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決闘の朝

約束していた一週間がたった。


訓練のコツは

過去も見ず、未来も見ず、今の全力の努力を積み重ねるだけ、

万全かどうかはわからないが、とにかくやれるだけの事はやった。


「随分と軽装ですね」


決闘に臨み、装備を整えるシドーにステラが話しかける。


鎖帷子

動きやすい衣服と靴。

良質な鋼鉄製の剣。


その言葉の裏には

決闘には万全の装備で臨むべきでは?

という疑問が投げかけられている。

決闘に望む者とはとても思えない程の軽装だ。


「これでいいんだよ

 どんな鎧でもセーラの攻撃は防げないし、どんな剣も通用しない。

 手ぶらもなんだから、取り敢えずで選んだらこの装備になった」

その言葉にステラは不安気な目線を向けるが、

「勝てるさ、だから決闘に行くんだ、安心してな」


とシドーはステラの頭をくしゃくしゃと撫でた。



決闘の場所は、周囲に何もない荒野が選ばれた。


周囲に構わず決闘でき、

事前の細工を防ぐため、場所は立会人同士で当日決められる。


魔王側は、ビリーとスズ、ユズ、そしてステラ

セーラ側はブリトラ、その他有力な竜族


決闘の結果如何では、魔王軍と竜族の全面戦争になりかねない。


ビリーは悠然として剣の手入れをしており、

スズは威風堂々とマントをたなびかせて相手を睨みつけているが、

皆少し緊張している様だった。


シドーは構わず、準備運動を始める。

体調は万全だ。

装備も問題ない。

後は、勝つだけだ。


やがて、陽光を切り裂き、セーラが現れる。


光を反射して眩しい。

身にまとうのは綺羅びやかなな全身鎧。

そして、ダイヤを散りばめられたガントレット。


セーラ専用に作成され、調整された特別製。

鉄より固い、ダイヤと宝石を惜しみなく使用した、

この上なく豪華で、頑丈な鎧だ。


セーラが地面に降り立つ。

シドーの眼の前だ。

剣の間合いというのに、全く気にしていない。

「よく顔を出せたものだな」


強張った声色が聞こえる。

あれだけの事をしておいて、よく自分の前に現れたな、

という意味だろうか。


「顔を出していないのは、お前だけどな」

そう言ってシドーは笑った。

フルフェイスの兜に覆われ、セーラの表情は見えない。

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