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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので百合ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第八章 DS建設

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作業開始④

 今回のエピソードより、書き方(会話、段落、心情描写など)を少し変えました。以前も少し修正したのですが、今回の修正で、またぐっと読みやすくなったのではと思います。他のエピソードも修正予定ですが、今暫く時間かかると思います。気長に、お待ち下さいませ。





 右手に人形、左手に遊戯盤を持って入り口に佇むゴスロリ服の守護者、籠畏(ルイ)は外観が出来つつある屋敷へと足を運ぶ。

 内観はまだこれからといったところで、所々で作業音、足の踏み場もないような場所もチラホラとある。


 軽快に動く(スキップする)性格ではないため、上手く避けながら、且つ無言で作業する兵士の横を通る。


 床や壁は木製で、全体の内装は暗く、黒を基調にしている。何処となくひんやりとした感覚に陥るのは、屋敷の趣旨を体現しているからであり、作業が概ね順調である証。


 籠畏の担当はそう、お化け屋敷。


 おどろおどろしい衣装に身を扮する者、仕掛け作りに試行錯誤する者など様々な者達がいる中、兵士の一人から声が掛かる。



「ルイ様」



 表情変えずに歩く様は本物の人形のようで、兵士が身震いするのも致し方ない。綺麗顔でも、怖いものは怖い。


 「何?」っと、少しでも返事すればいいものを、無反応に近い表情の所為で印象悪さを植え付けてしまっている。


 意思疎通が図れなければ、作業に悪影響を及ぼす。


 これは、誰でも分かることだ。


 転生前の早乙女純(現創造主ジュン)のような陰キャでもなければ、影が薄いでもない。口数が少ないだけで、会話は可能。


 尋ねた兵士の問いも、難しい内容ではない。


 演出に使う効果音の聴き比べは、守護者であれば誰でも答え得る。戦闘経験が豊富であるからだ。

 確かに、籠畏は新しく創造された守護者であるため、他の者と比べれば劣るかもしれない────がしかし、一般の兵士よりは詳しい。戦闘音や断末魔は聞き慣れている、というのが兵士の普通の見解だ。


 ゆえに、答えなければならないのだが────



「悪くない」

「そう、ですか……」



 「良い」と答えないのは悪手だ。これではまた作業に時間をかけてしまうというもの。兵士を成長させたい一心で受け答えしているならまだいいが、あいにく籠畏にそんな気持ちは毛頭ない。



「では、こちらは?」

「任せる」

「は、はぁ……」



 籠畏としては、効果音の選定など何方(どちら)でも良い。


 というか、判断できない。


 なぜなら、籠畏の担当領分は屋敷の外観及び内観だからだ。演出は別担当。その者は今、大忙しに現場を回している。


 兵士が問うたのも、その者を配慮してこそ。



「──そこの壁は吹き抜けにしてちょうだい。血はべっとりで構わないわ。だけど、これ見よがしはダメね。尺度が分からない人は聞いて、勝手に判断しないで、演出面は全て私に聞きなさい───あら籠畏、戻ってたの?」

陰牢(カゲロウ)



 お化け屋敷の担当は、陰牢と籠畏。どちらとも黒が似合い、客に恐怖を与えるに相応しい人材だ。(レイ)紅蓮(グレン)のように威圧混じりの怖さでないのがまた良い。


 ここでもまた、ジュンの采配は的中していると言える。



「忙しそう」

「まぁね、でもこれくらい大したことないわ。寧ろ、楽しいくらいよ」



 微笑み返す陰牢の頬には赤い液体が付いている。


 本物か作り物かの判別は出来ないが、ペロッと舐めるのを籠畏は見逃さなかった。勿論、近くの兵士もそう。血の気が引いたのか、元から青褪めた顔立ちなのかは籠畏には分からない。興味もない。



「襲われそうになる時の効果音かしら?」

「あっ!はい!です!」

「だったら私の部屋に、サンプル………じゃなくて似たような物があるから、参考にしてみて。私の普段使いのを使ってもいいけど、それじゃあねぇ、面白くないわ。たがら、それと照らし合わせて、良いものを作ってちょうだい」

「しょっ、承知しました!」



 流石に、普段使いとは何かについて触れない。深掘りが適さないことは、この場の誰もが理解している。


 走り出す兵士を確認した籠畏は、肩の荷が降りたのか、1つ息を吐いた。



「責任でも感じてる?」

「違う」

「面倒事が減ったことへの安堵?」

「そう、凄い!」

「ふーん、籠畏の担当分もしてあげましょうか?」

「それはいい、自分でやる」

「そっ、残念。ジュン様に褒めてもらえる機会増やせなかったわ」

「大丈夫、陰牢は完璧」

「ふふ、ありがとう」



 会話が終われば作業へ戻る。手を動かすのではなく、指示のみだが、それが彼女たち二人の仕事、(シキ)のように力持ちでなければ紫燕(シエン)のような技術者でもない。



「それ、もう少し右に置いて」

「はい!」



 入り口の門にも趣向を凝らす。気味の悪さは一級品だが、改善の余地はまだまだあり。この現場も、完成にはまだ幾分か時を要する。



 冷ややかな屋敷に、熱が籠もる。





作品を読んでいただきありがとうございます。

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