第180話 里の樹連合①
ネルフェール国での三者間戯れ合いの1週間後、ジュンは守護者の紫燕を連れ、【六根】が治める里の樹連合へと足を運んでいる。属国となった里の樹連合の管理者は紫燕が務める。少し系統は違うが、同じような装束衣装を身に纏う彼らとは気が合うこと間違いなしと思われての人選でもある。
遊覧旅行は継続中。里の樹連合へは戯れ合いの翌日には訪問予定だった。事前連絡もしていた。
日程変更を余儀なくされたのは、随分と慌ただしい理由があったからだ。
ジュンが征服王として征服していない国は残り3つ。大国2つと小国1つ。その内、大国の1つが巨人の手によって半壊されたと報告があったのだ。
第一報告者は、日々世界観測を行う世理。
詳しい状況までは観測できていないが、巨人とひとくちにはいっても、人間がただ大きくなったような感じではなく、召喚された可能性ありと報告書には記載されている。
報告書の作成は零。
世理の言葉を一字一句まとめており、別書類には『天に巨大な召喚円を観測』とまで書いてあった。
更には別の場所で、『天より飛来する光撃』を観測しており、それが妖国グリムアステルの一部地域と砂漠地帯ジルタフの一部地域に振り注いでいるという状況。
これにはさすがのジュンも面食らった様子で、同時に発生した地震と因果関係があると思われたために、注意期間を設けた上で、1週間後に訪問となったのだ。
砂漠地帯ジルタフの現地確認は守護者の紅蓮、半守護者のヤンとミズキに任せている。
妖国グリムアステルは我関せずな状況下ではあるが、隣国の里の樹連合に一時的な様子見を任せたため、その辺りの聞き込みも兼ねての訪問。遊覧旅行は勿論するが、安全かどうか確かめない限りは始まらないジレンマ。
妖国方面には未だ数班の【六根】の者達が赴いているようで、ジュンと紫燕のお相手は第一の里長イチョウと第二の里長ニリン。ギルテ戦で敵対した人物たちとの面会。その部屋へと案内される道すがら────
(あら?)
邂逅したのは、美女3名。麗しくも気高くて強靭な印象は【聖なる九将】序列第五位シルフを思わせた、が違った。
(確かドラゴが言ってたような、三武人だったかしら……?)
部屋から出てきた3名は何やら荷を持っていた。が、知り合いでもないために質問などできようもない。挨拶すらしない予定ではあったが、最後尾の美女だけが会釈したことで、ジュンも視線を合わせ、紫燕が頭を下げた。
実に常識的な行動、互いがである。
そこに誰かと誰かが敵対していたという関係性を持ち合わせていたとしても、この場で剣を抜くことはしない。
(彼女たちのことは長達に聞けばいいわ)
シルフの居所が分かれば、ゼロの一派と遭遇できるかもしれない。それすなわち、〈異世界の宝具〉所有する輩と会える可能性もあるということ。何処かで生きているであろうギルテの情報も手に入るやもしれないが、それはどうでもいい。
ジュンにとって必要なのは───完全なる女体化のため───〈異世界の宝具〉を持つ者との遭遇、交渉のみ。
ここにきて、その情報が手に入るチャンスがある。
尤も、巨人出現然り、光撃然り、全てゼロの一派によるもだと考えられるために、相敵はそう遠くないと、ジュン自身も実感している。が、それはそうとまずは面会なのである。
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