第十二夜「わかっていたことだから」
「ここなのか?」
「あぁ。」
ついにたどり着いた取引場所。ジンと紘は物陰に隠れて様子をうかがう。戦う事もできるが、人間に本気を出すわけにもいかず、脅す程度の事を実行しようと考えていたが……
「おっせーな……臨也達」
「何かあったんじゃあ……」
「!、いや。大丈夫みてぇだな。……アレ」
小声で話す中、ユウ達らしき姿を確認する。暗い中、シルエットだけが今のジン・紘には心強い。すぐに刀と銃を構える。
「そこまでだ!コウセイ!お前の悪事をここで裁く!」
“………へぇ。よくここがわかりましたね?ここが……”
コウセイの前に飛び出すジン。だが、コウセイは戸惑うこともなく慌てることもなく……ただ、笑った。
その時を待っていたかのように、二人を見つめ、
「!!、ジン!!」
パチン!
紘は周りの異変にジンの名を呼んだ。
コウセイの鳴らした音に合わせるかのように周りには黒い衣服に身をまとった人間。
「マジかよ。」
ユウ達かと思ったが、その姿すべて敵。多勢に無勢。
“せっかくここまで来てもらったのに、申し訳ない。ここで消えてもらうよ。”
「そうだな。……とんだ無駄足だったな。」
“ やれ!!”
「お前らが、な!」
コウセイの声と共に襲い掛かる中、ジンはなぜか平然としていた。最後の言葉に
一筋の光が入る。 そこには
「ジン様!油断をしては……」
「わかってるって……つーかくんのおっせーよ、時雨」
「それは申し訳ありません。」
駆けつけてくれたのは時雨。戦いながらもジンと時雨は敵を倒していく。お互いの背中を合わせながらも 何かを確信していた。
「慎也たちは。」
「………大丈夫です。もうじき来ます。それより、今は」
「あぁ、わかってるって!」
“ああああああああ!”
次から次からと襲い掛かる。それでも時雨は何にもためらいもなく敵を倒していく、ジンも同じように……
紘は改めて思う、味方でよかった と、それ以前にあの二人の戦う姿が
かっこいい
と、思う心がどこかにあった。
「紘君、よそ見してる暇はないよ。」
「!、し、慎也さん」
「……さんなんていらないよ。それよりもあいつ、逃げちゃうよ?」
後ろから知る声が聞こえ、振り向くと慎也・狭雲・洸がいた。
「あ!あいつ!」
「早く!」
だが、紘の目にはコウセイの姿しかなかった。
洸と狭雲の声も聞かずに紘は、走り出す。
「チッ、しつこい人間だ。」
「兄さん!」
「!、あぁ。そろそろ本気で行くぞ!」
洸は紘の姿が見えなくなるのを確認し、ユウに合図を出した。
吸血鬼の本気の力……今宵の月は満月……
血に飢えた獣を前に人間は……逃げるもの、敵意が残るものがその場に留まり刀を構えていた。
「ほう、褒めてやろう。だが、後悔するぞ! 人間共!」
「(!、なんだ……もしかしてあいつ等……)くっそ!待て!コウセイ!」
“チッ。役立たずの奴らめ……”
コウセイを追いかける紘。
行き止まりへと誘い込むことができ、 一対一
“くっ。おい!何をしている!早く僕を ”
「お前が呼んでいるのは、こいつらか?」
追い詰められたコウセイは、最終武器を出そうとするが暗闇からユウの声が聞こえ、倉庫の上には、ユウ・洸達の姿があった。
時雨と松風の手にはコウセイの用心棒と思われる者が、死んでいるのか、気絶しているのだろうか、目は白目をむき、口からは泡を吹いていた。
“チッ。”
「観念しろ!お前の悪事はここまでだ!」
“くっ。”
コウセイは諦めるように悔しがるが、キラッと光るものが見えた。
紘は自分の刀で受け止めた。ギィィンという金属音が響く。次の攻撃へと移るときも手を緩めることは許さない。一瞬でも気を抜けば 相手の勝ち。
だが、紘の反応が遅れたのか、コウセイの一撃が当たってしまった……
「----っ。」
「!、紘!」
傷つく紘、慎也とジンは手助けをしようとするが時雨がそれを止めた。
「!、時雨、離してくれ!」
「ダメです。今行っても紘殿は嬉しく思いません。」
「っ!」
「時雨……」
二人を止める時雨、過去の事を思い出したのだろうか、今にも泣きそうな声で二人にそう言った。ジン、慎也にもわかることだが……何もできない歯がゆさに自分の力が憎い。
“もうおしまいだ!諦めろ!”
「………ッ、諦めねぇーよ!あいつを、絢の笑顔を見るまでは……」
“ーーっ!死ねぇぇぇーーーーーー!”
勝敗がもう着いたように勝ち誇るコウセイ。それでもあきらめない紘。
コウセイは小太刀をわき腹に添えるように紘に向かってくる。
紘も覚悟を決め……
「紘ーーーー!」
幻聴のように絢の声が聞こえ幻覚なのか絢の姿が見えた……
ズキィ 絢の事で気を取られてしまい、小太刀が自分のわき腹を刺していることに気付く。
「がはっ、はっ (あ、絢)」
“このまま”
「地獄に行くのはてめーも一緒だ!」
スッ ドクン。 紘は刀を持ち直し、コウセイの心臓を刺した。
“ーーっ、がはっ”
コウセイはその場に倒れた。
紘も同じように膝から倒れるように着いた。
「紘!」
「っ、あ、や、良かった。さ、いごに、お前に、あ、えて……」
絢は紘の元へと急ぎ駆けつけるが、紘の息は止まりかけている。
「紘。もうしゃべらないで、お願い。生きて……」
「あぁ、そう、だな、生き、て……お……まえ……を……」
それでも、絢の願いは誰にも届かない。
紘は最後だと知りなおも……
「絢 お前を 愛している 」
それが 紘の最後の言葉だった。
「ッ、紘……」
「……姫君よ」
「!」
「貴女が望むのであれば、紘殿を蘇らせることができます。ですがそれは……」
「わかっています。それでも私は……助けたい!」
絢はこれが最後の願い……それがたとえどんな残酷な結果であろうとも……
「紘、貴方を愛しています。」
かっこいい掛け声とかユウが言うところバリトンボイスで言ってもらいなーと最近考えていました。




