表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので百合ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第六章 過

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/164

襲来

 一番最初に火の手が上がったのはドラゴニアス帝国。中心部からは遠く離れた国境付近から広がっていき、続いて商国とユーリース共和国、そしてルクツレムハ征服国の各地にまで至る。王都に殆どの国民を有する砂漠地帯ジルタフと、戦争国家ネルフェールでは、まだそういった報告は上がっていない。


 悲鳴は火事が原因で起こっているのではない。そこに住む人々が次々と襲われていくのだ。女子供とて容赦ない。見境無しの殺戮に近い。


 逃げ惑う人々を襲うのは、腐ったような異臭を放ち、朽ちた身体で徘徊する者達、普通の人間と然程変わらない見た目の彼らは、通称〈ゾンビ〉。


 ゾンビの彼らに意志は無い。


 瞳(うつ)ろのまま、操られているかのように、肉を欲する。噛みつかれた者、傷を負った者はゾンビとなり、次なる生者を襲う。彼らがこうも人を襲うのは、渇きが止まらないからだ。飢えは絶えず、常に満たしたいという感情に駆られる。


 その者達の中には、身体能力を急激に向上させる者もいる。


 対処に時間がかかるのは、この所為。弱いと(あなど)って殺られる。


 相手が知己だと、そういう場合が良くある。


 また、彼らが歩いた大地は必ず腐蝕(ふしょく)が起こる。


 草木は枯れ、地面はひび割れ、水分は枯渇する。ある種の災害であり、歯止めは利かない。更に残念なことに、ゾンビとなった者達は救済されない。


 治療系・解呪系の能力者では治せず、過去の()()()()()では、如何(いか)なる能力をもってしても、元に戻すことはできなかった。


 これは、【聖なる九将(ホーリーナイン)】の実録書に記載されているほど。


 彼らの末路は、死以外あり得ない。だが彼らに痛みという感情は無い。操られているとも思っていない彼らは、自分の飢えを満たすため、前へ前へと行進していく。


 1つの()いた種で、死を恐怖しない軍団は出来上がるのだ。


 これほど、恐ろしいものはない。


 これが、一人の能力者の力というのもまた(おぞ)ましい。


 上手く利用すれば、世界を手にしてもおかしくないこの力の持ち主は、悪役(ヒール)ではなく、まさかの【聖なる九将(ホーリーナイン)】、序列第八位のゾビィー。


 痩せ細った身体に貧相な服装の少年、彼の能力は“腐蝕死群(コープス)”。


 正義の味方と言われた【聖なる九将(ホーリーナイン)】には、およそ似つかわしくない能力だが、ゾビィーが【聖なる九将(ホーリーナイン)】入りを果たしているのは、その能力が強すぎる所以(ゆえん)だ。


 時間をかけさえすれば、世界を崩壊する。そこに生者は居ない。能力者も関係ない。強者だったとしても噛まれるだけで、有無を言わずにゾンビ化する。


 野放しにすれば、必ず終わりが来てしまう。


 だから、位階付けしてまで管理していた。



 しかし、ゾビィーは能力を発動した。過去に能力を封印すると決意したのにだ。突き動かしたのは紛れも無く、征服王という存在。ジュンの征服行動が、ゾビィー少年の逆鱗に触れてしまった。


 彼の人生観は、根本的に異なっているのだ。生活様式も、まるで違う。


 人それぞれ価値観が違うのは当たり前だが、ゾビィーはどうしても許せなかったのだ。


 【聖なる九将(ホーリーナイン)】としての正義感、責任感を抱いていたのも大きい。


 抜いた刃は鞘に戻らない。前に、進むだけ。止まることはない。



「全部壊す……征服王に(くみ)する者全て──」



 行き過ぎた正義が、世界を襲う。





作品を読んでいただきありがとうございます。

作者とへきが一緒でしたら、是非とも評価やブクマお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