転生一課窓口受付嬢エグハシ
こんにちは。こちらは転生一課です。わたくしエグハシが担当いたします。
本日のご用件はなんでしょうか。初めてでよく分からない、と。
では簡単にご説明いたしましょう。
……。
ここまででわからないことはありますか。はい。全てわからない、と。
初めての転生ですもんね。それは緊張しますよね。ひと息つきましょう。お茶をどうぞ。お茶菓子は世界の混沌味の金平糖です。
さて、では書類に記入をお願いいたします。
最後にお客様の捺印をお願いいたします。
確認いたしました、ありがとうございます。書類に書かれましたお客様の情報は当社が責任を持って管理させて頂きます。
あらためて、行ってらっしょいませ。お客様。またのご利用をお待ちしております。
よい転生を……
「あー疲れた。帰りたいー」
お昼休み、わたしは背伸びをして首を回します。コキッという小気味よい音がします。わたしの肩は大変お疲れのようです。
「いやーエグハシちゃんお疲れさま。まあそういわずに。まだ今日は残り220時間もあるんだしさ」
「お疲れ様です課長。それより、その時間感覚がなくなる数字どうにかしてもらえませんか。なんですか220時間て。ブラック企業もいいとこじゃないですか」
「いいでない。全世界の転生を受け付けるとどうしても人手が足りなくて」
「今から睡眠とるので。あっちに行ってもらえませんか」
「冷たい……。僕らは睡眠必要ないのに」
上司を無視して、わたしは眠りました。
休けい後。これからが本番です。ちょうどこの時間帯は世界中で災害や自殺が重なるもんですから。
ちょっとのミスでもすれば、お客様からご意見されますから気をつけましょう。
「おいこら! これはいったいどういうことなんだ。説明しろ!」
いったそばから……。顔の大きな赤ちゃんのお客様がいらっしゃいました。
わたしは、どんなお客様にも、丁寧に、接客をいたします。
「はいこちらは転生一課です。わたくしエグハシが担当いたします。本日のご用件はなんでしょうか」
「テンプレあいさつはいいんだよ! 責任者を出せ!」
ううむ。これはやっかいなお客様が来ましたなあ。隣で受け付けの案内をしている、課長をみつます。課長は冷や汗だらだらです。
「今担当のものに変わります。少々お待ちくださいませ。……課長お客様がお呼びです。課長のお客様はわたしはかわりますので」
「大変お待たせいたしました。ご用件をお伺いいたします」
「なんだよこの転生は! ひとつもファンタズィー要素がねーじゃねーか!」
「まずはお客様の情報を失礼いたします」
課長はお客様の心臓部にバーコードリーダーを当てます。ピッという電子音とともにお客様の情報を読み込みました。
サクライダイタロウ 肉体年齢1歳 魂の年齢37歳 性別男 転生回数1回目
前世の出身地 地球日本国東京都
今世の出身地 地球日本国東京都
死因 自慰の許容量を超えたため
希望した能力
・全世界の言語を話せる。
・全世界の言語を読み書きできる。
・全世界の魔法を全て使用できる
・全世界の美女を魅了する容姿
・前世の記憶の引き継ぎ。
・長寿
・不老
・あらゆる病気の抗体
転生後の世界 魔法が使えればどこでも可
転生後の目的 魔法が使えてチート。あとハーレムがしたい
「それはお客様。転生後の世界をランダムで希望したからですねえ……」
日本とか、魔法が使用できるかの違いで、ほぼ同じ世界ですね。馬鹿でしょうか。
「お客さまご希望通り魔法は使えますでしょう? それならいいのではないでしょうか」
「ファンタジック! いくら魔法が使えようが、ヨーロッパ系の異世界じゃないと意味がねえ! 頼むから変えてくれ」
「しかしお客様。契約時の内容は覚えていらっしゃいますか。1度決定した転生世界へはお客様の寿命を超えない限り、一切変更不可だと。こちらに書かれておりますご確認ください」
「……寿命とは、あとどれくらいある?」
「およそ1000年でございます」
「……わかった。次の死まで生きて、また転生しに戻るよ。ファンタジーはここにある!」
お客様はお帰りになられました。
ふう。本日の仕事がやっと終了しました。あとは後輩のニオコミウオちんに引き継ぎですね。あのこ失敗ばかりだけど大丈夫でしょうか。
……22時間たちました。まだ後輩の来る気配はしません。ああまた遅刻ですね。早く帰らせてほしいです。まったく。
100時間後。ようやく来た後輩に一発、全身破壊パンチをおみまいしてすっきりしました。
後輩は体中から液体を噴出していますが、わたしの知ったことではありません。
時間通りに来ない後輩が悪いのです。
それではさようなら。まだ残っている方、あちらの窓口へどうぞ。
早く望んだ転生をして、私を楽にしてください。
エグハシ 肉体年齢∞歳 魂の年齢∞歳 性別女 転生回数∞回目
前世の職業 地球日本国東京都某所窓口
今世の職業 転生一課窓口
死因 ○殺
希望した能力
・どこでも生きられる肉体
転生後の世界 希望なし
転生後の目的 苦労せずに生きたい
どうでもいい話が書きたくなりました。
キャラ名は適当にキーボードを打って決めました。