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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので百合ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第七章 計画通り

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続々・ペータン教

 ペータン教、創設者の一人マーブルは悩みに悩んでいた。



(まさか、あの方が……)



 今日は定例会であり、神の使者(リーダー)決め当日。凹凸の無い、清らかな娘、幼女を神と崇めんとする宗教団体をペータン教とし、今日まで信者を募り、規模を大きくしていった。


 信者は勿論全員男であり、幼女好き。多少の性癖違いはあれど、同じ趣向で組織されるというのが絶対条件だった。信者は男、神の使者も男、これだけは譲れない───



(──筈なのに……)



 目の前の人物は、信者たちにキャッキャッされている。



「幼女最高!貧乳最高!!」

「私を辛辣な瞳で視てくれると嬉しいです!」

「俺にも御姿見させろ!そこどけ!」



 驚くほどの盛り上がりようである。最早誰も、この人物が以前男であったとは覚えていない───いや、記憶を操作されたに違いないと思いたい。



(最初から女だったとか……?)



 それはあり得ない。


 男であるかどうかの身体検査(チェック)はする。脱衣までの確認する入念さは、自分でも呆れるほどの徹底振りだが、だからこそここまでの信者を増やせた理由でもある。


 それに───



(イチモツは確かにあった)



 検査したのは、丁度マーブルだった。自分の記憶を疑うなど馬鹿らしい。あれは正真正銘、本物の局部、男性器の感触。



(くっ──ならば、あの話を信じるしかないな……)



 当日になって聞かされた話を真実とするしかない。声や容姿、漂う雰囲気は丸っ切り違うが、存在感は同じ気がする。


 自分が、神の使者候補と推薦するぐらいだ。見間違う方が可怪しいというもの。



(はぁはぁ)



 ダダ漏れる欲求。神と同じ体付きなのだから仕方ない。


 しかし、創設者は我慢しなければならない。職務を全うしなければならない。男から女に変わったことを理解しなければならない。



(抑えろ!ビンビンするのは後だ!今は、この方を使者に──いやもしくは第3の神として奉るかどうかを、皆に伝え議論してもらおう!!)



 ジューーンがジュンだったこと───

 

 征服王だったこと─── 


 最初から支配され、監視されていたかどうかは最早どうでもいい。


 偉いのは国ではない、王でもない。


 偉いのは───神!



「ジューーン殿おぉ~」








◇◆◇◆◇◆







 心は誰しも壊れる。それが当たり前だ。男が女になれば、誰しも急には整理できない。拒絶しても可怪しくない。マーブルが変になったのは当然だ。気持ち悪さが倍増されてしまったのは痛手だが、反応としては好ましいというべき、一定の行動理解ができるというもの。



(幼女好きが集まってるんだから、あるべき姿よね)



 ()せないのは、それ以外の者達。


 あの日、ジュンはクロウと契約して、男から女へと変貌を遂げた。


 夢見るような女体化や、以前のような陰キャ姿でもない、幼女化という屈辱じみたものだったが、女性には変わりない。 


 邪魔だった男性器は無くなり、もじゃもじゃした毛は消失、身体は縮み、ゴツゴツした筋肉がツルツルスベスベ肌に成った。


 それ自体には感謝している。契約を果たせば、真に望む姿へと変わる可能性だってある。時は前に進んだ。


 これに関しては良い、のだが───



(何で誰も()()()()()のかしら?)



 変人(ライト)は別。あれは数には入っていない。ジュンが言うのは、あの場にいた守護者やカンネたちのことだ。


 目を疑うような変化の筈だ。


 幻術ではない、夢ではない。本当に起きている事実。驚き、奇声が飛び交うと覚悟していた。クロウに手を上げる者がいるとも予想していた。

 

 しかし、誰一人として表情すら変わらなかったのだ。


 これには絶句したし、唖然した。驚く人間が本人というのはまた珍しい。


 創造主と守護者という特性な関係上、物申せなかったと言うならば理解はできるが、そうでもない。クロウと変人が退室しても対応に変化は無い。その後カンネたちが退室してもそう。普段通りの会話をして、残り2国の管理者を決めた。


