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最終話 拾った少女と新しい出会い?

海音が目覚めたと聞き俺は海音の病室に向かう。


「海音!!」


俺が病室に入ると海音はビクッとして俺を見る。


「誰ですか?病室を間違えてるんじゃないですか?私は坂本真由なんですけど…」


海音は俺にむかってそう言った。


そっか…


衝撃で記憶が戻っちまったのか…


じゃあ海音はもう存在しないんだな…


「すいません…」


俺はそう言って病室を出て行く。


「やっぱり…好きになんてならなきゃよかったな…」


俺は涙を流す。


好きな人が俺のことを忘れるのがこんなに辛いものだとは思ってなかった。


やっぱり好きになんかなっちゃいけなかったんだ…


それから海音は退院し自分の家に帰って行った。


俺はもう海音と会うことは二度とない…


俺はそれから海音が来る前の生活に戻った。


佳奈とは付き合わなかった。


佳奈がかわいそうだから。


たまに俺は「海音」という名前を家で呼んでしまうことがあった。


その度に俺は悲しい思いをした。


海音と初めて出会った日。


俺は海音が落ちていた海に行った。


海音との約束だったから。


海を眺めていると心が落ち着いた。


「ん?誰だろ?」


帰ろうとすると海に人影を見つけた。


俺は気になって人影に近づいてみる。


「…海音」


そこにいたのは海音だった。


声をかけるか迷った。


正直海音に会えたのはうれしかった。


…が、同時に怖かった。


性格が違う海音と話すのが怖かった。


「あの」


俺は海音に話しかけた。


「?」


海音は俺の声に振り向いた。


「こんな時期に1人で海を見るなんてなにかありましたか?」


「約束…」


「?」


「約束をした気がしたんです…この日にこの海を見に行こうって」


「っ!」


海音は約束を覚えていた。


「でもおかしいんですよ…私はこの海に来た思い出がないですし…それに私と約束なんかする人この世界にはいませんから」


海音は悲しそうな顔でそう言った。


「はは…初対面の人に何言ってるんだろ私。誰とも話してなかったから話したくなっちゃたのかな…?ごめんなさい。今の話は忘れて…きゃっ…」


俺は海音に抱きついていた。


「そんな…」


「え?」


「そんな悲しいこと言っちゃいけない…」


俺は海音にそう言う。


「ちょっと…苦しいです…」


「あっ!!ごめんなさい!!」


俺はすぐに離れる。


「なんなんですか!?いきなり抱きついてきたりなんか…」


俺は今の気持ちを正直に言おう。


「一目惚れしました。付き合ってください」


俺は海音にそう言う。


いや、海音にじゃない坂本真由にそう言う。


「えっ!?あの…その…」


真由は顔を真っ赤にする。


「友達からでもいいんです!!」


「えっと…その…私いじめられてますよ…?私は帰る家もないんですよ…?」


「それでも!!それでも俺はあなたが好きです。帰る家がないなら俺の家に住めばいい」


「…」


いきなり真由の目から涙が出る。


「あれ?なんでだろう…?どうしたらいいんでしょうか俊さん」


「!?」


「俊さんってだれ?あれ?私そんな人知らないのにな…」


やっぱり海音としての記憶が身体に染み付いているんだ…


「海音!!」


俺は大きな声で呼ぶ。


「俺は海音が好きだ!!」


俺はとにかく叫んでみる。


「私も…私も好きですよ…俊さん」


海音が優しく抱きついてくる。


「み…おん…?」


「はい」


「海音!!」


「はい!」


「もう…もうどこにも行かないでくれ…海音…」


「はい」





「…とこれが俺の妄想だ」


俺は会社の後輩と昼飯を食べながら自慢気に言う。


「さすがっす先輩!!きっと思春期の男子にもこれほどの妄想無理っすよ!!」


「ちょっと最後無理ないですか?でも先輩その海音って人紹介してください」


「だから俺の妄想だって」


「ちっ」


「さっ!仕事再開しようか。と言いつつも俺は今日早退な」


「「な!?」」


「娘が待ってるんだよ」


俺はそう言って会社の扉を開けるとそこには女の子と女の人が手をつないでいた。


「俊さん待ちました」


「パパ遅い!」


「ごめんごめん」


俺は2人に謝る。


「先輩この綺麗な人は?」


「俺の妻だ」


「真由っていいます」


「もしや!?その人が海音!!」


「ばっ!!」


「俊さん?また私のこと言ったんですか?」


「ご…ごめんなさい…」


「許しません!!」


俺は走って逃げる。


真由は俺を追ってくる。


『こんな生活がずっと続いてほしい。』


今度は心からそう願った。


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