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床に押さえつけられ、血を吸われていたマリア、痛みが彼女を支配する。抵抗できないまま随分長い時間たった気がする。ヴァンパイアはマリアからやっとはなれた。マリアは持っていた十字架をようやくヴァンパイアへと向ける。


「ふんっ!バカめ。そんなもの血を吸った俺には意味が無い!!」


十字架は跡形もなく消え去っていた。


「きゃーーー!?」


マリアは恐怖から後ずさりする。すると、さっきまで視界に入って来なかったものが手に当たって眼にとまる。骨だ。動物の、いや、人の頭蓋骨もある。



「きゃーーー?!」


「きゃーきゃー、うるさい。」


ヴァンパイアはマリアの口を手で塞いだ。


「んーんんー!」


マリアは抵抗出来ずにその場に再び抑え付けられる。


「お前の血、甘いな。」


そのまま、また血を吸われる。視界がチカチカして身体から血の気が引く。


「おっと、吸いすぎたら死ぬな。」


ヴァンパイアはやっとマリアから離れた。このまま殺されてしまうのだろうか?ここにある骨のように。


「そんなの、いや…」


マリアはそう呟いた。そうだ!血を与えられる間は殺されはしないだろう!なら……。

マリアは覚悟を決めた。


「ヴァンパイア様、なんでも言う事をききます!だから殺さないでください!」


マリアは祈るようにそう言った。身体はブルブルと震えていた。


「……」


ヴァンパイアは何も言わずにそのまま牢屋をしめて去っていってしまった。


これから餌として生きて行かなければならないなんて嫌だ。そう思うが逃げられない。どうすればいいんだろう?


この世界においてヴァンパイアは森を支配する一族で、森に立ち入った者の血を飲んでいきている。


ヴァンパイアに叶うものはいない。いや、例外はあるがほとんどの者がヴァンパイアには勝てないのだ。しばらくするとヴァンパイアが戻ってきた。手にはリンゴとパンとワインがあった。


「食え。」


目の前に差し出される。食べてもなんにもならないだろうか?何か毒が盛られていたら……。だが、手錠をされているので上手く食べれない。見かねたヴァンパイアが口へと運んでくれた。


「……あ、ありがとう、ございます。」


お礼を言うとヴァンパイアは、うんと頷く。もしかして意外と優しいのかもしれない。男性にあーんしてもらっていることから頬が赤らむ。


「おい、餌」


「え、餌?!わ、私の事?!」


「そうだ、お前の事だ!」


餌だなんて侵害だが、仕方ない。


「何でしょう?」



「うまいか?」



「……」


正直公爵令嬢の私には質素すぎて美味しくはない。だが、殺されないためなら仕方ない。


「お、美味しいです。」


「そうか、じゃあ、次は俺の番だな?」


「はい?」


再び床へと押し倒された。そのままさっきと逆の首筋に歯を立てられる。


「いたい!」


「……はぁ、贅沢なやつだ。いいだろ。気持ちよくしてやるよ。」


そういうとヴァンパイアの血の吸い方が変わった。


いた、く、ない?!


それどころかどこか心地よい。まるで授乳しているかのような気分になる。いやなのにあらがえない。気持ちよすぎてそのまま眠ってしまいそうになった。拒みたいのに身体はもっと求める。ああ、神様、助け……て、…。


その声は神には届かないまま意識を失った。

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