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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので百合ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第五章 聖なる九将

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興味尽きない

 ジュンは紅蓮(グレン)の部屋を訪れている。アフターケア、副作用が起きてないかの確認だ。


 何度目かの訪問にも拘らず、紅蓮は(いぶか)しさ覚えず、入室を許可してくれている。



「守護者は何時如何(いついか)なる時も、馳せ参じ、(こうべ)を垂れ、身を差し出します」



 『アポ無し訪問大歓迎ですよ』いう意味も、男のままでは受け入れ難い。



(それってつまり……、お風呂入ってても戸を開けてくれるってことでしょ?それはダメよ。そんなハプニング会作っちゃダメ、ラッキースケベは私が女になってからよ)



 それでも紅蓮の意志は変わらない。


 それこそが、守護者の務め。


 主従関係を非常に重視する彼女の信条(ポリシー)

 


「……影響は?」

「問題ありません。創られた時同様──いえそれ以上に心地良くございます」

「ふむ」



(これだけ確認すればもう良さそうね。信頼されてないって思われたら癪だもの。嘘偽りない報告で、私の能力に忖度(そんたく)してなければいいんだから。本当はボディチェックしたいところだけど、我慢よ我慢。早乙女純、いまは男なんだから、ぜーったいに触れちゃダメ!)



 ジュンが良からぬことを妄想する中、紅蓮は主の次の言葉を静かに待っている。


 勿論、本人の発言に嘘は1つもない。誠実に答えてもいる。黒の捕食者に喰われたのは、記憶消去に関する情報だけ。


 紅蓮が格好いいと言いかけた、その“黒の捕食者”については何も覚えていない。



「では、帰るとする」

「ジュン様、発言を許していただけますか?」


「……何だ?」

「その、あの…例の件はやはり、拝見させてはもらえないのでしょうか?」



 紅蓮にしては歯切りが悪い。

 これは、ここ数日何回もしているやり取り。


 例の件とは、()()()()()


 砂漠地帯ジルタフで、記憶消去を受けたのは紅蓮にヤンとミズキ。


 それ以外の守護者はその場に居ないが、念話(メッセージ)を通して、当時の状況は覚えている。


 何も見ていなくとも、紅蓮が格好いいと言いかけたのは全員が記憶しているということ。つまりは、自分が言いかけた言葉の真実を知りたいのだ。



(はぁ、また?ちょっ、何で()そうなわけ?グロイし、変態だし、男のままでは見せれないのよ。女体化して初めてムフフな事に使うって決めてるんだから、無理よムリ)



 エロに触手は付き物(セット)。使いたいけど使えないジレンマ。それが、黒の捕食者。



「……許可できない」

「……畏まりました。その意に従います」


「忘れた……方がいい」

「……善処します」



(うっ……善処かぁ、まだ無理っぽさそうね)



 紅蓮らしからぬ言動に、まだ不思議さは残るが、部屋を後にするジュン。


 今日の予定はまだあるからだ。このあとは作業場。


 定期的に行われる紫燕(シエン)蘊蓄(うんちく)会に参加することになっている。







◇◆◇◆◇◆






 蘊蓄会と言っても、参加者はジュンと紫燕の2名。


 オタクの話をただ聞くだけの会だったのだが、今日はいつもと違う賑わいを見せている。作業場にいるのは、夢有・唯壊・紫燕。


 低身長、貧乳の3名がお喋りしている。



(AA、A、B……ユニット名はペッタンズで決まりね───にしても、こうやって見ると、BはやっぱりAよりあるわね。微妙な膨らみがまたそそるわぁ。でもペータン教の神としては君臨できない。ここはやはりA……夢有と唯壊の独壇場ってことね)



 変態発言は聞かれてないないし、心内は決して気づかれてはいけない。


 ペッタンズの筆頭、夢有と唯壊が飛びついたとしても。



(おっほ♡)



 紫燕は唯壊より年下だが、子供っぽいようなことはしない。


 単純に()()()()()()()()()のもある。



「陰キャに場所取りは向いてないのよ」

「んなっ!?」

「ジュンさまぁ、今日もいいにおい♪」

「ちょっと夢有降りなさい!そこは唯壊の特等席なのよ」

「いーやーだー」

「陰キャ……オタク……ガーン……」



 三者三様、入り乱れている。託児所かと見間違うほどに。



(全国の保母さん……いや、全世界の保母さん、いつもご苦労さま。この景色、私も堪能できたことを報告するわ。女だったなら尚良かったけどね……ん?)



