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竜虎の下剋上 3

 

 サバトの間は、さながら地獄絵図であった。

 ベルゼビュートは、魔獣フェンリルから奪った狼爪の能力をふんだんに発揮し、次々と手近な悪魔の、喉を腹を背中を心臓を、およそ急所と呼ぶ場所を切り裂いて行く。

 確実に一体ずつ仕留めて行く堅実なやり方だ。

 雑魚とは言え、魔法やスキルを使う悪魔も多数いるため、一撃必殺の魔爪を振るうのだった。

 バールゼフォンも負けてはいない。

 カマキリの姿に蛇の尾の悪魔の左右の鎌を刈り取り、首をはじき飛ばす。

 次に現れた四つ目のクマの魔獣型悪魔の両耳を貫く突きを繰り出し、テュルフィングを引き抜きざま角を持った虎の喉笛を一閃する。


「やめい!」


 サタンが決闘を止めた時、血の海に立ち尽くしていたのは、ベルゼビュートとバールゼフォンの二人のみだった。


「どうやら、この二名が最有力候補らしいな。魔界の帝王の座は、この両名に競わせるものとする。良いな、皆!」


 魔界の帝王の鶴の一声で、すべてが決定した。

 サタンの眼前に、ベルゼビュートとバールゼフォンが膝まずく。


「それにしても、両名とも卓越した戦闘力を持っているな、見事だ!」


「お褒めに預かり恐悦至極――実は我らより、サタン様にプレゼントがございます」


 バールゼフォンが立ち上がり、ベルゼビュートに目配せする。


「ほう、余にプレゼントとな。それは何じゃ!?」


「それは――」


「「死で、ございます!」」


 バールゼフォンが跳躍し、サタンの顔の正面に陣取る。足元には筋斗雲よろしく無数の蝿が足場を構成していた。

 次いで、ベルゼビュートの背中にグリフォンの翼が生え、帝王の心臓の位置にホバリングする。

 帝王攻略戦の始まりであった。






後で、書き足す予定です。

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