゃせっかく作ったカジノも倒産だよ。どうしよ。」
とても大きく、胸に巨大なルーレットがついたロボットのようなモンスターであり、このカジノのオーナーを務めるダイスは大きくため息をつきながらそう言った。ダイスの近くに1人の客が歩み寄りこう言った。
「あいつ、あんな金持って何するんですかねぇ。」
「知らんよ。」
ダイスは即答した。
その頃、カジノを出て食料を買い、スラム街に向かうシャッフ。それを遠くから銀の体の龍が眺めていた。
「あの男こそ、私と契約するにふさわしい人材かも知れん。しばらく観察してみるか。」
その龍の名はメタルボールドラゴン。名前はかなりダサイが
その強さはこの世界では真ん中よりちょっと上くらいである。
シャッフはスラム街に行き住人に買ってきた食料を配る。
何故こんなことをするのかというと、彼はスラムで生まれ、
スラムで育ってきた。スラムのものは働く権利を国から与えられていない。だが、ギャンブルはできるため、シャッフは
賭けで勝った分だけ、スラムの人々に食料を与えていたのだ。シャッフに1人の住人が声をかける。
「シャッフ、いつもありがとなぁお礼といっちゃあなんだがこれを受け取ってくれ。」
「これは、契約リングじゃないですか。なんであなたがそんなものを?」
シャッフが質問した相手の名前はタツヤ。筋肉がすごいスラム1のおしゃべり野郎で毎日こっそりと街の方に出て情報を集めてくる、いわば情報屋だ。
質問に対して、タツヤはこう答えた
「落ちてたんだよ。スラムの入り口に。ここの住人みんなに聞いたんだが、みんなそんなもん知らんって言ってたからな。俺が持ってても仕方ない。だからお前に貰ってもらおうってわけ。」
タツヤはそう言いながら半ば強引にリングを渡しながらこう言った。
「お前には3日後スラムから出て行ってもらう。」
「‼︎」
あまりにも突然なことなのでシャッフは驚きを隠せなかった。
「何故僕がスラムを出ていかなければならないんですか‼︎」
タツヤは僕の話を聞かず、淡々とまるで台本を読んでいるかのように話し始めた。
「お前はバレてないと思ってんのか知らねえがみんな知ってんだよ。お前がどうして俺たちに食料を与えられるのか。」
「聞けばお前、負けなしらしいじゃねえか。毎日毎日カジノに行って全勝して帰ってくる。不思議なもんだ、店の奴に聞いてみれば、『あいつは嘘を言っているのかどうか全くわからない。それに、ここぞというときには必ず勝つんだ』お前には必然力ってやつがあるんだろうな。俺たちはそんなすげえ奴にスラムで終わって欲しくねえんだ。」
「俺たち?」
「ああ、スラムの住人全員に聞いたよみんな言ってたさ。お前みたいなやつにはもっといろんな景色を見てほしいってな。」
シャッフはその言葉を聞いたとき、涙が出た。
だが、同時に疑問も生まれた。その疑問はすぐに口にした。
「俺がいなくなったらスラムの食料や金はどうするんですか⁇」
「その心配は必要ない」
後ろから聞き覚えのある声がした。振り向くと、そこにいたのはカジノのオーナー、ダイスだった。
「君が旅に出ている間は私がスラムに食料や金銭を与えることを約束しよう。返す必要もない。これから先、一生君にカジノから金を絞られ続けるのならいっそ必要な分与え続ける方が我々の利益になると考えたのさ。だから君は安心して旅に出たまえ」
ダイスの言葉にシャッフは感動し、さらに涙を流しながら言った。
「わかりました。必ず悔いのない旅にします。」
そういうとシャッフは手首に契約リングをつけ、旅に出る決意をした。
「そうだ、スラムを出るまでに銀龍の遺跡に行けよ。
絶対にな。絶対にだぞ! 絶対にいけよ!!」
タツヤはなぜかしつこくシャッフに言い続けた。
〜次の日〜
シャッフは銀龍の遺跡に来ていた。
「なんで俺がこんなところに...」
シャッフは心の底からそうおもっていた。
遺跡の奥に行くと石碑があり、チャンピカリア語でこう書いてあった。 契約リングを近づけろ と
シャッフは書かれてある通りに契約リングを石碑に近づけた。その瞬間、遺跡の天井を突き破り銀色の龍があらわれた!その龍は大きな翼と全てを削りとれそうな爪を持ち、太陽の光の反射でとても輝いていた。
