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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので百合ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第七章 計画通り

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雨雲

 空はどんよりと曇っている。昼間の空には似つかわしくない暗闇、今にも雨が降りそうである。


 その雲をぼんやりと見つめているのは、アリサ。



「あーー……」



 ボケーっと開ける口に、水滴が入ってしまうのではと思えるくらいに呆然としている。見守る兵士たちも気が気でない。兵士に紛れて、ユージーンも見ているのだが、視線には気づいてない。


 アリサは失恋した───のではない。


 ジュンは健在だ。しかし、胸の内にポッカリと穴は開くというもの。恋焦がれた相手は女となってしまった。守護者のような存在認知で、ジュンを慕っていた訳では無い。


 純粋に異性として視ていた彼女にとっては致命傷だ。


 それこそ変人(ライト)と同じ心境と言えるだろう。


 慰め合いが出来ないのは、この場にその変人が居ないからだが、アリサは別に慰めてほしくはない。



(どうしようかな、これから……)



 ジュンを嫌いになったのではない。当たり前だ、命を救ってくれたのだから、恩義も感謝もある。


 ただ、迷っているのだ。別の恋をすべきか、女のジュンを愛すべきか。



(私より小さいんだもん)



 せめて、大人な女性であって欲しかった。だがこれは、今後変化する可能性も秘めていると聞いており、信じて待つという選択肢はある。



(うぅ……、こんな時に同じ年頃の女の子がいたら相談できるんだけどなぁ)








◇◆◇◆◇◆







 同じく曇り空を窓から眺めるのは、絶賛留守番中の唯壊(ユエ)


 ジャン負けで残っているわけだが、別に一人ではない。


 部屋の主は、人形遊びの真っ最中。



「ホント、陰気臭いわね」

「そう?」



 籠畏(ルイ)はジャンケンには負けていない。


 寧ろ、勝利している───が、人混みを嫌う理由で茶会を断っている。



「用無い?なら、出てって」

「うっさいわね、あんたが一人ぼっちだと思ったから見に来てあげたのよ」


「大丈夫、この人形()たちいるから」

「あーはいはい、陰気臭い。なんでこんな奴と一緒なのよ」


「ジャンケン弱いから」

「ムキー!!腹立つ、今の言い方!!私に喧嘩売ってんじゃないでしょうね?」


「無理、負ける」

「理解してるならいいの、次からは言葉気を付けてよね」

「ハイハイ」



 口を動かしているのは人形だ。


 籠畏は返事してない。


 腹話術は能力とは無縁の単なる特技。



「ムキー!イラつく!絶対、思ってないでしょ!」

「ハハハ、ドウカナ」

「そのパペット止めなさい、キモい!」



 本体の言葉を確認して、漸く会話も終わる。しかし、時間は過ぎない。ジュンが戻るのは当分先だ。



「何か起きても対処は任せるから」

「分かってる」



 唯壊の攻撃範囲は広い。それこそ古城周辺は壊れゆくだろう。 


 守り手が、破壊尽くすのは言語道断だ。 


 それに、一対一ならば籠畏が相手した方が良い。



「ツヨソウダッタラ、ユズリマス」

「だから止めなさいってば──」

「そう、残念」



 人形遊びは、一旦お終い。次の時間潰しを考えていたところで、雨音も聴こえ出す。








◇◆◇◆◇◆



 





 空の雲行きが怪しいのは、何もルクツレムハ征服国だけではない。


 他国も同様、暗さは全域に広がっている。ちょうど、共和国も雨が降り出したところで、カンネとの話を終えた月華(ツキカ)は温泉屋敷へと足を運んでいた。



「ぬあぁ、気持ちいぃ」



 小雨のおかげで、湯船に浸かることができている。源泉掛け流しの秘湯は通常営業、客は月華だけではない。



(んー、それにしても、どうしようかな?)



