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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので百合ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第八章 DS建設

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労いデート

 【DS園】の一般開園は今日から。噂を聞きつけた富裕層や東部軍に所属する兵士ら家族などが来園する。


 征服時にネルフェール関門所は全て破壊しており、物理的な壁は無し。関門所の役割を引き継ぐ建物が、(ケイ)たちが造った監視塔。一般人に紛れた不届き者報告は上がって来ておらず、集客状況から、滑り出しは順調そのもの。


 おかげで、気兼ねなく園内を満喫できるというもの。


 憂いは断ち、後は堪能するだけ。そう、本日はデート日和。守護者への労いも含めた複合型施設デートは始まる。


 とは言うものの、本来であれば一人に対して丸一日要すのが、デートというものだ。短時間で終わってはデートと呼べず、接待になってしまう。


 がしかし、ジュンの〈女になったらやりたいことリスト〉の中にある項目の1つ、デートプランは山のようにある。守護者も増え、一人ひとりに合った手法で取り組むのが、ジュンの考える戦略。結果、順当に相手した場合、最低でも13日かかる。ヤンとミズキを加えれば15日だ。


 無名の、普通の一般人であったなら、さほど問題は起きない。


 だが、ジュンは征服王。


 世界征服途中であるし、完全なる女体化を目指すにあたり年内に〈ゼロ〉に与する者達及びゼロを倒さなればならない。王としての職務だってある。長期間の有給休暇は不可能なのだ。


 完全なる女体化をするまでは、丸一日デートはお預け。


 納得はしていないが、今日の所は接待デート。



「───切り替えましょう。さぁ行くわよ、型!」



 手始め(トップバッター)はニャンコ、一番捕まりにくい者を先に労う。猫首引っ張る必要があるかと思いきや、意外とそうでもない。開園と同時に向かったのは、この後長蛇の列になると予想できる〈ジェットコースター〉。


 昨日の、お披露目でも観ていたが、その出来栄えは、ジュンの要望そのもの。(シキ)紫燕(シエン)には感謝する他ない。



「カタカタカタニャン♪」



 ゆっくりと頂点まで上がっていく車両。園内全ての施設におけるエネルギー問題は、様々な伝手と知恵を使って解決している。


 超速降下による歓声。


 早乙女純として経験はあっても幼女での経験は、まず無い。


 自分で移動する方が遥かに速いとは言っても、風を切る音や揺れは、ジェットコースターだからこその醍醐味。普通に満足したジュンは、次なる守護者と行動を開始する。




           ◇◇◇



 次なる遊具は〈コーヒーカップ〉、三半規管を鍛えたいという月華(ツキカ)の申し出。


 基本的に各守護者に何するか(プラン)は伝えていないのだが、月華ともう一人だけは自分から提案。誰もが目眩を覚えるコーヒーカップ相手に、“半自動治癒(オートキュア)”を使用しないで挑戦したいと言ってきているのだ。


 無論、了承はしている────が、断らないとは言え、同じく“自動治癒(オートキュア)”を外して楽しむようなことは決してしない。無様な結果に陥るのは既に経験済み。守護者が鍛錬を理由に臨む精神を持ち合わせていても、ジュンは苦い思い出を作りたくない。



(月華の真面目さ凄いわよね。創造した本人が言うのも変な話だけど尊敬しちゃうわ)



 座った瞬間、気合いを入れる月華。


 普通、そうではない。本来の楽しみ方は、もっと別。



「お相手、宜しくお願いします!」

「ほどほどにね」



 口上を述べた月華は勢いよくブン回す。調整機が壊れてないかと思える程の回転数と速度。ジュンの“自動治癒(オートキュア)”は常に発動している。



「おえっ……ッ」



 歯を食いしばり、平衡感覚を保とうとする月華。何度も言うが、本来の楽しみ方はそうではない、絶対違う。



「大丈夫?」



 愛情(妄想)込めて創った守護者が満足しているなら構わないと思ったジュンは、介抱しつつ次なる場所へと向かった。




           ◇◇◇




 次なる場所は〈休憩室兼マッサージ室〉、同行しているのは紅蓮(グレン)だが、先程の月華も隣で寝そべっている。当然の如く、月華は紅蓮に怒られている。



(上下関係なんてないのに、師匠と弟子みたいな構図ね)



