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至福の時

山崎に連れられたところは、県庁の裏側の洋食屋だった。

いつもその辺で済ませる草壁は、よくこんな所知ってるなと感心した。


中に入ると、お昼を過ぎた事もあって客も疎らだった。


「いらっしゃいませ。喫煙席ですか?」


出迎えてくれた若い女性は、山崎を見るなり喫煙席へ通してくれた。


「お前、よう来るんか?」


「ボチボチですね。」


席に座り、メニューに目を通す。

その間に先程の女性がおしぼりとお冷やを持ってきてくれた。


「あたし、海老フライ定食。」


「はい、お連れ様は?」


「あー…ハンバーグ定食で。」


「はい、畏まりました。」


女性が立ち去ったのと同時に、草壁はタバコに火を付けた。

深々と吸い込み、紫煙をゆっくり吐き出す。


「あー…やっと吸えた…」


「吸わなかったんですか?」


同じ様に紫煙を吐き出す山崎に、草壁は朝の事を思い出した。


「そういやお前、コンビニ行った時、吸うてきたやろ?」


「朝から鍵閉まってましたもん。係長が買い出し行って来い言うた時、助かったー思いました!」


「俺何か今、出勤前以来やぞ?」


「そうイライラしなさんなー。」


早くも2本目に突入した草壁を、山崎はケラケラと笑いながら、宥めた。


10分ぐらい待った後に、注文の品が運ばれてきた。

その間に灰皿は一杯になってしまった。


「お取り替えしましょうか?」


女性店員が笑顔で訪ねてきたので、取り替えて貰った。


「今日、タバコ吸う人、多かった?」


「はい、何時もより。直ぐ満席になってしまって。待ち時間頂くお客様もいらっしゃいました。」


「今日から一週間、ウチのオフィス辺り禁煙やねん。」


「そうなんですか?」


山崎は自分が警察官だと言う事は、この店の人間には話していないようだ。

恐らく、この女性店員も山崎が警察官だとは思っていないだろう。


草壁はそのままハンバーグに箸を通し、食事を開始した。


「うん、上手い。」


「でしょ?」


「よう見つけたな。」


「司と昼飯行った時、偶々見つけたんですよ。」


「篠田と行くんか?」


「ボチボチ。」


ボチボチか…。お前、曖昧な表現好きやなぁっと思ったが、吸えなくてイライラしていた自分をここに連れて来てくれたのは多少感謝しているので、あえて言わない。


食事が終わったのと同時に、食後のコーヒーが出された。

コーヒーを飲みながら、タバコを吸う。

喫煙者からしたら最高の組み合わせだ。

中々止められないのも、これがあるからだ。


「主任、ホンマに一週間禁煙にすると思います?」


「するんちゃうか?」


「あたし、3日辺りで禁煙じゃなくなると思いますよ?」


「ほう。何でや?」


「ウチ喫煙率高いでしょ?あちこちでイライラした人間出て来て、業務に支障が出てくると思いますよ?」


「あり得るな。」


本当に2日か3日ぐらいで終わってくれ。

暴れるまでは行かないが、イライラして仕事にならなさそうな人間を何人か心当たりがあるから。

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