告白クエスト
第7話:新たなクエスト発生! 今度は告白!?
翌朝。
太一は目覚ましの音で飛び起きた。
いつもなら二度寝して遅刻ギリギリの生活を送っているが、今日は違う。
「昨日、俺に話しかけてくれたのは桜井さんだ……!」
それだけで朝から胸が高鳴る。
魅力1という微々たる数値ではあったが、確実に何かが変わり始めている。
「……さて、次はどんなクエストが来るかな?」
期待しながらステータス画面を呼び出す。
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《新たなクエストが発生しました!》
•クエスト名:初めての告白!?
•内容:意中の異性に勇気を出して告白する
•報酬:ステータスポイント +3
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「……は?」
一瞬、目を疑った。
「告白!? いやいや、無理だろ!」
いくら魅力が1になったとはいえ、まだたったの1だ。
現実的に考えて、太一に告白する勇気などあるはずがない。
「こんなの無理ゲーだろ……。」
だが、ステータスポイント+3の報酬は破格だった。
これまでのクエストは1ポイントがせいぜいだったのに、今回はその3倍。
「でも、どう考えてもリスクが高すぎる……!」
思わず枕に突っ伏して呻く太一。
「何か別の方法はないのか?」
そう思った瞬間、再び電子音が響いた。
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《特別選択肢が追加されました!》
•告白が難しい場合は、好意を伝えるための行動を起こすことでクエスト進行が可能です。
•例:褒める、手伝う、差し入れを渡す など
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「……なんだ、そういうことか!」
いきなり告白しろと言われた時はどうなることかと思ったが、これならまだ可能性はある。
「よし、とりあえず学校で桜井さんに話しかけることからだな!」
太一は勢いよく布団を蹴飛ばし、朝の支度に取り掛かった。
学校に到着し、授業が始まるまでの時間。
クラスメイトたちは思い思いに過ごしている。
そして太一は、昨日と同じように隣の席の桜井を見つめていた。
「話しかけるなら今しかない……!」
だが、いざ声をかけようとすると緊張で口が乾く。
「お、おはよう……!」
ようやく絞り出した声は、思いのほか震えていた。
「おはよう、佐藤くん!」
そんな太一を見て、桜井はにこやかに微笑む。
「ああ、やっぱり可愛い……!」
目の前にいるのはクラスでも指折りの美少女。
それでも、ここで何もせずに終わるわけにはいかない。
「さ、桜井さん……あの、昨日の授業、助かったよ。ありがとな!」
「えっ? 私、そんな大したことしてないよ?」
「いやいや! 桜井さんのおかげで、俺も頑張ろうって思えたんだ!」
自分でも驚くほど素直な言葉が口をついて出た。
その瞬間――
――ピロン!
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《クエスト進行中!》
•進捗:20%
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「おお……進んだ!」
心の中でガッツポーズを決める太一。
どうやら好意を伝えるという行為が、ちゃんとクエスト進行に反映されているらしい。
「それじゃ、今日もよろしくね!」
桜井が微笑みながら席に着く。
その笑顔を見た太一は、改めてクエスト達成への決意を固めた。
放課後。
桜井は部活に所属していないため、比較的早く帰ることが多い。
そんな彼女を追いかけるように、太一も下駄箱へと向かった。
「よし、ここで何か行動を起こせば――」
だが、そこで思わぬ事態が起きた。
「桜井さん、よかったら今日一緒に帰らない?」
同じクラスの男子が、桜井に声をかけていたのだ。
「や、やばい……!」
まさかのライバル登場。
桜井は困ったように笑いながら答えた。
「あ、ごめんね。今日はちょっと用事があって……」
どうやら断ったようだが、問題はそこではない。
「こうしている間に、他の奴に先を越されるかもしれない……!」
焦燥感に駆られる太一。
だが、その瞬間、脳内に再び電子音が響いた。
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《クエスト特別目標発生!》
•内容:意中の異性を他の異性から守るための行動を起こす
•報酬:ステータスポイント +1
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「な、なんだと!?」
告白クエストの進行に加え、新たな目標が発生したのだ。
「やってやる……!」
こうして、太一の恋と成長の物語は新たな局面を迎えることとなった。