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WORD~キミの言葉が煌くとき~  作者: 北佳凡人


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7/9

6話 崩壊

「あんたの呪文は、どんな景色を見せてくれる?」


 大臣に向かって、少年の言葉が弾けた。


 ―― 魔法使いに変えてやろう ――




 長い会話の最後。

 ぽつりと付け足した一言は、魔法を放つ呪文となった


「な――。」


 大臣との会話は、言葉のキャッチボールともいえる長いものだった。少年の口言葉にはどのような意味内容があったろうか。

 言葉の濃淡、呪文と魔力の理、言葉を語ることの危険性、そして小国の王が自国を滅ぼした魔法力の話……。


 口から放たれたWORD群は、趣旨が集約された詠唱だ。それはエネルギーとなり、大臣を魔法使いに変える呪文を後押しする。


「う、ああ……」


 思いがけない魔法衝撃に、大臣の身体が強張る。両手両足の指先を握り締め身を縮め、体内をかけ抜ける苦悶にうめき声が漏れた。立っておれず、身をよじらせ倒れ込む。


痛みは普通の人間だった大臣が、強大な魔法使いへと 変貌していく通過儀礼だった。姿形は変わらないが、苦悶にあえぐ形相は鬼のようになっている。


「はあ、はあ。」


 永遠に感じられた【ジョブチェンジ魔法】は唐突に終わった。爪が食い込むほど握られていた拳は解かれ、強張った顔の筋肉が緩まる。


「わかる、わかるぞ。我の中に魔力がみなぎっているのがわかるっ!」


 苦痛から開放されたと同時に魔法使いになった感覚を実感する大臣。抑えきれない笑みが顔中に広がっていく。


「ただの人を魔法使いに変えるといった言は、本当だったようだな」


 商人は言った。召還された異世界の勇者は魔法使いを生み出せると。それが事実だったことに、国王は喜んだ。労せずして国内戦力の充足できると小躍りさえしそうな満面の笑み。


しかし王の破顔はすぐに凍りついた。再び拳を握り締めた大臣が、王に向けて叫んだのだ。


「王よ! この国は我がもらうことにする。今から、我こそがこの国の王だ!」

「ば、バカなことを。気でも触れたか大臣」


 恭しく王に仕えていた大臣の発言とは思えない態度。家臣にあるまじき暴言に、王が怒りをあらわにするが、反逆の言を翻さない。


「気でも触れたかだと? ふふふ。もとより、我の望みは国の支配。力を手に入れていささか早まっただけのことよ」


 そういうと言一狼のほうを振り返り、ひとつ頭を下げだ。


「礼をいうぞ、異世界の勇者よ。我に強大な力を与えてくれたことにな。先ほどは、魔法の使い方も教授してくれたな? よくわからんが、言葉を話せばそれが魔法になるのだな? それでは最初の魔法を使ってみるとするか――」


 大げさに息を吸い、集中するように呼吸を整える。


「こんな、都合のよい魔法を使う人間を放置するいわれもない。強大な魔法使いは我1人で良いのだ。勇者よ。王と共に滅びてしまえ!」


 出来立てホヤホヤの魔法使いとなった大臣。彼が唱えるはじめての呪文らしき言葉を受けて、魔法が発動する――が、始まった事象は、大衆がイメージするそれとは大きく異なっていた。


 言一狼はもう喋らない。もし彼が口を開いたとしたらこう言ったろう。


『コントロールできるならやってみろ』



 大臣の口から出た言葉は、目に見える文字となって、空中に放出されていった。身構えていた王、すでに逃げを打っている家臣、取り押さえる下知を待つ騎士。彼らは、真新しいイベントでも鑑賞するように、視線が釘付けになっていた。


「あれは、魔法なのか?」


―― われの一族はたった一度の過ちでないがしろにされた成り上がるために心を鬼に国の支配者にしたがってきた押し付けまがいな他国との貿易侵略からの防衛有力貴族の暗殺拉致こんなに尽くしたこれほど尽くしたのに国の王は口ばかりで指導力ない侍る者たちは追従やら自分の身の心配だけのアホだらけ我に従う者どもも頭を使わない能無し脳筋で愚民はどもは今と明日しか見ようとしないで国が悪いの貴族が悪いの勝手を言うろくでなしばかりでドイツもこいつも知的なわれの邪魔ばかりならばこそわれが頭となり国を収め要らぬ者どもを殺して殺して消して思うがままの政に従わせるのが万民の幸福となるのだから壊せ壊せ城も国もなにもかも壊しつくすのが…… ――


 言葉の暴走が止まらない。


 先祖から引き継いだ冷遇の恨み。ドン底から成り上がった慢心。口ばかり立派な主君への憤り。能無しの従属や、馬鹿な配下や、自分のことばかりの民。人の足を引っ張るだけの敵対勢力。そして、おのれこそが国の統治に値する力量があるという自負と再生への欲望。


「ぐお、ぉぉぉおおおぉぉぉ」


 自分の口を思い切り両手で抑える。溢れる文字を押しとどめようとしたのだが、無駄な努力であった。生まれてから今日まで秘めてきたドス黒い言葉は、視覚化された文章となって指の間から次々と出動していく。やがて謁見の間を満たしつくすと、堅牢な石造りの城に亀裂を入れていった。


 ミシッ、ミシッ。ギギギギッ。ガガガガッ。ドグァァァンッ。


 危険な音を耳にしてことで、やっと我に帰る王達。しかしすでに、逃げる機会は失われていた。細糸の太さの亀裂は縦横無尽に拡大し、壁といわず天井といわず破壊か開始された。



なんというか、、、力みすぎの作品になりました。

どんなに直しても上方修正不可。後2話の予定なので、このまま突っ切ります。


いい経験となりました。


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