罪深きもの
小鳥のさえずりで目が覚める。何かに抱きしめられていた。ヴァンパイアだ。ヴァンパイアに抱きしめられてベッドの上にいた。
「きゃ?!」
驚いてそのまま離れようとするが強く抱き寄せられる。
「もう少し、このままでいてくれ。」
「え?!」
そんな言葉をかけられてドキマギした。が、それは次の瞬間消え去った。痛い。首筋の跡が痛む。
「いっ」
「痛むか?」
そう言って優しく首筋を撫でられる。
こ、これではまるで恋人……?!
恥ずかしさから赤面した。
「何を赤くなっている。同じベッドで1晩過ごした仲だろう?」
「え?!ええーー?!」
いつの間にそんな事に?!
マリアは衣服の乱れがないかチェックする。
「ふん、冗談だ。気にするな。」
「なっ!?貴方ねぇ!」
「俺を誘ってきた割にはうぶなんだな。」
なんて笑っていた。笑顔が心に刺さる。私はこの人を利用したんだ。罪悪感が心を支配する。
「それより、その、もう大丈夫なの?」
「ああ、問題ない。」
「そう、よかった。」
胸を撫で下ろす。自分のせいで誰かが死ぬなんていやだった。
「ツェペシュだ。」
「へ?」
「名乗ったぞ?お前は?」
「ま、マリアよ。」
「そうか、マリア。ふふっ。こんなみだらなマリアがいるとはな。」
首筋を撫でられる。彼の跡でいっぱいだ。
「……もっと、吸って?」
あれ?私は何を言っているのだろう?
気がつくと快楽に溺れていた。彼の牙が私を壊す。彼を受け入れる事が、牙を突き立てられることがこんなに快感だとは思っていなかったのだ。そのまま、マリアはベッドの上で血まみれになりながらそっと彼を抱き寄せていた。
ああ、神様、なんて罪深いのでしょうか……。
祈ったマリアの声は神には届かなかった。