「我が名はメタルボールドラゴン。高き必然力を持ちし者シャッフよ、ここにくるのを待っていたぞ。」
「何故俺の名前を知っているんだ?」
「いい質問だな。私は貴様のことを常に見ていた。
貴様に契約リングを渡したのも全て私の意思だ。あの日、スラムの入り口に契約リングを落とし、貴様をスラムから出ていかせるようにしたのも、カジノにスラムへの支援を要求したのも全て私だ。」
「何故そこまでして俺を..」
シャッフが言い切る前にメタルボールドラゴンは答えた。
「お前の望みを叶えるためだ。」
「望み?」
「お前はスラムの人間を解放したいと思っているのだろう?私ならそれを叶えることができる。お前の努力次第だがな。」
「それは本当か⁉︎」
「ああ、リンクバトルトーナメントは知っているな?」
「知ってるよ。あれだろ、モンスターと契約した人間同士で戦うリンクバトルが1番強い存在を決めるために1年に1度行われるっていう。」
「一番強きものになれ。さすれば道が開かれる。
お前の望みのためならば、我が力を貸そう。どうする?」
シャッフは考えた。信じていいのかと。だが、信じて進まなければ、何も変わらないことなど気づいていた。
そして、シャッフは決意した。
「わかった。契約しよう。」
シャッフはそう言い、握手を求める。
メタルボールドラゴンがその手を握ると周りは光に包まれ、メタルボールドラゴンはチップのようなものへと変わった。
「それは契約チップ。モンスターと人を結ぶもので1人につき6個まで持つことができる。」
急に声が聞こえて来たので後ろを向くと、いたのはタツヤだった。
「なんだタツヤか。びっくりさせるなよ全く。」
「はは、ごめんごめん。それより、もう行くのか?」
「あぁ、今から行くところさ。」
「そうか、頑張れよ。」
そんな会話をしながら遺跡を出ると、外には
2人の中年の男がいた。
「ヨーヨーニーチャンお前今モンスターと契約したばっかだろ?だったらそのチップ俺達にくれよ。」
2人のうちの1人がこう言った。しかしシャッフは
「断る」
当然である。だが、その言葉を聞いた2人の男は契約チップを契約リングのスロットに挿入した。すると片方の男の身体は炎に、もう片方の男の身体は水に包まれ、しばらくすると炎と水が辺りに飛び散った。容姿は片方の男は赤、もう片方の男は青の鎧を纏っていた。彼らはモンスターとリンクしたのだ。
それを見たタツヤはシャッフに、
「契約チップを契約リングのスロットに入れてみてくれ!」と言った。それを聞いたシャッフも
「わかった」と言い、チップをリングに挿入する。
すると彼の身体に、何千、何万という程の数の小さな鉄球が纏われていき、それは鉄の鎧のようにもなった。
「これで、リンクできたのか?」
とシャッフが疑問に思っていると、炎を纏った男がシャッフに向かい炎のエネルギー弾を投げつけた。
「くらいやがれ!火炎玉!」
火炎玉はシャッフに直撃し、辺りを煙が舞った
「やったぜ!案外チョロかったな。」
油断していた男に前方から数多くの鉄球が襲い掛かってきた!
「な、なんだよこれえぇ!一つ一つの鉄球がまるで銃弾みてえなスピードで襲い掛かってきやがる!」
鉄球が全て通り過ぎると、炎の鎧を纏っていた男の契約リングからは光が消え、鎧も無くなっていた。
しかし、その場所に立っていたのは中年の男ではなく、鉄の鎧を纏ったシャッフだった。
「ヒイ、どういうことだよ、こんな強いなんて聞いてねえよ、逃げなきゃ、脱落するわけにはいかねえんだよ」
水の鎧を纏った男は逃げ出した。シャッフはその方向に向かって手をかざした。すると、彼の鎧の一部が鉄球に変わり水の鎧を纏った男に襲い掛かった!
彼の鎧は消えてなくなった。
「これが、メタルボールドラゴンの力....」
シャッフは自惚れたりはしなかった。むしろ彼が抱いたのは恐怖そのものだった!だがしかし、彼はそれと同時に完全に決意した!必ず!スラムの人々を救い出すと!
頂点に立つと!
「じゃあ行ってくる。」
「後悔しない旅にしろよ。」
彼らはそれを言葉にはしなかった。かわりに、互いに目を合わせ、うなずきあった。そしてシャッフは歩き始めた。 未来に向かって。
つまらない物だったと思いますが、読んでいただき
ありがとうございます。
気が向けば続きも出す予定です