厄介な婚約者2
シャルルの愚痴多めです。
プロポーズから、平穏ライフは諦めかけてましたよ、そりゃもう、ね?程々の距離といっても婚約者である以上は、恋人扱いになるわけで。流行っていたラノベの主人公のように鈍感ではない私はシルフィリア様は公爵なのに伯爵の位しかない私、領地も特に公爵家と関わりがない、のに求婚されたわけですし、ある程度察しますよ。違うのだったら、いくらでも自意識過剰女とでも言いなさい!と、まあ、それは置いておきまして、相も変わらず本から顔を上げた私はシルフィリア様と向かい合っています。側から見たら、熱く見つめあってるとか思うのかしらとか思う私の心は勿論冷静で冷え切っている。笑顔ですけどね?一応、この体勢、私の本を読みたい欲求的に辛いから、辛いから!早く終わらせてくれ、という気持ちを込めて見つめていたのだが、通じなかったようだ。考え事をしていたというのもあるけど。何はともあれ、これは私から口を開かねばいけない雰囲気である。授業時間も差し迫っていることですし。
「御機嫌よう、シルフィリア様。朝の挨拶に伺えず申し訳ございません。ところで、私の顔に何か付いていますか?」
言外にジロジロ見るなというニュアンスを含ませる。
「あぁ、すまない。なんとなく会いたくなったから……」
はい?待って、もしかして私、ただそれだけのために読書を邪魔されたのかしら?大抵のことなら、あー、思春期の男の子だもんね、恋だってするよねぇ。うんうん。で済ませるけど、読書となれば話は別だ。絶叫系ジェットコースターの如く、私の中でのシルフィリア様の好感度が下がっていく。平穏は難しそうだな。このまま下がられると、私が耐えられない。けど、とりあえずは帰ってもらうしかない。だって、これでシルフィリア様が遅れたら、あの女のせいね!なんで教育をしているのかしら?などと言われるのはこっちだ。それくらい考えてからきてほしいものである。前までのマメな男はどこにいったのやら。
「まぁ、それはそれは。でも、もうすぐ授業が始まってしまいますわ。私も話したいところではあるのですが、なにとぞ準備がありますので……」
ここまでで分かるように、シルフィリアへの評価は急激に下がっていった。さて、このままでは平穏な日々は訪れない。さて、シルフィリアはどうするのかー?
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