第四夜「真実」
十年前……
「ーっ、(もはや、私もここまでか……)」
「?誰?」
「!」
「お兄ちゃん……怪我してるの?……何か……」
「すまいが、君の血を分けてくれないか?」
如月庭で休むユウ、そこへ幼き絢がユウを助けようと手を差し伸べる。
それが、あの日の夢・記憶。そして、今 約束が果たされようとしていた。
「そして、私は姫君……絢の血を飲みこうして生きているわけだ。」
「……そ…………そんなーー」
聞いてしまった真実。絋はあまりにものショックで言葉を失い、顔をしかめた。
「絋………。」
「……大丈夫だ。そっか……絢が……助けたんだ、そっか……そっか。」
「貴殿の祖父はとてもいい人だ。」
「「!」」
「1対1で、やりあうハンターなどいない。ましてやこの私に傷跡を残した奴などいない。」
ユウは絋の祖父を褒めるように言った。だが、絋には気休めの言葉にしか聞こえなかったが、ユウは己の体に残っている傷跡を皆に見せる。
その傷跡は、大きく開いたと思われる治りかけた傷。
ユウは悲しげな顔をして
「貴殿の祖父とはもう一度戦いたかったが、亡くなってしまったとは、とても残念なことだ。」
「………………。」
ユウはその言葉を口にする。絋は嬉しさと悔しさが心のなかを駆け巡ったような気がした。
そして、話題は絢へと戻ってきた。
「それで、絢君はなにか知りたいことは?」
「え……私ですか?」
「そっ!まぁ、どうせ知りたいことなんて俺様のことだろう?」
突然、話題をふられてしまい戸惑う絢だが、何故かジンは気取るように椅子から立ち上がる。
「あーあ。でたよ、超ー俺様気取り。」
「んだと!慎也!」
「フン!」
そこへ、慎也が挑発するような言葉を言う。何故か喧嘩に発展。
「た、確かに知りたいことは、たくさんあるんですか……何から話せばいいのやら。」
知りたいこと。 それが真実へとつながる、だが、もしそれが認めたくないこと・ありえないことだとしても「怖い」。
それだけが脳を よぎる……
「………じゃあ、僕達が予想してる事を言っても大丈夫かな?」
「え?」
「よし、それなら、私からだ。」
考えた結果、洸はひとつの提案を出した。それによりユウが生き生きした顔で立ち上がる。しかも輝いて。
「噛まれたところが消せるかどうか?ではなか?」
「いえ。傷跡のことは大丈夫です。」
「なっ!」
絢がしたいことを言い当てようとするがユウ。空振りに終わった。
「アハハはははは!すげー!外してやんの!」
「ジン、笑っちゃダメだろう(笑)」
「じ、じゃあ他になにか知りたいことが?」 笑いこらえ中
周りで聞いていた者達は笑いをこらえようとするが耐え切れず笑うものがでた。
あまりにも恥ずかしさとショックで芋虫のように丸くなるユウ。
笑いをこらえながらも彰が聞いてくる。
「は、はい。噛まれたと思う数何ですか……。」
「?」
「数?」
「はい。左手首に一つ、首筋に2つ」
「首筋に2つ?」
「?、一つのかみ跡は俺のだろう?」
彰は念のため、絢に再度質問をする。絢は遠慮がちに質問の内容を言う。それはユウ・ジンに噛まれた傷跡。右には見覚えのない傷跡。
「んー?昔、噛まれたんじゃない?ジンに二回も。」
「いくら俺でもそんな事はしねーえよ。つーか、主人である俺を疑うのかよ臨也!」
臨也は冗談で言ったが、ジンは気に入らなかった……こめかみにピキピキと怒りのマークが 浮かんでいた。
「君がそいう性格だからじゃないの?」
「………んだとー!慎也!もういっぺん言ってみろ!」
「あ”ー?何度でも言ってやるよ!クソジン!」
「落ち着け!ジン!」
「慎也様、落ち着いてください!絢様の目の前ですよ!」
今度は慎也が嫌味混じりの発言。犬猿の喧嘩が始まってしまい、臨也・彰は止に入るが……止めるのが難しい。
「……(あれ?どこかで見た光景……何処だっけ?)」
その光景を見た絢は、昔どこかで見た覚えがあることを思い出す。
九年前ーー暑い夏に入る前、ある日 いつもの様に絋と遊んでいた時、知らない子が二人が 絢と絋の前にいた。
「なぁ、俺達も一緒に入れてくれない?」
「?、いーけど、お前ら何処の子?」
「え?えっと……あっち。」
「こっち。」
「「え?」」
「!、こっちだよ!」
「あっちだよ!」
瞳の色が違う子供達、戸惑う絢達。それでも絢は……
「一緒に遊ぼ♡」
戸惑いも怖がりもせずにただ“遊ぼ”と絢はそう言った。
それから数時間後………
「慎也様ー!」
「ジンー!何処だー?」
「あ!臨也!」
「彰、僕達ここだよー」
ふと呼び方に・その声に絢は思い出す。
「あー!」
ビック!突然の絢の大声に驚き、絋は椅子から落ちてしまった。
「ひ、姫君?」
「あ、絢?」
「え、あ。す、すみません。突然、大きな声を………。」
「そう言えば、どこかで聞いたような?」
「幼いころ、ジン。お前、誰かを泣かした時の声じゃねぇのか?」
「はっ!俺は誰も泣かすような事、たくさんしたが………」
ジンや慎也も、九年前の事を思い出し始める。
「フッ、結局、認めてるんじゃないか。」
「がっ!ーっ。慎也!」
「あれでも、確か。ジンさんに噛まれてその後………。」
「そうだ。僕が、その傷口を舐めて治したはず………。」
「………?」
「…………っ。」
話している間に 突然、洸が苦しみだし椅子を、ガタッと音をたて倒す。苦しいのか胸のあたりをギュッと握る。
「洸?お前!」
「ーっ! ハァ、ハァ。………血。あの女の血ーー………蝶………。」
最後に言った言葉は聞こえなかったが、一瞬で姿を消し絢の前に姿を現した。 優しい顔ではなく、真っ赤な瞳に冷静な顔、鋭く尖った歯………
「洸様………。」
止める声も届かない。首筋が見える程着物をおろされ………ガブッ!
「………っ。」
噛まれ悲鳴をあげることも出来ない痛み。
それでも洸はやめることもなく絢の血を 求め 飲み
「絢!」
絋の呼ぶ声が遠くに聞こえた…………絢は意識がなくなり始めた。
(あれ?前にも こんなことが……あ! そうだ、あの時 母さん………………)




