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STAGE  作者: 今野 英樹
23/44

Blue memory 2013

信吾の結婚パーティの翌週末、パーティの成り行きで5人フルメンバーが揃ったThe Namelesとして、初めてのスタジオでの練習。

STUDIO AIRの前に俺と陽子が並んで佇むと、陽子が懐かしそうに見回す。

「へー、建物は変わってないのね?でも何か小さくなったように見えるわね。」

それは四半世紀ぶりに見る景色の錯覚か、もしくは俺達が成長したからじゃないですかね?

「美空のお店ともすっごい近所なのね?びっくりしたわ。」

「そうなんだよ、それで俺達練習後に寄ってたってわけ。・・・さ、入ろうぜ。」

ドアを開けて陽子をエスコートしてやる。

「いらっしゃい!・・・あら?」

カウンターで新聞を読んでいたマスターが顔を上げ俺達を迎える。

「オーナーさん!お久しぶりです!」

陽子が笑顔で駆け寄ると、オーナーが陽子と俺を代わる代わる丸い目で見比べながら

「・・・えっと?蓮野君、・・・もしかして陽子ちゃん?」

俺が無言でうなずくと、オーナーが席を立って駆け寄ってきて

「あらまあ!陽子ちゃん!まあ綺麗になって!」

ちょっと涙ぐんでいる。

何か久々に会った親戚の叔母さんみたいだな。

「オーナーさんもお元気そうで!」

陽子もその手を取って再会を喜ぶ。

いや、綺麗になったと言われて喜んでいるのか?

二人は待合室のベンチに座って話し込む。

何か、おばさんとおばさんの井戸端会議みたいな会話だ。

・・・一方はおじさんのはずだが。

そこへ、ちょっと遅れて祥二が入ってきた。

「やあ、ごめん!遅くなったね。」

「よう!俺らも今来たとこだよ。・・・信吾と徹もまだ来てねえし。」

井戸端の陽子も振り返り

「あら!祥二君、ヤッホー!」

と、手を振る。

「陽子ちゃん!いやあ、何か嬉しいなー。また5人で演奏出来るなんて思ってもみなかったよ。」

祥二が肩からベースを下ろしながら近寄って来る。

「私も、まさか巻き沿い食らうとは思って無かったけどねー。」

陽子が口を尖らせて笑ってるような、怒ってるような微妙な表情で言う。

奥さん、しわ寄ってますよ。

・・・後が怖いから言わないけど。

ガチャッ!

その時、練習スタジオのドアが開いて、数人の少年?少年だよな?性別不詳の若者が出て来た。

赤に青に緑に黄色、カラフルな髪の色にナヨッとした体つき。

顔を見ると、ガッツリメイクをしてるが、やっぱり男の子のようだ。

数年前に流行ってたヴィジュアル系ってやつなのかな?

って言うか、練習するのにメイクまでして気合い入りすぎじゃね?

