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竜虎の下剋上 5

 

 バールゼフォンは、猛烈な違和感を感じていた。

 通常ならば、側近のルキフェルが敵を排除するか、サタンを守護する悪魔、エリゴールとベリスが二人の前に、立ちはだかるはずだ。

 何かがおかしい。

 すでに、サタンの首を斬るために叩き込んだ斬撃の数は二千を超えた。刃が折れぬよう、強化のエンチャントを施し、テュルフィングの斬れ味も抜群だ。

 バールゼフォンに残された策は、サタンの肉体の再生限界まで、連撃の嵐を振るうだけである。


 魔界の帝王の両角から、漆黒の稲妻が形成される。


「〈ケラウノス〉!」


 無数の稲妻の矢が、バールゼフォンとベルゼビュートに襲いかかる!

 雷耐性を習得していない二人には、強烈な攻撃となるだろう。


「やっと、攻略戦らしくなって来やがった」


 ニヤリとベルゼビュートが笑みを浮かべた。

 黒き稲妻の矢が、次々とベルゼビュートに突き刺さる。


「がぁ!」


 耐えられぬ痛みではないが、それでもかなりのダメージを受けたビュートを心配して、近くに控えていたレオナールとオセは、主を救おうと駆け出す。

 それを目線で制するベルゼビュート。

 部下が手を出すまでもない。

 まだ、ベルゼビュートは全力を出し切ってはいないのだ。

 一方、バールゼフォンは反射の魔法を展開し、雷撃を防ぐも数が多すぎて、少なからずダメージを負った。


(こんな時に、バルバトスが居れば――奴め、単独行動が過ぎる。バール・バトスとしての自覚はないのか。だが、ルキフェルが動かないのは、嬉しい誤算だ。奴も、やはり帝王の座を欲しているのか?)


 側近のルキフェルは動く様子はない。

 副王の武器は、ドール・バシュと呼ばれる二又の爪を持つ得物だ。その武器で、稲妻と火炎を放つことができるルキフェル愛用の魔道具である。

 サタンの身体からも魔物が出てくる気配はない。

 二人の矢継ぎ早の攻撃に、魔物を出しあぐねているのだろうか。

 飛翔能力を持たないバールゼフォンは、ベールゼブブから借りた〈蝿の王〉のスキルで、幾万もの蝿を足場にすることで空中戦を展開することができていた。

 勝利を確実にするために、もっとバールの眷族を連れて来るべきだった、とバールゼフォンは思った。

 バール一族が魔界を牛耳る未来が、バールゼフォンには見えていた。が、同時に拭い切れない違和感をも感じていた。

 何者かの掌の上で、踊らされている。そういう感覚であった。














後で、書き足す予定です。

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