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強引にゴーイングマイウェイお嬢様

「今日からこちらの学校に転校してきました、喜多カグヤと申します。皆さん、よろしくお願いします」


カグヤの協力を申し出てから1週間後、カグヤが太郎の通う学校の太郎のクラスに転校してきた。


『喜多って、あの喜多財閥だよな』

『お嬢様がどうしてこの学校に?』

『社会科勉強だろうか? どっちにしてもお近づきになりたいな』


制服は普通でもその着こなしの良さや、日本人離れしたスタイルに、少し色の違う髪色や瞳は嫌でも目立ってしまう。


「そこのあなた」


「はい?」


「学校を案内してくださらないかしら」


「分かりました……」


放課後、クラスメイトが皆カグヤに話しかけに行こうとするが、その前にカグヤが太郎に声をかけ、一緒に教室の外に出た。


教室を離れていく太郎の耳には、クラス内がざわついているのが聞こえてきていた。


「行動が早いですね。カグヤさん」


教室を離れて歩く途中に、太郎はカグヤに話しかける。


カグヤの容姿は非常に目立ち、周りから目線を向けられるが、放課後ということでやや人は少ないので、話しかけた声が聞かれることは無い。


「あら、分かってたの?」


「なんとなくですけどね。1週間なんの音沙汰も無かった時点で転校をしてくる可能性は高いと思ってました」


「私がいくらあなたを婚約者と言っても、お父様が簡単に納得はしないから。ここは形から入るのが自然だと思ったの。前の学校ではずっと成績トップだったし、お嬢様の学校には興味ないもの。素養を広げるためって言ったら、簡単に転入させてもらったわ。あ、もちろん、不正はしてないわよ。転入試験もきちんと受けたわ」


「でも、俺に一言欲しかったですね。俺目立つの大嫌いなんです。カグヤさんが横にいるだけで目だって仕方ないんですけど」


「そこは受け入れなさい。私という存在を認めたからには、それは仕方ないことなのよ」


「まぁ、いいんですけど、カグヤさん。今回のことを話しておきたい人が2人いるんですが、大丈夫ですか?」


「どなたかしら?」


「俺がクラスでよくつるんでいる比嘉士彦っていう友人と、彼女の仁志乙姫先輩です。この2人にきちんと話しておかないと、俺の立場がややこしくなります」


「そうね……、本物の彼女に迷惑をかけるわけにはいかないし、クラスに1人くらいは事情を知ってくれている人がいたほうが、いざというときフォローしてもらいやすいものね。それはあなたに任せるわ」


「カグヤさんにも紹介しますけど」


「それは必要ないわ。友人なんていらないから」


「いらないってことはないでしょう。俺は別に多くは無いですけど、0人だと苦労しますよ」


「私は何でもできるから、1人で十分なのよ。人とのしがらみがあるほうが、目的の達成には苦労が多いの。あなたも、お父様があきらめたら、お別れよ」


「はいはい、1日でも早くそうなることを祈ってます。ですけど、せめて横にいてください。俺が1人で急にそんなことを言い出したら、頭がおかしいと思われますから」


「ええ、それくらいはいいわよ」


意外と話がわかるお嬢様。ワガママな主張はしているが、そこまで押し付けてこないので、話がスムーズである。


「じゃあまず士彦から紹介します。教室に残してるんで」



「おっす、太郎。驚いたぜ。お前意外とやり手だったんだな」


太郎とカグヤが再び教室に戻ると、既にクラスには1人だけしか生徒はいなかった。


やや痩せ型で色白、なぜか光沢のある髪の毛は少し男性にしては長く、後ろで軽く結んでいる。


「え……、この人があなたの友人なの」


「おいおい、ひでぇなあ喜多さんよぉ。俺のこれはおしゃれで健康に気を使った結果なんだよ」


「まぁ、こいつはこういうやつなんで。別に無理なら無理でいいですよ。士彦たいていのやつに無理って言われてますから」


「俺はありのままでいてぇんだよ。そんなことはどうでもいいんだ。太郎。お前さん彼女もちの癖に、お嬢様とも怪しい関係ってのはどういうこった。お前らしくないだろう」


「そこらへんの説明をするために残ってもらったんだ。話を聞いてくれ」


太郎は現在の事情を士彦に話した。


「ふ~ん、相変わらずのイエスマンだな」


「お前までイエスマンいうのか」


「イエスマンじゃないか」


「太郎は学校でもそうなの?」


「ええ、こいつ俺とつるんでる理由の1つが、周りに物事を頼まれすぎないようにするためだから。俺が特に女子にいい印象もたれてないから、一緒にいればこいつも自動的にそこまで話しかけられないから」


「なぜそんなことを?」


「こいつがお人よしで優しいから、頼まれると大体OKしちまうんです。それを皆知ってるから、そこまでクラスでも浮かないんだ。俺がいなくても、ぼっちにはならない。他にも2人か3人くらい話せるやつはいる」


「いいじゃんか。お前が好き勝手できるんだから」


「まあな。2人組とか作るときこまんねぇのは助かる。気を使ったりすんのは嫌だからな」


「まぁというわけで、俺とこいつはそう言う関係です。友人っちゃ友人です」


「しかし喜多さんはなかなかいいチョイスをしたんじゃないか。こいつはなかなかの破格物件だぜ」


「目立たないのに?」


「バランスがいいんだよ、明確なマイナスポイントがない。めんどくさがりやの癖に責任感あるから、多分最後まで付き合ってくれるんじゃないか」


「それはいいことを聞いたわ。あなたも協力してくれれば成功の際には報酬を約束するわ」


「へーい、何かあったらいつでもどうぞ」




「太郎、あれが友人なの?」


「友人ですよ。しかも声をかけたのは俺です。1年生で同じクラスになったときに、1人でゆったりしてたんで。ああ、言いたいことは分かりますよ。あいつフリーダムにもほどがあって、風呂も3日に1回くらいしか入らない上に、服装も適当で校則を破りまくってますから、いわゆる問題児です」


「でも、あんな人と付き合ってたら、太郎自身の気品にも関わるんじゃないかしら?」


「まぁそこらへんは考え方の違いってことで。俺と一緒にいればあいつのいいところも見えてきますよ。俺は欠点しかない問題児と友人になるほどは、お人よしじゃないですから」


「覚えておくわ、それよりも、彼より大事な人がいるはずよね」


「ええ、多分今日も図書室に居ると思いますので話しましょう」


そして、2人は教室を後にして、図書室に向かった。




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