 ジュンの袖を引っ張るのは唯壊。



「今日は唯壊に会いに来てくれたのよね?」

「違いますよ。語り合うんですよ」

「何を?恋?あんたたちには早いんじゃないの?」

「ユエちゃんには遅いかも?」

「……ちょっと夢有、今何て言った?」

「ユエちゃん怖いぃ、助けてジュンさまぁ」



(託児所からの女子会からの修羅場か……アリね)



 心の中でGoodポーズしていたジュン、だが───



「あっ、分かりました!()()()話してくれるんじゃないですか?」

「……ッ!?」

「あっそうなんですね」

「遂に教えてくれるの?唯壊にだけってのでもいいのよ」



(ここでもなの?最近多いんだけど……)



「きっと、ゴッツい武器の形してるんだろうなぁ」

「違うわよ、超大きい詠唱陣で創り出しているのよ」

「食べ物とか、かも?」



(3人とも大ハズレよ。夢有に至っては、お腹減ってるのかしらね。食材ではなくて食す側ね。それよりも、このままじゃよくないわ。名残惜しいけど、お暇しないといけない)



 長居すればするほど、黒の捕食者について質問攻めにあってしまう。



(今はまだ教えることができないのよ)



 急遽予定を変更するしかなかったジュンは、作業場から鍛錬場へと移動した。








◇◆◇◆◇◆







(ここまでくれば……おっと?)



 鍛錬場で汗を流すのは3名。


 (シキ)月華(ツキカ)、それに珍しく(スイ)が一緒にいる。



(そういえば朝、個人専用鍛錬場の解除を言われたのよね、思い出したわ。合同鍛錬なんて珍しい)



 ただその時間は終わったようで、今現在、式と月華だけで組手をしており、翠は隅で精神統一している。



(さっきとは対照的ね。翠は普通だけど、式と月華のは、あぁ服から溢れそう!あの間に挟まりたいわぁ)



 妄想全開、フルスロットル。


 動悸は治まらないが、治めるしかない。



「あのぉ……」



(はっ!まさか!?ここでも??)



 ジュンに声掛けたのは月華、恐る恐るジュンの顔を覗く。



「翠って強すぎません?」

「何?」



(あ、ああぁ、そっち?)



「ボクじゃあ全然勝てませんでした」

「オレは負けてねぇかんな!」

「……」



 翠は(だんま)り、無口。


 返答する場合は頷くだけ。

 


「ボクは少しですが、式はガッツリとやられたので、何回も“半自動治癒(オートキュア)”を使いましたけど、いいですよね?」



 “半自動治癒(オートキュア)”を発動させるには、魂魄を消費する必要があるが、()()()()()許可は必要としない。


 よって問題はない。


 月華が心配しているのは、鍛錬なのに使い過ぎたのではと思っているからだ。



「問題ない」

「良かったです」



(さっき、魂魄(エネルギー)の乱れを感じたのはこれね)



 紅蓮の部屋を訪れる前に感じていた乱れは解決したが、話はそれだけに終わらない。



「主!オレをもっと強くしてくれ!(あいつ)に勝ちてぇんだ!」

「何いっ……?」



(努力は!?ってツッコミたいところだけど、よく考えたら式ってあまりそういう事しない性格(タイプ)だったわ。この場に珍しいのは翠じゃなくて式ね)



