冒険者ルーク 177
『かつては、我も人類と共存していた時代があった。古代文明のムー、アトランティス、レムリアの人々は、我のこの禍々しい見た目でも、受け入れてくれ、崇拝してくれた——が、旧支配者らの反乱によって、地上の古代文明は崩壊してしまった——』
俺も、アトランティスなどの超古代文明の存在は知ってはいたが、文明が滅んだ背景に旧神と旧支配者との戦いがあったことは知らなかった。
さらに、クタニドは語った。
クトゥルーの邪神らを崇拝する教団があり、眷属の魔物たちは彼らを復活させるために、暗黒の儀式を執り行う準備をしているらしい。
惑星が直列する日、ダーク・パワーが満ち溢れ、封印が弱まり、邪神が復活を果たすという。
ううむ、話のスケールが大き過ぎて、どこから突っ込みを入れてよいものかも分からない。
それに謎なのは、ジャガーノートという状態だ。
俺はジャガーノートのことを、単純に身体能力を引き上げるメタモルフォーゼ形態だと思っていた。
まさか、この姿が邪神に対する弱点特効になるとは、夢にも思わずに居た。
だが、裏を返せば俺が妖魔化するリスクを孕んでいるということでもある。
良くも悪くも、妖精という存在は善悪どちらにも染まりやすい。
かつては、レッドキャップなどの邪妖精も、純粋な妖精だった。
だが、人間界から漏れ出す、悪想念が彼らを変貌させてしまったのだ。
悪想念とは、人間から湧き出る嫉妬や傲慢や殺意と言った感情だ。
ティル・ナ・ノーグにある妖魔の森は、人間界との境界が近く、悪想念が流れ込みやすい場所なのだった。
そこで定期的に俺が派遣され、時空の裂け目から這い出てこようとする妖魔や魔物などを狩っているのが現状だ。
そこで、俺は人間界の女子高生なる職業に就いている京子という少女に出会ったのであった。
彼女は妖精の生まれ変わりらしく、グラムサイトと呼ぶ妖精眼を有していた。
だが、ここで疑問が残る。
妖精は、妖精にしか生まれ変わることが出来ない。
ならば、彼女はいかなる存在であるのだろう?
それは、俺の灰色の脳細胞を持ってしても、解明することが出来ずに居た。
まるで、彼女は存在してはいけない場所に存在する、得体の知れない何かであった。




