復讐の炎
湯浴みの後、ヴァンパイアは新しい服を用意きてくれた。
「あ、あの、着替えますので、その……」
「後ろを向いておく、だからここで着替えろ。」
「そ、そんな…」
「俺が着替えさせてやってもいいんだぞ?」
マリアは渋々着替える事にした。着替え終わる。この男を籠絡しなければならない。なら!
マリアは後ろを向いているヴァンパイアに抱きついた。
「すみません、ちょっとよろけてしまって……」
男性を籠絡なんてした事がない。これで大丈夫だろうか?そう思っているとヴァンパイアはマリアを押し倒す。
「きゃっ!?」
「どうした?お前から誘ってきたのだぞ?」
そうだ、ここで逃げてはいけない。逃げ道などないのだから。そのまま男の頬に口付けをする。
「……」
ヴァンパイアは何も言わない。そのまま男の手がマリアの太ももに伸びる。
いやだ!でも、これで、この男の信頼を得れば、逃げられるすきが生まれるかもしれない。そう思って不快に感じる心を押し殺す。ヴァンパイアの顔が近づいてくる。こんな事をしていると、王子が寄越した男達に抱かれるのとそう変わりないのではないだろうか?と思ってしまう。好きでもない男に身体をまさぐられるなんて屈辱的で、何より恐怖から震える。気がつくと涙を流していた。
「あっ、え、?」
ヴァンパイアはそっと涙をぬぐってくれた。気を許してくれたのだろうか?
「泣くな。」
そう言って優しく抱き寄せてくれた。この男は何を考えているのだろう?これも私を安心させて血を奪う作戦なのだろうか?
男の手が頭を撫でる。
「……復讐するんだろ?」
「へ?!」
昨日の宣言を聞かれていたらしい。
「人間が憎いのか?」
「ええ、ええ!憎い!憎いわっ!あなたと同じよ!」
「……そうだな。」
「死にたくない!復讐するまで死ねないの!!」
ヴァンパイアの前だというのにそう叫んでいた。
「ふふっ!面白い。人間を憎む人間か……。いいだろう。気に入った!その復讐!手伝ってやろう!」
「え?!」
この男は何を言っているのだろうか?だが、その言葉で真っ暗だった目の前に光が見えた。いや、復讐の炎がともった。