俺達が高校生の時に興ったバンドブームが、数年経ち下火になった頃、奇抜なファッションと髪型、メイクのバンドが現れちょっとしたブームになった。

その音楽性はまちまちで、音楽的なジャンルを超えて、見た目勝負的なバンドも多かった。

その派手な集団は、俺達が座ってるテーブルの隣に座ってだべり始めた。

それがヴィジュアル系バンドブームってやつだ。

そんな彼らを見て意外にも祥二が

「やあ!こんにちは!練習終わったの?」

と、話しかけた。

普段人見知りで照れ屋、自分の店の店頭にも顔を出さないパン屋の主人が、こと音楽の事となると人が変わったように積極的になる。

祥二の店がやっていけるのは、おばさんと織美ちゃんのおかげだな。絶対。

「ねえ君達、どんな音楽やってるの?」

祥二が目を輝かせて彼らにたずねる。

するとそのうちの一人赤い髪の戦隊もので言えばリーダー的な感じのあんちゃんが、いかにも話しかけられて迷惑そうな表情で

「あー、見ての通りの最新のロックっすよ!・・・おじさん達はどんなのやってんすかー?」

一応、めんどくさそうに聞き返す。

・・・その「見ての通り」が見てわかんねえし、お前らの言う「最新のロック」ってのもどんなのかわかんねえよ。

明らかにあきれ顔の陽子と、明らかにあきれてる俺をよそに、祥二が嬉しそうに身を乗り出して答える。

「俺達はね、ビートルズとかストーンズのカバーしたり、ぼちぼちオリジナルもやったりしてるんだよ!」

青い髪のあんちゃんが、怪訝そうな表情で

「ビートルズとストーンズって何すか?」

オーマイガーッ!!!最近のロック小僧どもはThe BeatlesとThe Rolling Stonesも知らんのか?

まあ、俺達もThe Beatlesをリアルタイムでは知らん世代だ。

でも超有名だったし、何となく耳にする機会も多かったし、意識しなくてもThe BeatlesとThe Rolling Stonesの曲の超メジャーな曲は知ってたよな。

ロック好きを名乗っててビートルズとストーンズを知らないって、どうなんだ?

最低限、名前ぐらいでも聞いた事あるでしょ?

中学の英語の教科書に「Yesterday」の歌詞載って無かった?

・・・これがジェネレーションギャップって奴なんだろうか?

まあ俺も会社の若い連中同士の会話について行けない事も多々あるしな。

・・・俺達が年を取った証拠の哀しい現実だ。

と、俺が何となく凹みかけていたその時、後ろにいたメンバーの一人が

「あー、そう言えば俺の爺ちゃんがレコード持ってたな。ビートルズっての。レコードプレイヤーなんて無いから、聴いたこと無いけどよ。」

途端にあんちゃん達が一斉にゲラゲラ笑い出す。

「ワハハハハハ!何だよ!爺のロックかよ!・・・しかもレコードって何だよ?だっせえ!」

まあ、ポール・マッカートニーもストーンズのメンバーも70歳過ぎだから、確かに爺さんのロックっちゃそうだが。

何かロックレジェンドが爺さん呼ばわりされて、自分の事のようにさらに凹む俺。

嘲笑いながらそのあんちゃん達が席を立ち出す。

うち、青い髪をした生意気そうなあんちゃんが、むせびながら

「俺達はDEATH BOYSって言うんすよ。おじさん達、俺達ビッグになりますから覚えといて下さいよ!」

一応敬語だが、言ってる内容はめちゃくちゃクソ生意気だな。

陽子がハッと何かに気付き、俺に小声で

「ねえねえ、DEATH BOYSだって!確か昔バンド名決める時、徹君もそんな事言って無かったっけ?」

・・・そう言えば、そんな事もあったな。

それを陽子が全力で拒否して、The Namelessに辿り着いたんだっけ。

「おー、言ってたな。」

「でしょ?センス一緒ね!おっかしい!」

陽子がクスクス笑う。

明らかにその集団は今度は自分達が笑いものにされてると気づき、何かを言おうと身を乗り出した。

その瞬間、入り口のドアがガチャッ!開き信吾が入って来た。

「おう、わりい遅れたな。」

見上げるような巨体の信吾を見て、DEATH BOYSと名乗ったあんちゃん達が一斉に固まる。

そして慌てて全員下を向く。

・・・まあ当然の反応だよな。

ネーミングセンスは一緒でも、徹と違って信吾にビビらずに向かっていくような根性は持ち合わせていないようだ。

恨めしそうな顔をして、DEATH BOYS君達が信吾を避けるようにスタジオを後にする。

ドアが閉まると、陽子がひきつった笑顔で俺を振り返り

「・・・ちょっと、今あの子達『クソババア。』とかって言いながら出てったわよ?」

・・・えーっと、俺には何も聞こえなかったが、マジで言ってたとしたら凄い高性能な地獄耳のデビルイヤーだ。

「ねえねえ、クソババアって誰の事かしら?ねえ誰?」

ヤバい、相当怒ってる。

しかもその矛先が確実にこちらに向かってる。

祥二と信吾を見ると・・・、あ!目をそらしやがった!お前らそれでもダチか?

ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ピンチだ!

そこへ何も知らずに徹が入ってきた。

「わりいわりい遅くなったわ!それより見たか?何か今オカマみてえな奴らが出て行ったぞ!ギャハハハハ!」

陽子の目線がゆっくり俺から徹に移る。

確実に矛先が俺から新たなターゲットにロックオンしたのがわかった。

・・・助かった。

「そもそもねー、あんたが変なバンド名考えるから悪いのよ!!」

陽子が徹のネクタイをつかむ。何故か顎がしゃくれてる。

「うお!?何だ!?暴力反対!!・・・更年期かよ!?」

・・・あ、何でまたそんな余計な一言を。

「はあーっ!?何ですってーっ!?」

当然、ぶち切れた陽子が徹のネクタイをさらに締め上げる。

「・・・おいっ!!・・・喉っ!!・・・死ぬっ!!・・・ギブギブギブギブッ!!」

顔色を変えた徹がタップしながら悶絶する。

俺達3人はオロオロするばかりだ。

「ストップ!!ストーップ!!陽子ちゃんストーップ!!」

慌ててオーナーが止めに入る。

「・・・あら?・・・フフフフフ、やーね徹君、オーバーよ!」

陽子が我に返って徹を解放する。

徹がぜーぜー息をしながら、俺に小声で

「おい、危うく絞殺されるところだったぞ?・・・俺なんか悪い事言ったか?」

「・・・言っちゃってたな。しかも、現在のお前と昔のお前が言っちゃってたぞ。」

徹が怪訝そうな顔で

「なんじゃそりゃ?」

しかし今考えると、あの時徹のDEATH BOYSを全力で阻止した陽子はグッジョブだったなー。

再結成した40歳過ぎの中年バンドが、DEATH BOYSなんて痛すぎるよな?

しかも、さっきの変な髪の色のあんちゃん達と丸かぶりとか、マジでバンド名変えるところから始めるハメになってただろう。

祥二もそんな気持ちだったのか、苦笑いしながら

「じゃあ、みんな揃ったし、練習しよ!練習!」


さて、バラバラになったThe Namelessが、25年の時を経てまた全員集結して音を出す。

何となく奇跡的にも感じるし、ちょっと感動すら覚える。

・・・って大袈裟に言うほどのことでも無いか。

各々が楽器のセッティングとチューニングを終え、祥二に注目する。

何か、あの頃と一緒だ。

みんな年は取ったけどな。

祥二が微笑みながら俺達を見回す。

「じゃあ、「I Want To Hold Your Hand」からやってみようか?陽子ちゃんOK?」

「良いわよー、ただ完全に腕は鈍ってるから大目に見てよね?」

祥二が笑いながら

「ハハハ、それはみんなお互い様だよ。」

徹もニヤケながら

「陽子、足引っ張んなよ?」

陽子が腕を組み、徹を見下すと

「あら?言うほどお上手になったのかしら?」

徹が敬礼のポーズをして

「・・・いえ、足を引っ張らないよう努力します!」

「プッ!バーカ!」

陽子が吹き出すと、祥二もそれを見て笑いながら

「ハハハ、高校時代みたいだね!・・・じゃあやろうか!」

「よっしゃ!じゃあいくぞ!・・・ワン!ツー!スリー!」

信吾のカウントから、一斉に4人の楽器達が歌い出す。

これこれ!これだ!このグルーブ感!

懐かしい記憶が、心の底からフラッシュバックする。

祥二と信吾も、気持ち良いリズムのグルーブを紡いでいく。

そしてそれに合わせて徹が、・・・ちょっとまだそんな余裕は無さそうだ。

陽子もかなり真剣な表情、他人と合わせての演奏は、相当久しぶりだろうから仕方ないか。

でも、我妻ながら流石に上手いんだよな。

よし!俺も負けてられないな!4人の奏でる音の波に乗るんだ!

