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巨人戦機ディメティス  作者: 共通点
邂逅編
4/18

「戦う意志」

あれから、暫くの時が過ぎた。その間俺は、ただひたすらボーッとして過ごしていた。何をする気力も起きなかった。

今日は、父の葬儀だった。そしてそれが終わると、片付けもせず自分の部屋に戻った。

「本当に……本当に死んじまったのか親父」

父の写真の前で呟いた。

あの日、俺はディメティス・ダークネスを撃退する事に成功した。しかし、あの勝利は偶然によるものだし、父の敵をきちんと討つことだって出来なかった。

そしてもし、ダークネス達の軍勢が再び攻めてきても、勝てる保障はない。

「これから俺は、どうすればいいんだ。教えてくれよ親父」

答えが返ってくるはずのない写真に、何度も問いかける。

今思えば、親父は俺の道しるべだった。すぅー、と涙が零れてくる。

何もない。ディメティスの事も知らない。俺の心には、消失感だけがあった。

「もっと、物分かりが良かったら……! もっと、力があれば……!」

その時、ギーとドアが静かに開く音がした。

「親父!?」

振り返ってみると、そこに居たのは親父の助手である達也さんだった。

「……達也さん、久しぶりですね」

「雷二君、今から少し話さないか」

「今は、ちょっと」

「二三分でいいんだ。なんとか話せないか?」

あまりにも必死な様子だったのでつい、

「わかりました」

と言ってしまった。誰かと話したい気分ではなかったのに。

「仏間に行こう。博士にも、もう一度だけ挨拶しておきたい」

仏間に行くと、達也さんは父さんの写真の前で頭を下げた。その時、達也さんの目に涙が見えたのは、多分気のせいじゃない。

父さんの死を、何人も悲しんでいるんだ。

「雷二君、僕は、博士から本当にたくさんのことを教えてもらった。僕がもっとしっかりしていれば、博士は助かったかもしれない。そう思うと、僕は自分の無力さに腹が立つ」

そうか、この人は俺と同じ気持ちなんだ。

「博士はもういない。でも、まだ何も終わっていないんだ。ダークネスが居る限り、何度でも争いが起こる」

「……俺にまた戦えっていうんですか? でも、もう前のようにはいかないですよ」

「君は、そこで諦めるのか」

達也さんの言葉が、胸にグサッと刺さった。俺は、ただ諦めようとしていただけなのだろうか?

「僕は、ここで諦める気なんて無い。僕には大切な妻と息子が居る。地球のためだ何て言わないさ。妻と息子を守るためなら、なんだってする」

「でも達也さんは戦えないじゃないですか。第一、同じディメティスでも倒せなかったのに、どうやって……」

「方法なら、ある。でも、君の力も必要なんだ」

「俺の、力が…」

「もし君に戦う意志があるなら、明日ここに来てくれ」

そういうと達也さんは、地図が書いてある紙を俺に渡して、出ていった。

「戦う意志、か」

地図に書かれた場所に行けば強くなれる、ダークネスを倒せるっていうのなら。


「そんなの、無いわけないだろ……!」

俺は行く。俺にだって守りたいものはある。母さん、生き延びた学校の友達。強くなって、みんなを守る。


第四話「戦う意志」終了 執筆:藻世

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