手助け
第4関門所の破壊を見終わった後、夢有に次の指示をしてから第1関門所へと移動してきたジュンらは、月華の戦いも一部始終を見ていた。
「今───」
「流石でございます。やはり、気づかれますか」
(この男……月華に加勢したわよね?)
勝負云々の手助けはしていない。手助け無しの単独任務だということは、ニシミヤライトが他人で部外者とはいえ、百も承知。
「何故?」
「簡単なことです。頑張っている方には、それなりの報酬があって然るべき……でしょう」
月華には夢有のような破壊性を帯びた攻撃力は無い。関門所という建造物の破壊は得意としていない。
たとえそれが、連続して衝撃破を打ち込んでいたとしてもだ。打ち込みだけをしていたならば、まだ可能性はあるが、途中から拮抗した戦いに変わっていたし、渾身の一撃で敵を壁にぶち当てたとて、衝撃が関門所全体に広がり壊れゆくといった現象にはならない。
普通、破壊には時間を要する、誰かが手を加えない限り。
(この男、もしかしていい奴なのかしら?)
衝撃が伝わったように見せかけたのは他人で部外者な男。相変わらず笑顔は絶やさない。
(いや……やっぱりダメ。作り笑顔みたいで胡散臭いもの。まだ判断すべきじゃない、それに今は──)
「月華さんを称賛しにいきますか?」
「……ああ」
(うっっざ!なんであんたが仕切るのよ!あ~〜もう!イライラするわね!)
随所に心を乱す輩に苛立ちながらも、月華のいる地上へと降りていくのだった。
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