 式を強くすることは出来なくはない。


 ただその場合、一から創造し直すしかなく、ジュンの考え上絶対したくはない。もしくはヤンやミズキのような改造手術が考えられるが、あれは魂魄を注入しただけ。


 確かに魂魄はエネルギー。


 魂魄の総量は翠の方が圧倒的に多い。だからといって、勝敗を決定付けるものにはならない。


 能力の相性はあるかもしれないが、自分を磨くチャンスは平等に存在する。



(性格的に難しいかもだけど、月華みたく鍛錬を日常化してほしいものね)



「すまないが、無理だ」

「オレには可能性がないってことか!?」

「違う」

「ボクもですか?」

「ん?ああ」



(ああ〜もう、難しいわね)



 埒が明かないと思っていた矢先、念話(メッセージ)が繋がる。


 繋げたのは、ずっと精神統一をしている翠。



『どうかしたか?』

『改造は嘘、例の物をみたいだけ』

『何!?』



 無口な翠は、ジュンと喋る時だけ、少し饒舌(じょうぜつ)になる。



(それが本当なら賢くない2人が、考えた作戦ってこと!?こっちの成長の方が驚きなんだけど……)



『情報提供感謝する』

『はい』



 念話(メッセージ)を終えたジュンと翠。


 無論、式と月華には聴こえていない。



(よし、逃げるが勝ちね)



 思い立ったジュンは、『後は自分で考えるように』とだけ伝え、その場を去ることを決意。


 追いかけようとする式には、『待て』と言い、留まらせていた。







◇◆◇◆◇◆






 鍛錬場のあとは世理(セリ)の観測部屋を()て、現在は陰牢(カゲロウ)の拷問部屋に居る。


 〈経て〉という言い方なのは、そこでもまた黒の捕食者について尋ねられたからだ。


 ゆえにまたもや、そそくさと退出する羽目になり拷問部屋に来ているわけなのだが───



「興味はありますけど、お聞きしませんよ」

「……」



(うっ……興味はあるのね)



「それよりも他に聞きたいことがあります。ジュン様が以前に仰っていた『初めて』の件です」

「……」



(初めて……?あーアレね、一時期悩まされたやつね。結局分からず仕舞いだったけど、それが何?)



 ジュンは故女王シンディに会った際、その態度に憤慨し、陰牢案内のもと夜の街に飲みに出かけ、“自動治癒(オートキュア)”を解除するほどに飲み明かした日があった。


 陰牢に中身は女であることはバレていないが、器としての男の身体は童貞であることを伝えてしまっている。


 ジュン本人は何を言ったかも覚えていないので、未だ陰牢とは話が噛み合っていない。



「その件は……」

()()は決まりましたか?」

「……いや?」



(御心って何?隠語過ぎて分からないんだけど……もう少し直球で言ってもらいたいわね)



「左様ですか。決心した時はいつでも仰ってください」

「……うむ」

「それとですが、ジュン様はどこまでを考えていますか?」



(決心て何よ?どこまでって何よ?陰牢は何を言いたいの?適当に答えたら変な方向に行きそうだわ。ここは慎重に答えないと……)



「想像に、任せる」

「それは難しい言葉ですね。()()と捉えても?」



(全て?んーまぁ、そうよね。私は全てを手に入れる)



「問題ない」

「!?………承知しました。この陰牢、今後も全身全霊を尽くさせていただきます」

「う…む?」



(ん?これで合ってたわよね?話、噛み合ってるわよね?)



