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禁眼の吸血姫  作者: 榛名 怜
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第三十三話 ルナの贈り物

今回も短めです。


屋敷の中に侵入しルナは、アリスと別れ屋敷の中を走っていた。

ルナの目的は屋敷内の非戦闘員の排除である。


もし、貴族との戦闘になったら月光魔法を使ってアリスが来るまで逃げる手筈になっているが、屋敷で私兵が待ち伏せしている辺りを考えるに本命はアリスの方にいるのだろうと思うが。

分身アルターエゴ】の魔法でルナは八人に分身し、屋敷の使用人たちを斬り殺していく。


使用人達はみな、息を潜め、物陰に隠れやり過ごそうとしていた。

しかし、実体を持つ幻影達は、屋敷の中を駆け部屋を一つ一つ周りしらみつぶしにめぐっていく。

使用人たちは、私兵達の様な戦闘力はなく容易く屠ることができた。


屋敷内の人間を惨殺していると、屋敷の最も奥の部屋へ向かわせていた幻影の一人が突如消された。


「なるほどね。そこにいたのね」


ルナは魔法で姿を消し、幻影の消された部屋に向かった。






部屋の中には、腰にレイピアを刺した老執事と身なりの良い服をきた若い女と少女がいた。


「怪我はありませんでしたか、奥様、お嬢様」

「ええ。私もこの子もあなたのお陰で怪我はないわ。ありがとう。」


ルナは姿を消しながら中の様子を観察する、おそらく目の前にいる老執事が幻影を殺したのだろうとあたりをつけ、会話している今、完全な不意討ちで仕留めようと姿を消し、死角から攻撃を仕掛けた。


「いいえ。私は旦那様から命令に従っているだけでございます。私が死ぬまで守れと——」


突如、老執事は会話をやめ、腰に差したレイピアを抜き放ち、ルナの攻撃を防いだ。

レイピアは、刀身が普通の剣と比べ細く、刺突に特化した剣であるだが、ルナの双剣の刺突を刀身を滑らせるように受け流したのだ。

まるで、姿の見えない攻撃を事前に知っていたかのような動きで防いだのだ。


攻撃したことで姿があらわになってしまったルナは、攻撃が防がれたことに驚くも動揺はなかった。

幻影が消されていた時点で防がれることは想定の範囲内の結果であったからだ。


「ふむ。あなたが本体ですか?まぁ幻だろうと私がいる限りこの方たちには指一本触れさせませんが……」

「姿の見えない攻撃を防ぐか……『分身アルターエゴ』」


ルナは分身を再び出し、今度は七人で襲いかかった。


「数で押し切れるとは、思わないでいただきたい。奥様少々お下がりくださいませ」


ローブを纏った集団が老執事を攻撃をしようと剣を振うも、そのすべてを逸らされ避けられてしまう。

あからさまな攻撃は当然のこと、死角からの攻撃、不可視の攻撃すら避ける。

攻撃は避けられ反撃さえ老執事はしてくる。

幻影達が消される度に補充し自身も攻撃に加わるが結果は変わらない。それどころか反撃をされてしまう。

身体にはレイピアにより切り傷が刻まれ、分身をつくる度に魔力が減っていく。


「これならどう——」


ルナは老執事に向かって投げナイフを投擲した。

老執事は当然この攻撃も把握しているだろうし、避けることは容易いだろう。

しかし老執事には、避けるという選択肢はない。

なぜなら射線上には、守るべきものがいるからだ。

老執事は目にも止まらない速さでナイフを次々と落としていくが、幻影の攻撃を防ぎながらでは流石に限界があった。

ナイフは老執事の身体に数本だが確かに刺さっていた。


「じぃ、大丈夫ですか!」

「これくらい問題ございま——ゲフォゲフォ」

「じぃ!ゲホゲホ、これ一体……」


部屋にいる人間達は突如血の混じった咳をし、膝をついた。


「やっと効いてきたわね。無理しない方がいいわよ。まぁ別にいいけど、これでもうおしまいだし。貴方の『贈り物』未来視か何かなのかしら、正直アリスと戦ってるみたいだったけど所詮は劣化版ね」

「私の『予見ビジョン』にこんな攻撃は映っていなかった。こ……これはなんだ。体が——」

「熱いでしょう。燃えるように熱くて、身体に力が入らないでしょうね。私の贈り物は『猛毒』毒を造り操り消す力。でも私の猛毒って使い勝手が悪くてね、この通り即効性に欠けるのよね。もし、あなた達が気がつけていたら、違った結果だったかもしれないわね」


未来視とは言ってしまえば未来を知る能力ではなく、未来の光景を見る能力である。

そのため不可視の攻撃など目に見えない攻撃や目で追えない攻撃は見ることができない。

しかし、あの人間のように未来で負うはずの怪我から攻撃を逆算して不可視の攻撃を防ぐことはできるのだ。

だが、目に見えず攻撃されたことに気づくことのできない攻撃は如何に未来を見ようと回避することは不可能である。

ルナが今回創った猛毒は、全身に行き渡って初めて効果を発揮する無色無臭のガス状の毒であった。

もちろんルナ自身も毒を吸っているが、体内で消されているために問題にはならない。

ルナはフードを取り分身を消した。


「あ、亜人風情が……」


床に倒れた人間達がルナをにらめつけるが、本人はそれを気にした様子なくゆっくりと近づく。


「私ね、この『贈り物』嫌いなのよ。アリスにもノアにも話していないの。だって毒を操る女なんて可愛くないじゃない。でもあなた達のそういう苦しむ顔を見られて今は心地いいわね」

「この外道が!」

「卑しい亜人の分際で」


ルナに人間達は罵詈雑言を浴びせてくるがルナはそれに取り合うことなく横たわる人間の前に立った。


「ほんとは、二人の目がない今、毒でドロドロに溶かしてあげようと思ったんだけど。生憎時間がないのよ。だからこれで本当におしまい。さ・よ・う・な・ら」


ルナは手にした双剣を振り下ろし人間達の首落とし、屋敷にいる人間達を全て殺した。

ルナは鞘に双剣を納め部屋を見渡した。

使用人のような服ではなく、身なりの良い服を着ておまけに護衛までいた部屋だ。

何かあるのではと思い、ルナは部屋を物色した。


机の引き出しや棚などを手当たり次第に開けていく。

やはりというか、想定はしていたが出てくるのは宝石などの貴金属ばかりであった。


「宝石なんかいらないのよね……他にはないのかしら」


その後も色々探すも、結局めぼしいものが見つからず、引き上げようとしたときそれは目に入った。


「これは使えそうね。アリスへのいいお土産になりそう」


ルナは壁に貼り付けられたそれらを懐に入れ、今なお狩りをしている分身たちと合流し生き残りを狩り出しに行った。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

ブクマ、評価、感想等をいただければ幸いです。


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