冒険者ルーク 179
ボトリ、と乾いた音を立ててリジルの首が転がる。
ベルベルはリジルの首を見下ろしながら、ドヤ顔で居る。
その時、リジルの首を失った身体が急いで首を頭に乗せた。
血液は、どういう原理か出ていないようだった。
リジルの首は完全に引っ付き、ベルベルの顔が驚愕に彩られた。
「バカな! 首を落としたのに、動けるなんて——」
「問題ない。三秒以内なら、地面に落ちても大丈夫?」
リジル——三秒ルールは、首を斬られた者には適用しないのだがな。
まぁ、これは食物に限った話だが、迷信も良い所だ。
この時、ベルベルは顔面蒼白だった。
首を落とされても活動出来る、邪神という存在に恐怖したのだ。
しかも、ここはリジルことガタノソアの中——彼女の絶対領域内なのだ。
「参ったわ。あんたには勝てない。好きにすれば——」
どうやら、ベルベルはリジルに敵対することが無意味だと気づいたようだ。
生殺与奪の権利は、リジルにある。
彼女は少し、黙考した。
リジルの返答は意外なものだった。
「この場所は、つまらないから遊んで欲しい。今みたいに戦っても良いし、お茶しても良い。とにかく、退屈じゃ無ければ何でも良い」
相変わらず、邪神の思考形態は良く分からんな。
昨日の敵は今日の友とは言ったものだが、そこにわだかまりは無いのか?
悪魔は人の弱味につけ込み、裏切る風潮がある。
個体差によるだろうがな。
それともリジルは、退屈しのぎさえ出来れば何でも良いと考えているのだろうか。
友人候補——悪魔だが——には、向かない人選だな。
さてさて、ベルベルの返答やいかに。




