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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので百合ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
序章  創造主と守護者

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エピソード 唯壊

 力とは恐怖。

 力無き弱者は強者に虐げられ、惨めな人生を送る。

 これは世の(ことわり)であり、力の源ともいえるパワーは一般的に筋力量に比例する。ただし、そうでない場合も然り。


 それを体現できるのは創造された守護者、名を唯壊(ユエ)


 身長150センチ未満の成人女性。

 髪は桃色で肩に掛かるくらいの長さ。

 幼児体型がコンプレックスの彼女の能力は、“破壊者(デストロイヤー)”。


 能力発動中に手で触れた物、もしくは体に触れられた物を粉々にするという圧倒的な力。彼女と戦える守護者は数人しかおらず、火力トップ3の一角を担っているほどに暴力的。


 そんな彼女の一人称は唯壊、つまりは自分の名を言うほどに自分ファーストで他人を(かえり)みない。


 更には、ヤンデレ属性という設定付き。

 盛り盛りの設定付き守護者が多いのはジュンの──いや、早乙女純の変態的な欲望の所為(せい)


 その所為で、慌てふためく案件が度々発生するのは自業自得。今日もまた、ジュンは唯壊に問い詰められている。



「また、唯壊以外の匂いが付いてる」


「うっ…」



 唯壊は夢有(ムウ)が度々するような、ジュンの膝の上に(またが)り、衣服の匂いチェックをしている。他の女の匂いは断固として許さない構えに、毎回の如く、たじろぐジュン。



(ヤンデレ最高!鬼嫁最高!!でもでも男女の恋愛は決してダメだからね。不純異性行為は認めません。唯壊が一番恋愛に興味ありそうな感じだけど、男への興味はなくさないと。いつか私が必ず自分の容姿を女の子にしてみせるから、それまで待っててちょうだいよ)



 主がそんな事を思っているなどと知らない唯壊は、マーキングを続ける。


 頭を擦り付けたり、無い胸を密着させたり、手に触れたりと、普通なら間違いなく心拍数の上がる行為を躊躇なくする。ジュンは無表情を貫き通すが、心拍数はちゃんと上昇。



(むむむ、やりおる。でも我慢よ私、ここが正念場。これがムチムチの美女だったら即墜ちよ。ペッタンが嫌いなんてことはないのよ。私は両方好み。だって創ったのは私なんだから)



 いつもならそろそろ拘束から解放される時間だが、今日は運悪くに、もう一人の来訪者。その守護者は、唯壊が対抗心を燃やす相手、そう同じ幼児体型の夢有である。



 ペッタン美少女が右左の膝上に乗る行為自体、普通なら変な妄想は抱かないだろう。だが古城の主ジュン(♂)の中身は早乙女純(♀)、変態的な心理状況に陥っているのは言うまでもなく、欲の狭間で揺らいでいる。



(くおおぉぉぉぉぉ!!!美少女2人が目の前にぃ!!はぁはぁ、クンカクンカしたいぃ!!両脇に抱えたいぃ!!男じゃなかったらいまここで、押し倒せるのにぃ!!!)



 手足は見えない所でピクピクさせるも、欲望は顔に出さない。


 我慢は出来ているが、いつまで理性を保てるか。

 その心理をペッタン美少女達が知るはずもなく、膝の上で言い争う。



「ここは唯壊の特等席だから」

「違うもん、平等だもん」

「違わない、夢有は降りなさい」

「いーや!ユエちゃんだけズルい!私もジュン様の近くにいたいもん!」



 成人ペッタンと小学生ペッタンの争いは続く。

 膝から降りるどころか動き回り落ち着かない。

 擦れ合い、肌が触れ、我慢の限界は近づく。



(ふぅふぅ、落ち着け私、男のまま襲ったら意味ないじゃない。そんなの不潔よ、変態よ、野蛮な男になりたくない。私は女、女の姿を手に入れてから女子を好き放題したいのよ!)



「そろそろ、降りてくれ」

「嫌です」

「嫌なの」



 これは意見の合う2人。

 膠着状態は続き、とある結論に行き着く。



(そうだ!立ち上がりながら、2人を抱き上げればいいわよね?膝から降ろすという名目で少し…そう少しだけ男の身で触れてしまうけど仕方ないわよね?それなら恋には発展しないはず。親が子を抱えるイメージ。そうイメージは大事よジュン、準備はいい?行くわよ!)



 脳内プランを実行に移す。

 だが、勢いが良すぎたために、2人の腰部を持つのではなくまさかの腰下、お尻辺りを鷲掴みしてしまう。



「あんっ」

「あぅっ」

「あ……」



 その結果、ジュン(♂)の陰部と早乙女純(♀)の理性は暴発する。


 柔らかな桃を2つ掴んでしまったのだ。

 これは明らかな事故であり、寝室直行案件かと思われたが、今日もまたナイスタイミングで部屋の扉は開かれる。



「失礼致します」

「れ、(レイ)

「戯れも程々がよろしいかと存じます」

「……俺が戯れなぞ、するわけなかろう」

「ですね、では失礼して──」



 零はシュルッと武器の鋼糸を取り出し、夢有を糸に絡めて降ろす。



「わっ……ッ」



 唯壊は能力発動中で鋼糸では捕まえられないために、ジュンに抱えられながら降ろされる。零の計ったような登場で危機を逃れたジュンだったが、一安心とはいかず、水面下の争いを内心ヒヤヒヤながらに見守る。


 そこには、美女と美少女。

 笑顔な2人は互いを見ては闘気を燃やしている。



「唯壊の邪魔したのは分かってる?」

「邪魔したつもりはございません。()()()()()()ので入室しただけですよ」

「ていこくぅ?」

「はい、ジュン様もずっとは執務致しません。休憩時間には、お飲み物をお持ちすることになっています」



 零が持ってきたのは、茶菓子。



「そっ、じゃあいい。命拾いしたわね」

「ふふっ、お互い様です」



 零の傍を通り過ぎ部屋を出るかと思いきや、ジュンの席にまで戻り、自分の香りを擦り付けてから退室していく。


 つまり、2人の睨み合いは、唯壊が部屋を出るまで続いていたということ。一部始終を見ていた夢有もやっと退室していく。



「また来ます!」

「あ、ああ」



(女って怖いわぁ。ヤンデレ属性怖いぃ。でもそれが良い、刺激は素敵。やめられない止まらない私の変態欲。早く私も女になりたいわ)



 早乙女純が女体を手に入れるのはいつの日か、それは誰にも分からない。






作品を読んでいただきありがとうございます。

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