 話は全く噛み合ってはいないのだが、ジュンがそれを知る由はない、言うまでもなく陰牢もだ。


 この駆け引きもまた長く続く。終着点は誰にも分からない。


 結局このまま搾りたての葡萄ジュースを飲み終えたジュンは、自分の執務室へと戻るのだった。








◇◆◇◆◇◆







 ジュンが執務室へと戻るや否や、(レイ)は待ってましたと言わんばかりに、資料にサインを求めてくる。


 周辺国家を征服したことで、管理体制や法案など決めるべき事案が山程増えたからだ。国自体にそれぞれ代表者はいるが、全て属国となっているため、政治・経済・軍事に関係することは事実上、支配する国に従属する。


 但し、人材欠如により、全てを決定する権限は持ち合わせていないため、国の内務的な部分は特に、各代表者の手腕に任せている状態。


 しかし、それさえも目を通す必要があり、内容によっては是正・改定させている。周辺諸国を征服して時間にゆとりを持てると思っていたが、全くそうはなっていない。


 寧ろ、時間に追われる毎日。書類にサインする合間、守護者と会話したりしているが、自分の女体化に関しては全くと言っていいほど、模索する時間は確保できていない。



(終わりが見えないわ)



 嘆きたくはなるが、大の男が大粒の涙を流すわけにはいかない。


 弱みを見せるなど愚の骨頂。


 ましてや、零の前では尚更。



「如何しましたか?」

「いや……」

「紅茶と菓子はこちらに」



 用意周到。気は利くが、全てサインさせるまでは逃げれない雰囲気。



「い…頂こう」

「そういえば、他の者が騒ぎ立てている件ですが、私にも見せてはいただけないで合ってますでしょうか?」

「だな」

「理解しました──では、別件をいくつか口頭で報告したいのですが、よろしいですか?」

「うむ」



(ヤケに即答ね。何か問題でもあったのかしら?)



「実は、()の者の件ですが──」



 零は別に持っていた報告書を置く。


 法案よりも重要な彼の者とは、()()()()()()()のこと。



「ジュン様が断り続けていた彼は、現在この国、ルクツレムハ征服国内に滞在しています」

「何?」


「加えて言えば、南部のグラウスやアリサ共々仲良くやっているようなのです」

「ふむぅ」



 あれからニシミヤライトは、何度もジュンの下で働きたいと言ってくるのだ。配下にして欲しい、もしくは守護者入りさせて欲しいとまで懇願している。


 その度に断り続けているのだが───



(まだ諦めてない──いや外堀を固めに行ってるわねアイツ。グラウスだけならまだしも、キープ枠であるアリサちゃんにまで手を出してるなんて最低ね。流石はストーキング男。そういえば、小国レジデントのユージーンて奴もアリサちゃんの近くにいるみたいなのよね。モウリは帰国したのに、何で……まさか狙ってる??)



「──それと、彼の者の素性を調べましたところ、()()()という者が以前擦れ違った様子でして、その言葉を信じるとすれば、彼は【聖なる九将(ホーリーナイン)】の一員だそうです」

「ふむ」

「それも序列第六位に君臨するみたいですね」

「……」



(はぁ?え、あの変態、【聖なる九将(ホーリーナイン)】なの?あり得ないんだけど、気持ち悪っ……)



「──ですが、この組織一枚岩ではない様子でして、恐らく彼の者は単独行動をしているようなのです。序列で位階付けされている者は、その権限を有しているのかもしれません」

「なるほど」



(なら余計にダメじゃない。男を配下にするなんて基本好きじゃないのに、【聖なる九将(ホーリーナイン)】だなんてもっと無理。今のところは特にね。まぁ、彼らの実態を知るには丁度いい機会なのかもしれないけど、ストーキング男はやめた方がいい気がするのよね、女の勘ってやつよ)



「この件、如何しましょうか?」

下手(へた)に手を出すな──が下手(したて)にも出るな」


「畏まりました。その言、各守護者に伝えておきます」

「頼む」



 これにて書類サインに戻る───かと思いきや、そうではない。


 零は別の()()と入れ替えた。



「これは……」

「はい」

「遂にか」



 文書は公的な効力を発する。差し出し人は、ドラゴニアス帝国。内容は、友好条約締結を促すものだった。





作品を読んでいただきありがとうございます。

作者と(へき)が一緒でしたら、是非とも評価やブクマお願いします。

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