異世界転移:序章
唐突に目が覚め、光が目に入った。
ここはどこだろう?ここ数時間の記憶が無く、目の前には眩しいライトがあるのみだった。
辺りを見渡すと、青い服を着て、顔まで全身を覆った男たちがいた。
どうやら自分は何か台のような物に横たわっているようだ。
(訳が分からない。この人たちに聞いたらどうなっているかわかるかな?)
なんとなく妙であることは感じつつも、特に身を起こすような活力も無く、ただ彼らを眺めていると、こちらから離れ何かを話し始めた。
「今回も失敗か...」
「我らの神が顕現なさるのはまだ先のようだ。彼はいつものように処理してください。」
これを聞いて、今まで全く感じていなかった危機感が急に押し寄せてきた。
(処理する、って俺のことだよな...私はこれからどうなるのかな?もしかして、殺される、なんて)
青い服の男たちはまだ話し込んでいるようだ。
薄目を開け、周囲の様子を注意深く伺うと、部屋の中はこの台の上からでも一望できた。
まず、この台は部屋の奥側に位置しているようだ。
自分の右側には3メートルほどの間があり、そこには幾つかの機械があった。窓やドアは特に見つからなかった。
左側には、4-5メートルほど空間があり、正面に大きな両開きのドアが見つかった。今そちら側から青い服の男たちが向かってくる。つまり...
「こいつ起きてないか?」
逃げ場がないってことじゃないか。
男たちのうちの1人が、ゆっくりと近づいてくる。ここから逃げるには彼らが邪魔だし、ここにずっといても「処理」されてしまう。特にできることもない。
大声で助けを呼ぶか、しかしこの部屋のドアはかなり分厚そうだし、処理が暴力的なものとはまだ決まってないし...
ごちゃごちゃと無駄なことを考えていると、部屋のドアが開く音がした。部屋の外から轟音が響きわたった。爆発音に近く、この部屋にいた男たちは皆慌ただしく外へ出ていってしまったようだ。
この機を逃さず、ドアからこの建物の外まで一気に走り抜け、さらにまだ走り続けた。
周りに見える景色が、青々しい自然から、遠くにいくつかの布の束を見かけるようになり、うっすら整備された道を走るようになってきた頃ようやく我にかえり、ひと心地着くことができた。
先ほどまでは、だれか知らない人たちが自分を攫い、部屋の中に閉じ込めたものだと思っていたが、周りを見るとどうやら違うようだ。
足元は煉瓦造りの道になっていて、周りにも木や煉瓦造りの家屋が立ち並んでいる。
「ここ、どこだ?」
私のいたところとは似ても似つかないが、私が知ってる。
もしかして、ここは...
最終的に、目の前を歩く緑色の巨漢を見て、自身がいままでとは全く異なる場所に来てしまったことを確信した。