第6夜「覚醒」
ユウ達から聞かされた真実。ショックを隠せない絢。
帰りの馬車は少しばかり重い空気が漂っていた。 ガタっガタっ。
「んじゃ、また後日。」
「落ち着いたときにでも」
「はい、今日はありがとうございます。」
「……。」
「では……。」
パシン 皐月・狭雲を乗せた馬車がくるりと回転し主たちが待つ館へと帰って行った。
「……。」
「行っちまったな。」
「うん、紘。今日はごめんね。付き合わせちゃって……。」
「……、いいよ。いろいろあったけど、心が晴れた気がわけだし。」
「……うん、そうだね。」
絢と紘はぎこちない会話。それはまだお互いにまだ晴れない事が……あるからかもしれないから。
絢は紘と別れ自分の家へと戻ってきたと実感する。そして、父に今日のことを報告する絢。
「只今、戻りました。」
“……絢か”
「はい。今日は藍須様へのお館へと行ってきました。」
“そうか。”
「はい。とても楽しかったです。」
“……遊び呆けるのもいいがしっかり花嫁修業もしておきなさい。”
「……はい、父上。失礼します。」(……やっぱりお母さんの死のこと知らないのかしら?あれ?そしたら私は?……おかしいわ。うん!絶対おかしい!だって……飲んでいないのだからーー)
絢は父との会話の後、何かの確信した。
そう、ユウが言った「私たちの血を飲み吸血鬼となる。だが、女性の吸血鬼は短命で長生きをしている者は数少ない。」 もしそうなら、絢は普通の人間として生活を送れるかもしれない。もし、そうであってほしいと願う絢。
数日後、普通に過ごしている吸血鬼たちは?
「では、これは外国の物なんですね?Mr.マイセル。」
“ええ、わが国では必需品でしてあまり日本人は使われていないと思いますが……”
「いいえ、とってもありがたいです。わざわざ持ってきてくださってありがとうございます。」
いつもの日課のように港に来る船の貨物を見たり体験していた。
「!、洸。こっちにいたのか!」
「ああ、兄さん。うん、珍しいものがあってね。……やっぱり仕事していると落ち着くからね。気をまぎわらすにはちょうどいいかなって、、、」
「……洸。」
港から見える水平線をずっと見続ける洸。その顔は悲しげでユウは何も言えず、二人で先の見えない海を眺めていた。
一方、会社で働く息子たちは?・・・・
「あれ?親父たちは?」
「まだ、港。」
「フーン、しっかしよくこんなに書類を溜めるよなー。」
副社長室入ってきたのはジン。部屋にはすでに慎也が仕事をしていた。副社長室にはユウが書類を溜めてしまうのでそのままにしてある。(洸さんがかわいそうで仕方ないですね。)
ジンはマントをかけ、ソファに座り仕事を始める。
「あれ以来……あいつ来なくなったな。」
「あいつ?」
ジンの突然の話についていけない慎也が聞き返す。
「あいつのことだよ。絢っていう、、」
「おーい!ジン!」
ジンの言葉にかぶさるように皐月の声が扉の向かいから聞こえた。
「臨也か。どうした?」
「お客様が来ているんだけど、どうする?」
「「は?」」
「お客様って?」
「うーんとね、絢ちゃんだって言ったらーー」
バン!皐月の言葉を遮るようにジンと慎也は扉を開け、お客様の顔を・・・
するとそこには 本物の絢の姿が・・・・
「お、お久しぶりです。」
「「……う、うっそーー。」」
数分後、応接室で話をするということで絢・慎也・狭雲がいる。 カチャ。
ハーブーの香りが部屋に広がり高ぶっていた、感情も少しずつ治まっていく。
「ありがとう。狭雲」
「いいえ。」
「さて、……それで君はどうしてここに?」
「はい。先日の事で私も、やっと思い出したんです。」
「?、一体、何を?」
絢は覚悟を決めるかのように一息入れ……
「実は……」
「ひーめーぎーみー」
「「ん?」」
「?」
バン!とまたしても扉が勢い良く開く。扉が不吉な音を立てて壊れてしまった……(強度弱ぇーつーか物は優しく扱え!)
「わが姫君!私に逢いに来てくださったーー」
ヒュッ とユウの後ろから何かが飛んできた。ユウは次の言葉を出す前に洸に瞬殺された。
「まったく兄さんは」ハァ
ため息をつきながらも力を緩めない洸。
「うぉーさすが洸さんうまいっスねーー。」
「ジン、洸様に失礼だぞ。」
「!、父上!」
そう、ユウを倒したのは洸だった。一瞬のことで呆然としてしまい、我に戻るのが遅くなり、慎也は洸の事を呼ぶが、ギっと洸に睨まれてしまい怯えてしまい、立ちすくんでしまった。
「慎也。お客様に失礼のないように話を進めーー」
「待て待て!話なら私が!」
首に一撃をくらっても尚蘇ってくるユウ。
こうなってしまうと、手が付けられないため、ユウと慎也・狭雲・松風(見張り役)を置き、洸・ジン・皐月に時雨を連れ仕事へと戻って行った。
「して、我が姫君。今日は何の……いや、このことを聞くべきでは……」
「ユウ様」
絢の話ごとを当てようとするがユウが途中から顔をあかくし、モジモジと手を動かす、そこへ怒り交じりの松風に呼び止められた。
「わかっておる!」
「……えっと、話というのは」
絢は全てをユウ・慎也に打ち明けた。
「そうか。」
「それで、君はこれからどうしたい?」
「……私は……」
“これからどうするか”そのことにまで分らなかったが、まだ何も決めていなかった。
「……」
「……、しかし残念だ。我々の仲間ではなかったが、今からでも遅くない。我が姫君。私と結婚しないか?」
「「「え”!」」
「え?」
とつぜん、ユウのプロポーズを受けた絢。
はてさて、話がだんだんこじれていくような・・・・・・?