そう、波に逆らわず身を委ねるように。

・・・って、サーフィンなんてやった事無いんだけどね。

まだ何となくぎこちないが、この一体感を俺は求めていたんだ。、

そして、曲はエンディングへ。

「・・・ふーっ。」

陽子が大きく息を吐きながら、小首をかしげる。

「駄目ね、やっぱり腕が落ちてるわー。」

徹が呆れたように

「どこがだよ?全然うめえじゃねえか!」

陽子が逆手に両手を組んで指を伸ばしながら

「まあ、徹君のレベルだとそう聞こえるかも知れないけど。ねえ?祥二君?」

祥二が首を振りながら

「いやいや、そんなこと無いよ。全然腕が落ちたなんて感じなかった、相変わらず上手だったよ。」

陽子がちょっと安心したような表情で

「本当?祥二君がそう言うんなら大丈夫かしら?・・・まあ最近ちょっと練習してたから、多少はね。」

徹が俺の肩に腕を回し小声で

「おい、俺と祥二で何か違うこと言ったか?」

「・・・いや、ほぼ同じだったような。」

徹がしかめっ面をしながら

「・・・だよな?なのに何であんなに扱いが違うんだ?俺って確実に差別されてるよな。」

「まあ、俺も家じゃ似たような扱いだ。」

俺がつい本音で同調する。

「そうか、お前も頑張ってるんだな。挫けんなよ?」

・・・ん?なんで俺が慰められてるんだよ?

