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流星マスター  作者: TSUJIMO


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ながされてネット店長

「複数のテキストをリンクで接続された構造は HyperText、テキストを見出しや段落やリンクで構造化することが Markup、そしてそのために使われる文法が Language なの。これらを並べた頭字語がHTMLで、本当はもっと複雑なのだけれど、楽々の商品説明では改行のほかに、文字のサイズや色や太さを変える <font><b> に、中央寄せの <center> も使う。それから画像を貼り付ける <img> はあとで、私が画像を用意してから追記することになるよ。<table> は今日の仕事では使わないから明日でいいね。それと <marquee><blink> は見にくいから使わないようにしてる。社内でもあんまり受けが良くなかったからね」


一覧表からの登録がひと通り終わったあとで、そんなふうに真子さんにペラペラ言われたことの半分くらいしか頭に入ってない。もしかしてこれは簡単な雑用ではないのでは。そう思っていたら電話が鳴った。



「はい、比野文具です。ああはい、坂上ならおります。お電話まわしますのでお待ちください」


作り笑いの野原さんが真子さんを指差す。内線の受話器を取る真子さん。


「お電話代わりました。坂上です。お世話になっております、神楽さん。はい。では広告はそれでいいんですね。いえいえ。ええ、これは社内の別の者が苦労して書き上げたもので。そうなんです、まだ店長は決まっておりません。私の担当は立ち上げまでと」


社長が近くに来て指で電話を代われと言っている。


「神楽さんどうも。お世話になります。ええとですね、この事務所の電話は受注用なんですよ。ご連絡はメールでといつもお願いしているでしょう。ええ、まあそうですね。たしかに通話が必要な場面はありますね。はい。あの広告は新しいスタッフの力作ですよ。合格点がもらえたようでなによりです」


そして社長は真子さんと私をちらっと見てからこう言った。


「楽々店の店長は流山という者にまかせることになりました。会社の PHS を本人に持たせますので、今後のご連絡はどうぞそちらに。番号はあとでお伝えします。メールアドレスができましたら、それも伝えさせます。はい。今後ともよろしく」



衝撃の展開なのに事務所の雰囲気はまるで、よくあることのように弛緩していた。壁の時計の数字が止まって見えた。


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