最後の日──The End Of The World──
和也くん、登場。
「おい、文部。お前、どうした?」
「……ああ、佐子哉。いや、なに、何かひどく頭が痛くてな……」
どうやら彼、文部くんは体調が悪いようだ。
今は授業の一限目。科目は英語。いつもと変わらない教師。変わらない僕のやる気。
僕の名前は十文字和也。今はただの学生だ。
ふう、とひとつため息をこぼしてしまう。
目の前の僕のノートには英語の構文──ではなく、びっしりと書かれた銃器の絵と弾丸、そして改造についてである。
僕の家はいたって普通……ではなく、いや、厳密に言えば普通なのだが、その……
友人関係が、おかしかったんだ。
0才。生まれてすぐ買い与えたおもちゃはモデルガン。
4才。強い子に育ってほしいという両親の言より、アメリカの軍人さんである友人の所に預けられる。もちろんアメリカに。
そこから十年間アメリカで射撃訓練、サバイバル訓練、絶食etc……
そして去年、15才の誕生場とともに日本に帰国。
現在16才の高校二年。
は~っ、と今度は長いため息をこぼして決めた。
よし、サボろう!
善は急げ。僕はガタッと音を立てて立ち上がり、教員に告げる。
「工藤先生。少し頭が痛いので今日は帰ります」
「ん?保健室にいかないのか?」
「はい、うつすと悪いので」
「ならばよし。次にこの文だが……」
ガタッと、また一人立ち上がった。
「先生、文部が体調悪いので、保健室につれてっていいですか?」
荷物を片付けながらそっちを見ると、文部くんの顔が真っ青に染まっている。
そう、まるで死にかけの半死人のように。
「なんだ文部もか。悪いが佐子哉。文部のやつを連れてってやってくれ。」
わかりました、といって佐子哉は文部の肩を担ぎながら出ていった。
さて、俺も帰りますか。
「ではさようなら」
僕は三階である教室の窓をがらりと開け、そのままグラウンドに飛び降りた。
後ろから何やら悲鳴が上がったが、関係ない。アメリカでは二十回からの投下訓練もあったのだから。
僕は腰に隠していたワイヤーを窓ぶちにひっかけ、滑るようにグラウンドに降り立つ。
さて、と。
何も問題はない……はずだった。
変える前に親友である自覚無しバカップルのところにでも顔を出そうかと足を進めようとした。
しかし、ふと校門のところから物音がしたので見やると、見知らぬ男がはいってきていた。
すぐさま警備員が駆け寄り、男を追い出そうとしている。
「バカかあいつは?」
気づいているのか、あの警備員?
フラフラと何やら呻き声をあげながら警備員に近づいていってる男には、
こちらから見える男の背中側には、
心 臓 部 が ご っ そ り と え ぐ り 取 ら れ て い る の に 。
「うぎゃぁぁぁぁ!!!!痛い痛い痛い痛い!放せあああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
男は警備員の首すじに噛みつき、押し倒してそこから肉を喰らい始める。
すると校門がガッシャァァァァン!!!!という轟音と共に倒され、そこから手、腹、頭などに致命傷があるはずのナニカが校舎の敷地内に侵入してくる!
「ウー、ウー……」
「ギャゴゲジョグギッ……」
「…………」
奇声をあげ、または無言で入ってくるナニカ。
ひしひしと命の危機を感じ取った僕は校舎を離れ、彼らのいる剣道場へと走っていった。
─ ─◇─
「ウガァダァァ!!!!!」
「文部お前、いったいどし──ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「イャァァァッ!!やめで、だべないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」
「うわぁぁぁぁ!くるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」