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一発ネタ短編

アキレスと亀の話

作者: 寝る犬

 昔々あるところにアキレスと言うとても足の速い男がいました。

 ある日アキレスが浜辺を散歩していると、大きな亀が子供たちにいじめられています。

 アキレスは子供たちを諌め、いくらかの小遣いを渡すと、亀を助けてやりました。


 亀はたいそう感謝しましたが、アキレスの名を聞くと見る見るうちに顔色が変わります。

 亀は亀界のウサインボルトと呼ばれている足の速い亀で、アキレスと競争をするためにここまではるばるやってきたのでした。


 競争を了承したアキレスと亀は、山の一本杉の根元までの競争を始めました。


 ロケットスタートを決めたアキレスが途中で振り返ると、亀はまだアキレスの半分も進んでいません。

 亀が自分の半分のスピードしか出ないことを確認したアキレスは、あまり差をつけすぎるのもどうかと思い、一休みすることにしました。

 思わず眠ってしまったアキレスが目を覚ますと、辺りはもう夕暮れです。

 慌てたアキレスがゴールの一本杉の方を見ると、亀はまだその中腹にも届いていませんでした。


 その差、200m。

 ゴールまで500m。


 アキレスは亀の倍のスピードが出ます。今ならまだ余裕で間に合う。

 アキレスは走り始めました。


 アキレスが一気に200m進み、亀のいた場所に到達すると、亀はそこから100m先に居ます。

 アキレスがさらに100m進み、亀のいた場所に到達すると、亀はそこから50m先に居ます。

 アキレスがさらに50m進み、亀のいた場所に到達すると、亀はそこから25m先に居ます。

 アキレスがさらに25m進み、亀のいた場所に到達すると、亀はそこから12.5m先に居ます。

 ……

 ……

 ……

 ……アキレスが1mm進み、亀のいた場所に到達すると、亀はそこから0.5mm先に居ます。


 アキレスは、なぜか自分の半分の速度しか出ない亀に、いつまで経っても追いつけませんでした。


 降参したアキレスが亀に自分の負けを言い渡すと、亀はたちまちアキレスを捕まえてその皮をすっかり剥いでしまいます。

 亀は満足して竜宮城へと帰って行きました。


 亀が去った後あまりの痛さにアキレスが泣いていると、通りかかった神様がどうしたのかと声をかけてきました。

 事情を話すと神様は同情し、皮を剥がれたところに良く塩をすり込むといいと教えてくれました。


 信じたアキレスがその通りにすると、アキレスはあまりの痛みに死んでしまいました。

 神様はこんなウソを信じてしまうアキレスに驚きましたが、さすがにちょっと悪かったなぁと思い、アキレスを天に上げて星座にしました。


 だからアキレス座はいつも亀と神様を追いかけ続けているのです。


 どっとはらい。

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