 管理者の仕事は多岐にわたる───というのはまやかしだ。基本的な意味合いとしては、属国の代表者もしくは王族の統治を監視管理するものであり、難しい内容ではない。 


 配置したジュンも、念話(メッセージ)以外での連絡手段構築や守護者の成長促進を目的としている───がしかし、本意をしっかりとは伝えていない。


 その言を発したのが当初、寡黙な男設定だったからもある。



 『管理者を配置する』、程度の言葉のみ。



 余りにも漠然としているが為に、守護者は自分たちの良いように解釈をしている。管理者とは、すなわち知恵ある者の役割であり、その国の財(材)や富を征服国にどれだけ還元できるか、創造主に尽くせるかという評価指標になっているのだ。


 勝手な解釈であり、そのような評価指標(システム)は無いのだが、やる気の1つになっているのは事実。


 月華は、その被害を正面から受けているのだ。



(ボクなんかに務まる仕事じゃなかったのかなぁ)



 挙手したのは自分。単純な興味というよりは、戦闘面以外の成果が欲しかったからだ。しかし、共和国には他国に勝る秀でたものが少ない。


 ここ温泉屋敷ぐらいしか、他とは違う強み(アピールポイント)が無いのだ。


 人口や面積が少ないのは不利。



「もうっっッ!!」



 美肌効果の効能も、こうも苛立っていては半減する。


 跳ねる飛沫(しぶき)も次第に強くなった。








◇◆◇◆◇◆






 

 雨が本降りとなった頃、帝国のとある館にはドラゴとルドルフ、近くには付き添いに呼ばれた陰牢(カゲロウ)紫燕(シエン)



「私たちを呼ぶほどの意味を教えて頂戴」

「大した理由じゃなかったら風穴空きますよ」



 ビクッと身体を震わせる商国の代表者。今日は失禁しないと信じておきたい。



「いや、あの、それがですねぇ…」



 歯切りが悪い。無論いつものことだが、原因はドラゴにある。



()()()()()()のだろう?」

「うっ……はい、恐れながら、その通りです」

「どういう意味かしら?」

「言葉通りだ」



 そもそも、世間話ならどちらかの城で良かった。でなくて館が選ばれたのには理由(わけ)がある。


 今日は、護衛にリカクとガンキを連れていない。これは、ドラゴの完全なる個人判断。


 

「密書から、ただならぬ気配を感じました……それこそ、喰われるんじゃないかと思いましたよ」



 ならばシズクを護衛にと普通なら考えるが、対ドラゴでは分が悪すぎる。


 陰牢たちが呼ばれたのはそのため。



「──で、()()の観点からシズクは外したと……」

「はい、仰る通りです」

「嫌われてますね」

「仕方ないわ。シズクだって私とは顔を合わせたくないでしょう。それで?密会の内容は?ジュン様とのお楽しみがなくなったのだから、それなりよね?」



 圧を感じるのは、この場の一般人のみ。



「ひっ…」

「此奴は別に悪くない。呼びつけたのは我だ。知り合い(とも)が行方不明でな。少し探しに……国外へ出る予定だ」

「わざわざ私たちに、ルドルフに言う必要があるの?」

「大有りだ。帝国は征服王と友好を結んだ国に過ぎん。敵対はしておらぬが、我の居ぬ間に問題が起きて、他国に害も及ぼすなら一番近いルドルフの国だ」

「私の国というのは語弊があるような……」

「リカクには暫く留守にする旨伝えてはいるが、〈何も無い〉ということは無いだろう。現に、事は起き始めている気がするのだ」

「ふぅん、なるほどね。てっきり、その知人を探す手伝いをさせるのかと思ったわ」

「不要だ。我の知り合いが弱いはずないだろう。それに、居所の目星は大体ついておる」

「そっ、なら健闘を祈るわ」

「ああ」

「───あっ……かみなり」



 ゴロゴロと音が鳴り出す。


 感覚の鋭い紫燕は、いち早く感知した。


 雨雲は連なる。


 水波紋は広がる。


 空気は伝染する。


 不穏───



 帝国から遥かに遠い、ネルの豪邸にも雷鳴は轟いたのだった。






作品を読んでいただきありがとうございます。

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