『はい、すみません。不甲斐無いボクが悪いです』などと正座して言っている。休憩室が説教部屋みたくなっている。


 紅蓮を連れてきた目的は、労いという意味でのマッサージ。簡単に言えば、『肩もみしますよ』という意。これに、(よこしま)な気持ちは無い─────とは言い切れない。


 いや、邪心でしかない。幼女の手では、肩凝り解消は不可能。


 これは、欲望透け透けのボディタッチ(お触りタイム)でしかない。


 がしかし、説教の所為で、思うように事が運ばないのは神の悪戯か。



「ジュン様のお気持ちは有り難いですが、またの機会に────今は此奴を叱らねば、心休むこともできません」

「あっ……うん、ほどほどにね」



 天罰が下ったのかは分からないが、()()()邪心を抑えるべきと悟ったジュンは、次なる場所へと向かうのだった。





           ◇◇◇




 次なる守護者は紫燕、場所は隙間時間に堪能する場所、〈ゲームセンター〉だが、本物のゲームがこの世界に有るはずもなく、ここにあるのは縁日で見かけるような遊び場。射的屋の景品勝負をすることになっている。


 銃使いを相手するだけあって遠慮はいらないし、接待感覚も不要。勝つためには本気で挑む必要がある─────のだが、勝負を承諾したのは建て前。狙い澄ました身姿を横目で堪能するのが目的────いや前言撤回、邪心を捨て勝負に集中する。



(全然集中できないわこれ)



 捨て切れぬ邪心が手元を狂わせる。



「アダッ!!」



 玩具の銃弾は、従業員(東部軍兵士)の眉間に直撃。


 その間、紫燕は全弾命中させ、景品を沢山手に入れていた。



「流石です、ジュン様!」

「何がなの?」

「怠慢を見逃さず、喝を入れたということですね!」

「えっ……あ、うん、そうそう、そうよ紫燕、分かってるじゃない」



 見当違いだが、渡りに船。欲望がさらけ出ていないのも安堵する。しかしそれは、次なる相手で崩壊しかける事態となる。

 



           ◇◇◇




 次の相手は式。ジュンの予定では食べ歩きを検討していたのだが、その式は〈ゲームセンター〉隣の〈スポーツコート〉にいる。この世界にある筈もない〈バスケットボール〉を作って、ダムダムしているのだ。


 これは、ジュンの指示に無い。


 計画書では休憩室の1つになっているであろう土地が、あろうことかコートになっている。


 指示云々は疑問に残るが、聞き出したいのは誰の知恵を借りたか。無論、ジュンではない。


 であれば転生者なのだが、【DS園】建設に携わった者達と言えば────



「スズさん、ムギさん、カンネさ───王です」

「やっぱり!」



 近くに居た兵士、もとい従業員が答える。



「製作者はオレ様だがな!確かあいつら、さぷらいずって言ってたぞ」

「なるほどね、でも()()原料はどうなってるの?」



 指差す先は、〈バスケットボール〉本体。



「げん、りょう………?」

「ごめん、いいのよ。忘れて、式」

「わかった!!」



 専門的な事は、ワンコには難しい。建設作業に携わるとは言っても、紫燕とは真逆。感覚派の式は、原料なんて覚えない。


 だがそこは今、さしたる問題ではない。勝手に〈スポーツコート〉を作られたことも、この世界のことを鑑みれば必要な娯楽発展と言える。


 であれば何が気になるのか────それは、式の姿。ボールをダムダムする度に、巨峰が縦にバルンバルンと揺れているのだ。


 ジュンも眼をかっ開いては、瞳孔が上下に動く。変態的欲望が最高潮に達しかけている証拠だ。事故を装い、埋もれようとしたい所ではあるが、視線を気にしてできない。



(私の好きが目の前に……)



 結局、終始試合を観戦。圧倒的人数不利を覆した勝利には目もくれず、揺れる胸を凝視していたジュン。


 時は正午を迎える。





           ◇◇◇





 欲だけが溜まったジュンは、プランを変更して〈食べ歩き〉に夢有(ムウ)を誘う。


 一旦心を落ち着かせる名目で導き出した守護者選択だったのだが、これまで悪戯を繰り返していた神は手のひらを返し、欲をチラつかせる。


 想定以上に、式に時間を取られた結果、他の守護者と接触(バッティング)してしまったのだ。


 陰牢(カゲロウ)にヒョイッと拾われたジュンは、そのまま胸に抱えられる。幼女同士の食事会に、妖艶なお姉さんが追加され、目当ての品を見つけては、椅子に腰掛ける陰牢の膝に乗った状態で購入品を食す。後頭部に当たる柔らかな感触が、料理の味を忘れさせる。



