父上への報告 3
やっとこ、オーベロン城へ辿り着いた黒猫と愉快な仲間たち。
ケスリーとレイナルには、戦士の間への入室を遠慮してもらう。
報告には黒猫と京子が居れば、十分だろう。
なぜか、妖精宮の一部が損壊しているような気がするが大丈夫だろう。
黒猫は戦士の間のドアをノックし、京子と入室する。
「父上、入ります――」
公の場では陛下と呼ぶルーだが、プライベートでは父上と呼んでいる。
公私混同しない黒猫を、褒めてもらいたいという打算もある。
ルー・フーリンは父親に対しての、承認欲求がハンパない。
自慢の父親に、剣技を、才能を、存在を認められたくて、王子の仕事をしている。
玉座には興味がない。
妖精界はクー・フーリンの支配で廻るのだ。
善政を敷いているからこその信頼である。
黒猫でも廻せないことはないが、最適の人事に何の不満があろうか。
黒猫を王太子に据えるより、一日でも長い妖精王の治世を心の底からルー・フーリンは望んでいた。
黒猫が肉球を踏み入れると戦士の間は、ひどい有り様だった。
カーテンは引き裂かれ、シャンデリアは落ち、調度品は無惨にも原形を留めず、そこかしこが鋭利なもので抉られたような跡がある。ルーは、この惨状がゲイ・ボルグの暴走によるものとは知らない。
「父上っ! 賊ですか!?」
難攻不落を誇るオーベロン城だが、侵入されないというわけではない。
必ず、どこかに抜け道が存在するものだ。
敵陣に入り込むのに、内部から崩して行けば良いように。
「なに、戦士の間を模様替えしていたところだよ」
シャンデリア――シーアの曲ですね。
ナタリー・ポートマンのCMで使われてたな。
今日は、休日でお酒飲んでます。
マリブというココナッツのリキュールを牛乳で割った
カクテルで、マリブミルクです。
甘くて、美味しい。
南国気分で、ココモ 聴きたくなります。
ビーチボーイズだったっけ?




