強敵だって?いや、そんなの関係ないだろ。
白熱の戦闘シーンを描きたかったのに。どうしてこうなった。
『なんで初っ端からゴブリンキングがいるんだよ。初見殺しもいいとこだろ』
この異世界迷宮を作った奴に文句を言いながら起き上る。
『でも俺、死んじまったのか。』
そして自分を殺した奴がいる方向を見る。
どうやら門は開いたままで、俺を殺したゴブリンキングは仁王立ちをして手に俺の血で赤く染まった剣を持っている。
そして俺を獲物を見るような目で見ている。
血に濡れた大剣を見て体の中からこみ上げて来るのを堪えながら、いつまでたっても門の所から俺を見ているゴブリンキングをにら見返す。
(落ち着け、落ち着くんだ。今は、アイツをどうするかを考えるんだ)
『まずは、相手の強さを知らないとな。』
俺のHPを一撃で消したことから筋力値は相当高いだろう。
そう思いながらゴブリンキングに【鑑定】を使う。
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ゴブリンキング/オス
Lv260
HP12046/12046
MP480/480
魔力357
筋力3486
耐久6329
敏捷1374
器用241
幸運8
スキル
【身体強化Lv8】
【剣技Lv5】
【統制Lv7】
【自動回復Lv6】
備考
創造神によって創られたゴブリンキング。通常、ゴブリンキングはここまで強くなる事は無い。
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やべぇ。こいつめっちゃ強かった。
いや、勝てんのかこれ。俺のスターテスこれだぞ。
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神崎優/男/17/人間??
Lv1
HP4048/4048
MP3104/3104
筋力15
魔力2322
耐久2037
敏捷16
器用17
幸運1007
スキル
【創造Lv3】
【落下耐性Lv10】
【痛覚遮断Lv8】
【魔力操作Lv4】
【魔力探知Lv4】
【生命の秘術Lv3】
状態
【経験値1024倍】
【創造神の加護】
【創造神の孫娘の加護】
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人間?がグレードアップした事はほっといて、HPが死んだことによって先ほどの倍くらいになって、MPは変わらず。
そして、幸運が1007もあるのに何故かゴブリンキングとの遭遇。
幸運さん仕事してくれませんかね?
スキルは、ゴブリンキングに切られたから【痛覚遮断】が2Lv上がった。
でも筋力が2上がってる。重い物を持っていたからかな?
でも、今のままでは、ゴブリンキングに攻撃すら通らない。
それに敵の目の前で訓練するなんてとてもシュールな構図になる。
ほかに作戦があるから最終手段として取っておくが。
ゴブリンキングを倒さない事にはどうにもならないので、思いついた作戦をやっていく。
まず、第一にゴブリンキングは門からは、出てこないようなので遠くから遠距離攻撃をする。
いわゆる『はめ技』?っていうやつだ。
要するに短剣か何かを創造してそれを投げつけようって事だ。
え、チキン?知らないな。
『【創造】貫きの短剣』
先ほどシルバーソードを創った時は、明確なイメージをする為にゲームの中の装備を創造したが、明確にイメージするだけならば自分が見た事のない物でも理論上は創れるはずだ。
(イメージしろ、どんな物でも必ず貫く事の出来る短剣を!)
左手に集まってくる魔力を【魔力操作】を使いイメージ通りの形に練っていく。
短剣の枠組みが徐々に出来上がっていくのを確認しながらステータスボードのMPの表示を見る。
MP430/3104
チッ、MPがもうそろそろヤバイな。
仕方ない使うか。
【生命の秘術】使用し残った少ない魔力と共に今あるHPを全て使う覚悟で注ぎ込む。
そして注ぎ込めば注ぎ込むほど体の力が抜けていく。
遂には立つこともできなくなり体が床へ倒れこむがMPとHPの供給はそのまま続ける。
(体に力が入らねえ。でもこいつを完成させなければいけないんだよ!)
指一本でさえ動かせなくなった時、HPとMPの供給が終わったと感じると同時に意識を手放した。
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『う、う~ん』
物凄い疲労感を体全体に感じながら起き上る。
『だるい、疲れた、しんどい、働きたくないでござる。いや、最後のは違うか』
そう呟きながら、創り終えたであろうまるで小太刀のような短剣を見る。
『お~。ちゃんと出来てるな。取りあえず【鑑定】』
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死刀ツラヌキ/小太刀
スキル
・【貫通】
相手の防御を必ず貫くことが出来る。
・【即死攻撃】
この剣の刃に触れた物の命を絶つ。
備考
神崎優が文字通り命を注ぎ創造した短剣。
どんな物でも貫く事を願った結果切りつけた対象の生命さえも貫く短剣となった。
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いやいやいや。
確かにどんな物でも貫けるって願ったけど生命まで貫いちゃっていいのか?
常識的に考えてアウトだと思うんだが。
いや、まて。此処は異世界?なんだ。
だから
逆に考えるんだ。常識なんて捨てちゃって良いと。
よし。俺は、常識なんて知らなかった。
イイね?
まぁ、そんな事は、置いといて。
取りあえずこの短剣で一回刺せばゴブリンキングは死ぬんだ。
だったら恐れずに立ち向かってやる。
『よし。殺ってやる!』
そう言って自分の気持ちを奮い立たせる。
俺がいろいろやっているのを待っていたまるで暇人のようなゴブリンキングから5メートルほどの距離まで近づく。
自慢じゃないが体育のハンドボール投げとか10メートルすら飛ばない。
ハンドボールよりはるかに重い小太刀は、そんなに飛ばないだろうし。
念を入れてさらに近づいて3メートル程の距離になった時に大きく振りかぶって投擲する。
『とどけーーーー!!!』
俺が全力投球した小太刀はまっすぐゴブリンキングの額に飛んで行き
バリン。
と言う音と共にゴブリンの額に突き刺さった。
反省はしている。満足はしていない。