祥二が笑顔で、俺達全員を見回して

「さあ、じゃあもう一丁行こうか!25年分を取り戻すよ!」

張り切ってやがるな。

まあ、俺も楽しくなってきたから望むところだ。


・・・そして2時間ほどの練習が終わり、スタジオの外に出ると徹が

「俺と祥二は美空の店へ寄って行こうかと思うんだけど、どうするよ?」

と、たずねる。

俺は陽子と楽器を積んで、車で来てたので、

「俺は車だから今日は帰るよ。」

「あら、遠慮しなくて良いわよ?私は電車で帰るから。それで、純ちゃんは飲んだら車置いて電車で帰って来て、明日車を取りに来れば丸く収まるわよ。」

何というサディスティックな発言。

「・・・いや、一緒に帰るよ。」

「あら?そう。まあその方が私は楽で助かるわ。」

徹がニヤニヤしながら

「アッハッハ!仲良いなお前ら!・・・よう、信吾はどうする?」

苦笑いしてた信吾が、一瞬考えて

「・・・ああ、わりい。俺も今日は帰らせてもらうわ。」

祥二が朗らかに

「信吾君は新婚さんだもんね?じゃあまたね!」

徹が祥二の背中に手を回しながら

「あーあ、とうとうボッチは俺様だけになっちまったな。じゃな!」

小さくなっていく二人の背中を見ながら

「信吾、どうする?帰るんなら送ってくぞ?」

信吾に声をかけると、信吾は

「・・・えっ?良いのか?」

陽子が笑いながら

「良いに決まってんじゃないの!・・・私後ろに乗るから、信吾君助手席に乗りなさいよ。」

信吾が慌てて

「いや、わりいから良いよ。俺が後ろで。」

陽子が呆れたように

「その図体で軽の後部座席は狭いでしょ?ほらほら乗った乗った!」

信吾が申し訳なさそうな表情で、助手席に乗り込む。

「よし、じゃあ行くか。信吾、シートベルト締まるか?」

信吾が苦笑いしながら

「そこまで規格外の図体はしてねえよ。」

「ハハハ、じゃあ行くぞ。」

パーキングの駐車料金を精算して夕暮れの街に走り出す。

「ねえねえ、信吾君。」

後部座席から陽子が身を乗り出す。

「ん?」

「新婚生活はどう?え?どうなのよ?」

ニンマリした陽子がミラーに映る。

信吾が困った様な表情で

「ハハハ新婚つってもなー、お前らみたいに夫婦二人だけの生活があって、子供が出来てって段取り踏んでるわけじゃ無いからなー。」

ちょっと宙を見上げて一呼吸置いて、照れた表情で

「・・・でも、やっぱり毎日が楽しいな。やっと俺にも愛する家族が出来たわけだし。」

陽子がサディスティックな笑顔で

「何、ノロケちゃってんのよー?うん?」

お前が聞いたんだろうが・・・。

と、陽子がちょっと真面目な表情になって

「でもねー、やっと信吾君が幸せになってくれて、我々も嬉しいのだよ。・・・おわかり?」

それは紛れもない俺達の本音だ。

信吾が照れながら

「・・・ああ、サンキュー。」

「あと残るは例の問題児だけね。・・・あっと、美空もだっけ。」

中年になっても、問題児呼ばわりされる徹・・・。

信吾が笑いながら

「徹はなあ、なあ?純。」

「そうだな、あいつは好きで独りでいるからな。」

陽子が不思議そうな顔で

「何?どういうこと?」

「純、陽子に話してなかったのか?」

「ん?ああ、徹のプライバシーの問題だからな、他人にベラベラ喋る必要も無いよなと。」

後部座席から手が伸びてきて、俺の首を絞める。

「ちょっとー、可愛い妻を捕まえて他人とはどういう事よ?」

「わっ!バカ!やめっ!事故るって!」

陽子が手を緩める。

「あら、事故起こされちゃ大変!」

「ケホッ!・・・まあ簡単に話すとさ、徹の両親がガキの頃離婚してたって話は知ってるだろ?」

「うん。それで、祥二君の近所に越して来たんでしょ?」

「そう、その離婚の原因が親父さんの浮気だったらしいんだよな。」

「へー。」

「で、徹はお袋さんが苦労してるのを見てるから、あいつの言い方だと徹にも外道な親父さんの血が流れてる、徹が結婚してもしかしたら相手を不幸にするかも知れないと。」

「だから、結婚しないって言ってんの?」

「そう。」

陽子が怪訝そうな表情で

「ふーん、何か筋が通ってるようで、通ってない話ね?自分が結婚しても、浮気とかしなけりゃ良い話じゃ無い。」

信吾が苦笑いしながら

「・・・そう言っちゃ身も蓋も無いんだけどな。」

「まあ、単細胞の徹君らしいっちゃらしいわね。おバカさんだけどまっすぐなのよね。他人とは逆向きに。」

・・・酷い言われようだな。

きっと今頃徹はくしゃみ連発だろうな?

しかし、小学生からの幼馴染み3人が、40を過ぎてもなお同じ車中で一緒に過ごす。

こんな日がまた来るとは夢にも思わなかったな。


・・・その頃ルビーチューズデイでは。

「・・・エックション!!・・・エックション!!・・・エックション!!・・・ブェ。」

「徹君、風邪かい?」

祥二が心配そうに徹の顔をのぞき込む

「あー?俺が風邪なんて雑魚にやられるわけねえだろ?」

美空が笑いながら

「そうよねー、馬鹿は風邪を引かないって言うしねー?って徹君、ここは飲食店なんだから、ばっちい菌撒き散らさないでよね?」

「馬鹿とかばっちいとか酷い物言いだな。そんなんだから、嫁のもらい手がいねえんだぜ?」

徹がギリギリの冗談で突っ込むと、陽子も笑いながら

「フフフッ、言ったわね?私は徹君と違ってモテてたのよ?・・・妻子持ちとかそんなのばっかりにだったけどね。」

「そりゃ、残念だったな。お前はいい女だけど、そういう外道を呼び寄せるオーラが出てるんだろうな?きっと。」

そう言われると美空もちょっと物憂げな表情でつぶやく。

「・・・ホント、残念ね。」

祥二がその沈んだ空気の場を取りなすように、わざとらしく明るい声で

「ほらほら、徹君飲もうよ?佐川さんも、他にお客さんいないし一杯やろうよ!」

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