「ジュンさまは………この後どうするんですか?」

「えっ……はっ!?なに、かしら………夢有?」



 加えて会話も禄に覚えていない。後頭部でなく前頭部を埋められるかなどと考えている所為だ。



「私たちのあとに同行する守護者は誰になりますか?」



 陰牢が言い直したのは、質問の意図を理解していないと察知されたから────ではないと思いたい。



「えっと、(レイ)唯壊(ユエ)世理(セリ)籠畏(ルイ)(ハク)の5人ね」

(スイ)は、不参加なので?」

「そうよ」


「話は変わりますが、私お手製の〈お化け屋敷〉には行かれましたか?」

「いいえ、まだよ。これからね───とぉ!?」



 言葉が乱れたのは、強く抱き締められたからだ。陰牢は耳元で囁く。



「では、存分にお楽しみください。夕暮れ時がベストかと思います」

「うん、そうするわ」



 妖艶の美女、陰牢の曇り無き笑みは傍から見れば恐怖も、隣にいる純粋無垢な幼女の笑顔が中和する。


 アドバイスを受けたジュンは、その足で美術館へと向かうのだった。





           ◇◇◇





 美術館には零を誘う予定になっていたのだが、ここでも他守護者と接触(バッティング)、相手は籠畏、何故か当たり前のように美術館入り口で待っている。



「どうしたの?」



(籠畏には、次の旅館見学で親密になろうと画策してたのに、何で?)



 次いでに言えば、旅館見学には博も誘う予定だった。新守護者との交流及び、博も籠畏も表情豊かに喋る方でないために計画していたのだが────



「し──」

「?」


「静かなとこ、がいいから」

「宜しいのですか?」

「問題ないでしょ、だってこれは貴方たち守護者への労いだもの」

「そうなのですか!?ジュン様を労うものだと、私たち守護者は思っていたのですが……」 

「え?」



 趣旨は違えど、互いを想う気持ちは変わらず、これは上下関係におけるあるべき姿。最高の状態で入館し、欲の乱れも発生しない────わけもなく案の定、陰牢の時同じく、零にもまた抱えられ、更には背の小さい華奢な籠畏も抱擁を迫ってくる。



「ん」



 口数少ない籠畏は、雰囲気的に言えば翠に近いが、体躯がまるで違う。細身に抱きかかえられることも案外良いと思ったのは初めての感覚。


 美術館にいるのに美術品を眺めていない。


 労いの接待デートが、欲望を叶え得る手段と成り果てているのは、驚きを禁じ得ない。


 こんなにもスムーズに欲望を体現できるならば、エロに発展しなくとも、我慢をする必要ないのではと思ってしまう。


 いや、とうに我慢は限界突破している。何故なら、展示品ケースに反射して、二人の(スカート)から下着が、しっかりくっきりがっちりと視えてしまったからだ。


 これには思わず、『おお!!』と叫んでしまう。


 静かな館内に響き渡る雄叫び。勿論、守護者二人には気付かれていないために安心も、観衆の視線を感じれば恥じらいくらいは覚えるもの。


 だが、どうってことはない。


 征服王は動じない。


 記憶を、脳裏に焼き付け堪能する。そう、欲望は放出された。


 次なる〈お化け屋敷〉で、更に噴出されるのは想像に難くない。




           ◇◇◇




 想像に難くない、はずだったのだが─────



(何で、()()()()なのよ!!)



 ジュンの周りは暗い。〈お化け屋敷〉だから当然であるが、隣にいるのはまさかのアリス。守護者ではない。


 その守護者たち、同行するはずだった唯壊、その唯壊と何故か一緒にいた博の二人は、ジュンとは真逆の位置にいる。


 彼女ら二人は怖がる側、対してジュンは驚かす側。この構図になってしまった理由は、途中でアリサと合ってしまい、グイグイと引っ張られたから。



(しかも、あの唯壊たちを上手く言いくるめている節があるのよね………)



『生涯初めての役。この先、ある筈もない機会を逃すべきでない。その褒美を受ける(驚かされる)のは、貴方たちこそ相応しい』などと言うような形で話したと、本人から直接報告をもらっている。



(アリサちゃん………急にやり手になった?)



