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情報収集

昼休み。


 太一はいつものように購買でパンを買い、教室の片隅で一人寂しく食べていた。

 いや、正確には一人ではない。


 目の前には、恋に悩む幼馴染の翔太が座っている。


 「……で、改めて相談なんだけどさ。」


 翔太は真剣な眼差しで太一を見つめた。


 「俺、本気で桜井さんと付き合いたいんだ。」


 太一はため息をつきながらパンをもぐもぐと噛みしめる。


 「だけどよ、翔太。俺に恋愛相談ってのは、正直無謀じゃねえか?」


 知力が2に上がったとはいえ、恋愛経験ゼロの太一。

 そんな彼がアドバイスなどできるわけがない。


 だが──


 《ピロン!》


 例の電子音とともに、目の前に浮かぶ青白い画面。



クエスト進行中!


《恋のキューピッドになれ!》

•現在の進行度:5%


次のステップ:ターゲットの情報収集を行え!


報酬:ステータスポイント +1



 「情報収集……?」


 画面を見つめながら呟く太一。

 どうやら、いきなり恋愛アドバイザーとして翔太に助言するのではなく、まずは相手の情報を集めることが重要らしい。


 「ふむ……知力2の俺には、これはちょうどいいミッションかもしれない。」


 そう、自分の知力を信じるのだ。

 少なくとも知力1の頃よりは、多少まともな思考ができるはず。




 「よし、翔太。まずは桜井さんのことをもっと知る必要がある。」


 「おお! じゃあ、どうやって調べる?」


 「うーん……手っ取り早いのはやっぱり情報通に聞くことだな。」


 翔太が首をかしげる。


 「情報通?」


 「お前、同じクラスにいるじゃねえか。佐藤梨花だよ。」


 佐藤梨花。

 彼女はクラス内の噂話を網羅している、いわゆる情報屋だ。

 どんな些細な話でも耳にしているため、恋愛事情の調査にはうってつけだった。




 昼食を終えた二人は、廊下を歩いて佐藤梨花の席へ向かった。


 「梨花、ちょっといいか?」


 太一が声をかけると、佐藤梨花は興味津々の表情でこちらを見た。


 「なになに? 相談? 恋バナ?」


 図星だ。


 翔太は顔を赤くしながらうつむいた。


 「まあ、そんなとこだ。」


 太一が適当にごまかしつつ話を続ける。


 「桜井美咲のことをちょっと知りたいんだ。彼女って普段どんな感じなのか、とかさ。」


 佐藤梨花はニヤリと笑った。


 「なるほどねぇ……。あの桜井美咲に興味を持つとは、なかなかのチャレンジャーじゃん。」




 「ま、でも知ってることなら教えてあげるよ。」


 梨花は指を折りながら桜井美咲の情報を語り始めた。

•成績は学年トップ。

•スポーツ万能で陸上部のエース。

•無口でクール、あまり人と群れない。

•男子からの告白は多いが、全て断っている。

•趣味は読書で、図書室にいることが多い。


 「でもね……」


 佐藤梨花はそこで声を潜めた。


 「最近、彼女が誰かを気にしてるって噂があるのよ。」


 「は!? 誰だよそれ!」


 翔太が前のめりになって問い詰める。


 「それが、はっきりとは分からないの。

 ただ、何か考え事をしてることが増えたみたいでさ。」




 「考え事、か……」


 太一は腕を組みながら唸った。


 知力2の脳をフル回転させる。


 桜井美咲が誰かを気にしている。

 それが恋愛感情なのか、別の悩みなのかはまだ分からない。


 「次の作戦は決まったな。」


 翔太がごくりと息をのむ。


 「どうするんだ、太一?」


 「直接、桜井さんに話を聞く!」


 翔太の顔が青ざめる。


 「そ、そんな大胆なこと……!」


 だが、クエストをクリアするためには避けられない道だ。


 「明日、桜井さんが図書室にいるはずだ。そこに行くぞ!」


 果たして太一は、知力2の力を活かして無事に桜井美咲から情報を引き出すことができるのか!?


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