 自分だけ、???状態だったのだ。


 その空気の所為で、切り出せなかった。


 『この姿どう思う?』とか、『今日も可愛いじゃない』とか、疑問もおべっかも伝えられない。



『こちらの書類にサイン願います』

『あっ、はい……』



 てな感じの、業務的なやり取りだけして終わったのだ。


 無論、ペータン教定例会が即日開催された訳でもない。


 契約式からは、実に10日程の期間が空いている。その間は、各国への挨拶回りと暫しの休暇。


 商国の代表者ルドルフを相手した時は、『愛娘のような表情をしないで気持ち悪い』と、本人に直接伝え───


 村落の長ズイには、『エロ爺、次変な目線向けたら殺す』と伝え───


 帝王ドラゴには、『気の合う同族(ヒト)探したら?』と伝え───


 ジルタフとレジデントの王とも、それぞれ言葉を交わした。


 小国レジデント王のモウリは、何故か安堵感のような笑みを浮かべていた。 近くで警護する兵士も同じような眼差しで気持ち悪くて、直ぐに“新界(ニューゲート)”を使用したのは鮮明に覚えている。


 多少の誤差はあれど、驚きという仕草はあった。当たり前に当たり前の反応をしてくれた。性別の変化に、一喜一憂してくれたのだ。


 その感情が、守護者とカンネたちには無かったのだ。


 存在の変化に気づけてもらえていない。存在しない。


 次第にはそう思えてしまい、中々今迄行動に移せなかった逢引(デート)にも誘ってしまった。


 陰牢(カゲロウ)と歓楽街を飲み歩き、紅蓮(グレン)とジルタフの露店を回り、(レイ)とお茶をし、(シキ)紫燕(シエン)月華(ツキカ)とで古城周辺を散策した。


 男口調の寡黙さを辞め、心に閉まっていた女口調で喋った。



 だが誰も、女体化には触れなかった。

 


 『男のままが良かった』と吐露しなければ、『何で変えたかったんですか?』と聞きもしない。


 逢引中は確かに望む光景だったのだが、モヤモヤが強過ぎて集中できなかった。



(そもそもの話、恋愛感情が抜け落ちてた……とか?)



 それも有りはしない。創造時の制限は能力に関係するものばかりであり、感情の制御はしていない。


 豊かにこそすれ、縛りは無い。



(心は視たくないのよね)



 創った時点、同じ魂魄という概念を注入している以上は、位置の把握だけでなく感情も少しは読み取れる。


 ただそれは、ジュンの───早乙女順の流儀には反する。


 個人の感情(プライバシー)は覗き見ない。面白みに欠けるから、という理由でもある。

 

 この信条は呪い。


 だがしかし、破ることはない。それが、ジュンであり早乙女順。幼女化しても、尚貫く信条の1つ。



(ふぅ、一旦置いときましょう。まだモヤモヤは有るけど、皆が変わらないのなら私も貫くだけ。完全な女体化を目指しつつ、イチャイチャしまくるわ。デートを誘えた実績はプラスになってるの、この先は良いことしかない、絶対!今日のこの定例会も乗り越えるわ──神にはならないけどね!)



 議論の余地なく、第3の神に持ち上げられそうな雰囲気の中、ジューーンの運命や如何に───









◇◆◇◆◇◆








 定例会場が熱気を帯びる(ヒートアップする)中、神の一人がソワソワとしている。


 成人女性、偽物幼女の唯壊(ユエ)だ。



「何でジュン様が……」



 創造主が居るとは聞いていない。


 ましてや、今迄信者の一人として潜伏していたとは驚きだった。 


 溶け込み術には感嘆するほかないが、近くにいたのに気が付かなかったのは自分の落ち度でしかないし、悔しいの一言に尽きる。


 だが、『言ってくれれば良かった』とは言わない。


 創造主の考えは全て理解(わか)るものではない。 


 それに───



(唯壊だけを見に来てくれてた?)



 想像以上に気にしてくれていた。身分を隠してまでの行為は、独り占めという欲を満たすためでもある。


 少なくとも、唯壊はそう思っている。



「それって、私も…だよね?」



 ただその意を否定する輩がいる。 


 もう一人の神、夢有(ムウ)だ。



「唯壊だけを見に来てくれてるのよ」

「ええぇ〜、違うと思うけどなぁ」

「ち・が・わ・な・い!!」



(どう考えても、お子様より唯壊の方が魅力あるもん)



 他人からして見れば大して変わらないのだが、本人は違うのだろう。細かな差異を見つけられるのが、偽物幼女の証でもある。



(ふふん、だから唯壊が最高なの。そう、決まってるもの)



「でも何で皆、ビックリするのかな?」

「何が?」

「ジュンさまはジュンさまなのに……」

「そうね」



 信者たちはジューーンの存在を知っている。重点を除いてはいるものの、変貌についての大まかな経緯は聞かされたばかり。驚愕し、呆然し、質問攻めをした後、今の状態に落ち着いている───いや落ち着いているというのは、比喩的な表現方法だ。定例会場は、熱という熱に毒されている。



「下等生物だからじゃない?」

「かとおせいぶつ?」

「あーもう!弱いってこと!唯壊たちと違って、ジュン様に創られてないっていう意味」

「ああ!!そうだね」



(これだからお子様は……───それにしても、本当理解不能なのよね。()()()()()ってこんなのばっかりなの?)



