第174話 共和国①
本日の遊覧先は共和国。帝国の頼み事を終えての翌日。本来であれば、白紙にした帝国との友好条約内容の精査等に1日時間使うのが、一般的な王のあるべき姿ではあるのだが、ジュンはそんなことお構いなし。
人々に誇れる王ではない。単なる征服王なのだから。
勝手がモットー────とまでは言わないが、政治云々は一旦守護者の零にお任せ。案の精査は1番優れた信頼ある者に託す。
おかげで本人は悠々と愉しみに興じれる。これほど嬉しいことはない。
(今は特に懸念事項ないもんね。国内は安泰だし、DS園も順調だし、妖国関連は気にする必要があるけれど 【六根】から連絡があるわけでもなし………あーでも、そうね、問題があるとすれば共和国ね)
そう共和国は今、不安に駆られている。共和国民がではなく、国の中枢担う者達がである。
共和国の王に即位した──能力で王位を掻っ攫った──カンネは行方知れずのままだ。正確的には拉致られたのだが、未だ何も要求無し。能力の希少性を鑑みれば理解はできるが誰も納得はしていない。属国となっていなければ、よりパニックに陥っていたことだろう。城勤めのライラックや現場に居合わせたスズが働きかけているものの、事態は好転していない。
そんな渦中での訪問──個人的理由──となっている。
「うわぁー、皆暗いですね、やっぱり」
共和国管理者が言うのだから間違いない。普段は活気に溢れていたのだろう。それほど、カンネの手腕、王として適正だったということだ。
「そう……ね。これ、なんとかならないわけ?帝国と同じ空気してるじゃない」
愚痴は月華に対してではない。そもそも、そんな愚痴が無意味なことくらいジュンにだって理解できている。
だからか、答えたのは───
「申し訳ございません、征服王。人数少ない切り盛りで代償も大きかったのでしょう。励まし程度ではどうにもならず、力不足です。このようにスズ殿に出向いてもらっても、いっこうに事態は回復しません」
心を入れ替えたライラック。だが、そのライラックも意気消沈してるのが目で見て分かる。
しかも遠回しに、共和国も人材不足を嘆いている。元々の人口が少ないのだから仕方ないが、捜索に費やすよりかは王の代理を決め、中枢の立て直しを図るが無難と一応は助言したのだが聞き入れてはいない様子。
手腕もさることながら、王としての人気や信頼も高かったということだ。そういう意味で言えば、ジュンもカンネを見習う部分がある、がその本人は行方不明。為す術無しとはまさにこのこと。
「事情を知ってれば理解できるけど……はぁ、まぁいいわ。ところでだけど、屋敷の運営はどうしてるの?」
「現在は休業してます。料理は出しとりません。ムギがおりりますけど、定期的に温泉管理する以外は彼女もこちらに加勢しとるゆえ、不在が多いかもしれしまへん。一応関係者の出入りは良しとしてます」
実質の無期休業。これは痛いところではある。関係者の出入りは可能と言ってもだ。饗しがないのであれば泊まる必要性もない。
(くぅ〜間接的に私のデートスポット減らしちゃってマジ許さないんだけどそいつ……ライジンって言ったっけか。今度会ったらタダじゃ済まさないわっ!)
「このように、スズ殿にも手伝っている状況です。ある意味代理人となるやもしれませんが、我々が代理人を立てることは致しません。カンネ王の還りを待つのみです、申し訳ありません」
「そう、まぁいいわ。やり方は任せてるし、これ以上は口を挟まない。何かあれば月華に相談してくれればいいから、私も勝手するし……」
チラ見した相手はスズ。意を解したスズも、小さく『どうぞ』と頷いた。
共和国と言えば温泉。それくらいに楽しみが無いのだから、確定事項。休業ならば、関係者しか入れないのであれば、それはもう貸し切り。
無法地帯。監視もない。
月華の胸に溺れるチャンスなのである。
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