 四の五の言っても仕方ない。こうなっては存分に驚かすのが正解というもの。意外にも、ウキウキ感はある。



(これが、驚かす側の気持ちなのね)



 唯壊と博が近寄ってくる。


 その距離、10メートル………5メートル………3、2、1………0。



「ワッ!!!」


「キャー!!!」

「きゃあああ」



 悲鳴が飛び交う。新鮮な女性の声。飛びつき抱きつきの展開(シチュエーション)が得られなったのは残念だが、驚かす側としての高揚感は得た。


 それに、隣にいるアリサとはしっかりと密着している。


 細身なのに健康体な肉付きは悪くない。他と比較するほどでないが、白い衣装に膨らみが垣間見えるのも、また良い。芳しい香りだってする。


 おかげで、沈静化した欲望もある程度は復活するというもの。



(ただ、なんていうかあれね、一名接待がいるじゃない)



 指摘するのは、驚く時の声。感情がまるで籠もっていない。棒読みの悲鳴は博。


 唯壊は本気に涙するほど驚いているのにだ。クール美女は動じていない。



(う〜ん、驚かし方に問題があるのかも。奥が深いわね)



 次第に工夫しだす、一国の王。


 しかし、最後まで棒読みは変わらず終了。博の吃驚顔は、またの機会。


 守護者とアリサに手を振られ、次の場所へと移動する。





            ◇◇◇





 最後の守護者は世理、場所は監視塔。


 ここでも彼女は情報索敵を好む。これでは普段と何ら変わりないが、守護者の希望をみすみす断る創造主でもない。


 但し、ここは物見櫓。古城の世界観測部屋のような優れた索敵機能は無い。肉眼で園内外を監視するのみ。



「本当にここで良かったの?」



 世俗に疎いのを理由にしているとはいえ、気兼ねなく羽根を広げ寛ぐ場所は沢山ある。日頃の疲れを癒すには丁度良い。無論、守護者には“半自動治癒(オートキュア)”が備わっているが、それとこれとでは話は別。真に楽しむには、園を満喫すべきなのだ。



「大丈夫です。ここが、一番落ち着きます」



 が、世理の希望はここ。その希望を了承するにあたって、他の者達はさすがに出払ってもらっている。


 二人っきりの状態。これもまた普段通り。



「何か持ってきましょうか?」

「問題ございません。そちらも先程、零が品を持って来てくださいました」

「そこも変わらないわね」



 静かに時が流れる。


 風が凪ぎ、会話は生まれない。


 静寂空間────────とも思われた時間の中で、次に口を開いたのは世理。



「────()()()()



 世理の細い瞳が捉えたのは、遥か彼方にいる人影。



「如何しますか?」

「意外と早いわね、でもどうせ雑魚でしょ?」



 敵影は、誰かが送り込んだ偵察兵。【DS園】を嗅ぎ回っている。



「敵の強弱は分かりません」

「そうだったわ、ここ観測部屋じゃなかったものね、うっかりしちゃった」



 10ヶ所以上ある監視塔。その1つこの場所は、とある国に最も近い。



【妖国グリムアステル】



 招待状を送ったのに蹴った国、【聖なる九将(ホーリーナイン)】序列第四位ギルテが統治し、第八位ゾビィーを唆しゾンビを襲来させ、茶会を襲撃させた真の黒幕。



「休暇が一瞬で終わりそうね」

「排除すれば、また来ることができます」

「あら意外、世理からそんな言葉を聞けるなんて嬉しいわ。でも引きこもりはダメよ、今度は園内を回ってくれる?」

「善処致します」

「ふふ、なら待ってるわ」



 〈ゼロ〉に与する者が、近くに迫る。



 戦場は何処か。



 時間かけ、築き上げた【DS園】は何としても守らねばならない。



 欲望を叶えるために、戦いはまた始まる。







作品を読んでいただきありがとうございます。

作者とへきが一緒でしたら、是非とも評価やブクマお願いします。


更新が遅れており、申し訳ございません。

いつもの流れなら、このあとこの章の登場人物紹介・振り返りとなりますが、新しく登場した者もいませんので省きます。

つまり、次回から第九章となります。宜しくお願いします。

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