 守護者にとって創造主とは最強であり最高、そして───



 不変。



 顔や姿形は意味を表さない。年齢が老いる老いないも、身長が低い高いも、顔が格好いい可愛いも、容姿が人外であってもだ。外見は重要視されない、


 重要視されるのは存在であり魂。


 つまり、〈性別〉は関係ない。


 魂を司る能力者には不要、男も女も概念として相応しくないのだ。


 守護者たちは、()()そう思っている。


 だから誰も、反応を示さなかったのだ。守護者は一人として男のジュンを好きなのではない。ジュンという存在に好意を寄せ、尊敬しているのだ。新鮮な反応が無いのはそのため。


 結果、自分の容姿や外見を重要視する者では一生気付けない。


 創造主も、征服王も、組織【S】のボスも、ジュンも、ジューーンも、早乙女順としても、気付くことは無い。


 齟齬(そご)の解消、擦れ違いの緩和はまだ先……の可能性が高い。


 無論、その擦れ違いが起きている事実は守護者の誰も知らない。


 心情を察していない。


 第3の神に成らず、2人をエロい気分で観察したいという願望は理解していない。



「ユエちゃんは、同じ神と使者どっちがいいの?」

「そんなの決まってるじゃない」

「??」

「ジュン様はNo.1よ」








◇◆◇◆◇◆







「これより、神の使者(リーダー)を決めようと思う!その前に私はジューーン殿……いや、ジューーン様を第3の神に(こしら)えようと思うのだが、反対意見の者はいるか!」

「賛成!!」

「反対する者は死刑だ!!」

「賛成以外有り得ん!!」

「よし、ならば──」

「ちょっと!?待ちなさいよ!!」



 順調な会議に物申したのは、ジューーンことジュン。 


 唯壊(ユエ)夢有(ムウ)が同意以上の頷きを見せているのにだ。



「いやいや私の意見も聞きなさいよ」

「ジューーン様の意見?」

「そう!」

「それは成りません。神以外考えられません」

「なんでよ!マーブルあなた身勝手過ぎるわよ!」

「大丈夫です、ジューーン様。先ほど、ユエ様たちと密談しましたが、ジューーン様を第3の神として、地位は一番上に、神の使者はこの私マーブルが微力ながら受け持つことになりました」

「はぁ??会議の意味は??」

「ありますよ。一応、皆にも私で問題ないか決を取る予定でした──が、不要の様です」



 マーブルが神の使者(リーダー)……もとい使い(パシリ)になることに異を唱える者はいない。会場内は賛成の連呼。


 これには怒り狂っても可怪しくない───のだが、守護者の2人がいる手前、発狂はできない。



「面倒が過ぎる。私は暇じゃないのよ」

「ええ、存じております。ですから毎月の参加でなくとも大丈夫です。年2回我らに(めぐみ)を下さい」

「気持ち悪るっ!」

「その団体にジューーン様も居られたのですよ」

「そ、そうね……でも、あれ?そういえば、ノートンはどうしたの?」

「ノートンは退団しました、クルシュアもです。他にも何人か……」

「えっ……」



 創設者と言えど、根暗っぷりなノートンならば仕方ないが、クルシュアもとなると不思議に思う。仲は良くても一緒に退団するのは可怪しい。



「きな臭いわね」

「はっ、私でしょうか?」

「違うわよ、あなたじゃないわよ!というか、私男嫌いだから、年2回じゃなくて不定期ね」

「ええぇ〜、そんなぁ、ジューーン殿おぉぉ」

「うるさい!キモい!どこか行きなさい!よくもまぁ、こんな奴等に愛想向けれたわね」

「唯壊は冷めた瞳で見てましたよ」

「私は……何考えてたんだろう?分かる?」

「唯壊が知るわけないじゃない!どうせ何も考えてないでしょ」

「分かったぁ、おふせだぁ」 

「「……あぁね」」



 何故かマーブルも納得する。仲睦まじい雰囲気。


 だが何も終わっていない。第3の神としての生活───は関係ない。それもたぶん、始まることはない。


 終わってないのは今浮上した問題。退団者たち。彼らはどこに行ったのか。誘われた先は?

 

 そして始まる。


 繋がる闇。


 定例会後の古城に差出人不明の文が届いたのだった。





作品を読んでいただきありがとうございます。

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