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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので百合ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第七章 計画通り

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写眼

 “写眼(コピー)”とは、四隊長の一人、ルゥの能力。


 凶弾に倒れた姪のユルグが有した“写倒(コピー)”とは破格の違いがある。


 ユルグの場合は敵を(おの)が手で倒す必要があったが、ルゥは能力者を眼で見れば良く、1つしか持てないユルグと違って、ルゥは4()()の能力を保持できる。


 能力者が能力を発動しなければ観る対象に含まれないが、保持する能力はいつでも変更を可能とするなど、上位互換が過ぎている。


 また写した能力の威力は8割程度に留まるが、常に4つの能力を保持している(ホールドできる)ルゥは、かなりの強者であり脅威。


 ランクがSS判定にならないのは、純粋な老いだ。ルゥの年齢は70に近い。全盛期でない今は長時間と戦えない。圧倒的な力を見せつける場は、ギルテの部下となった時点でなくなった。強者は他にも多くいたからだ。マコトもカイもシンも強く、ルゥより若い。各々の部下もやり手だった。


 ゆえにルゥは牙を研ぐのみ。強い能力者を観察する毎日。正に隠れ伏兵。同じ老兵であるギーラやコロッカスでは、まるで相手にならない。


 単体で、【聖なる九将(ホーリーナイン)】の位階付けされた者と同等に戦える存在と言える。



「──()()()()()()をご存知かな?」



 クイッと上げた眼鏡が雨に濡れないのは場を制御しているから。



「知らねぇよ!全部オレ様が叩き斬ってやらあぁ!!」

「威勢の良い犬っころだ──な」



 重力負荷と同時に狙いすました雷。



「なああぁぁにイィィ!?」



 落雷と重力が大地に大穴を開ける。回避したとて意味は無い。犬っころは転げ落ちる。



「──ああぁぁ……」



 足場の無い闇、これで暫く合流はできない。



「深く落ちましたね」

「そうだな──が、ああいう性格(タイプ)はすぐに這い上がってくる」

「犬でしたもんね、尻尾あったし……あっ、もしかして、クロウ様の()()()()やめちゃうんです?」

「ああ、流石に、この巨体相手、同格にならねばいかんだろうよ」



 クロウの能力を捨て、得た力は()()()。戦場に巨人が2体出現する。



(シキ)(かたき)討つ!」

「お仲間はまだ死んじゃいないとは思うが、お子様に言っても無駄か……()()()()なんぞ久しぶりだ──」









◇◆◇◆◇◆








 捨てた能力は戻ってこない。脳が記憶していても発動できない。


 しかし、雨は降る。


 雷も依然鳴り、勢力は増す。


 視界を遮り、足場を緩くする。


 天上を思い通りに出来なくなったが、戦場は有利に運ぶことが出来る。



「所詮は子供」

「いたっ……ッ」



 巨人が倒れる毎に地面が揺れ、大地は軋む。



「まだまだあぁ!」

「無駄だ」

「ぎゃっ……ッ」



 とりわけ、知能の低い相手なら尚更効果はある。戦いは力の強い者が勝つのではない、智力の高さが物を言う。8割だったとしても、能力と能力を複合すれば対等以上に戦える。

 

 重力負荷は、それを体現する。敵を重くし、自分を軽くする。



(ワンパターンの攻撃方法しかなさそうだしな。これならば勝利は……余裕だな)



 脅威存在と認知していた征服王の一派を手玉に取れるのは、ルゥにとって嬉しいこと。


 ただ一点───



(解せんな……)



 であれば、カイが負ける道理がない。戦った相手が違う可能性は十分にあり、弱い相手とぶつかったと推測するしかない。



(このままでは死の華は咲かせないかもしれんな……自害というのは()()()()()し、さてどうしたものか……)



 体型を戻し、ブツブツと思考する。


 隙を見せていた背に獲物はかかる。



「──よくも落としてくれたな!!」



(直情的だ)



 太刀の一撃は当たらない。重力負荷をかけなくても、予想できるほどに単純。



(この女もパワー系能力者、ほら回避簡単だぞ)



 破壊力は凄いが、当たらなければどうという事はない。



「すました顔すんじゃねぇよ!!」



───ガキイィィン!!



 太刀が空中、ルゥの首既で止まったのは重力の壁を形成していたから。



「応用が幅広い技は偉大だ、そして──」

「ガハッッ!」



 バキッと骨が折れたような音とともに空間が割れたのは───


 “枝折り(クラフト)”、


 ルゥの3つ目の能力。


 重力負荷(ブースト)により枝折り(クラフト)も本物同等の力を有する。図体の大きい相手が悶える姿は快感としか言いようがない。



(4つ目は使わずとも良さげだな)



 一時の愉悦に浸るは老兵。





作品を読んでいただきありがとうございます。

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